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防災・減災対策

  • 2022年 6月定例会(6/13)

    テーマ防災・減災対策

    路面陥没等の未然防止について(2022年6月定例会)

    路面陥没等の未然防止について、お伺いします。 本年2月、国道196号の松山市・浅海原で、路面の陥没が発生。路面に約1m四方の穴が開き、その中には幅約3m、長さ約6m、深さ3m前後の空洞が現れました。幸いけが人や穴に落ちた車はなかったものの、気づかずに通過した車3台がパンクや車体を損傷する事態となりました。 この件について、当時、愛媛大学に在籍されていた地震工学が専門の森伸一郎准教授は、現地調査の結果、陥没現場周辺の海側のコンクリート擁壁ブロックの接続部分に隙間が確認されたことから、「年月経過などで発生した隙間に、繰り返す高波で海水が入り、波が出て行く際に道路側の砂が流出していったのではないか」と推測しています。 そして、「シンクホール」と呼ばれる今回のような路面陥没が今、世界的に道路管理の課題となっていると指摘し、今後は「点検を通じた監視や異変が起きた際に、すぐ対応することが重要だ」との警鐘を鳴らしています。 私は2017年の2月定例会で、路面陥没への対応について質問で取り上げましたが、その際、理事者から、「交通量が多く、路面が陥没した場合に大きな被害が発生するおそれのある道路など約250キロにおいて、路面下の状況を効率的に把握できるレーダー設備を搭載した車両により調査を行い、空洞を発見した場合には早期に補修する」旨の答弁がありました。 そこで、お伺いします。県管理道路における路面下空洞調査の実施及び補修・対策状況と、今後の道路の安全性確保に向けた取組みについてご所見をお示しください。 森准教授の、「重要なのは、異変にすぐ対応すること」との指摘は正鵠を射ており、私はこの際、舗装の陥没や側溝の損傷など、道路の異常に関する通報を迅速・正確に把握し、速やかな対応が可能となるよう、SNSの活用を検討してはどうかと考えるのであります。 既に多くの自治体で様々な方法が導入されておりますが、いずれも、異常を発見した市民が自身のスマホを使って写真や位置情報、メッセージを送信するだけという簡単なしくみとなっています。 例えば、LINEのトーク画面上で、人を介さず自動で会話するプログラム「チャットボット」が対応し、24時間いつでも利用することが可能なものもあります。又、ある都市では、対象物の位置情報や不具合の状態が分かる画像を受信すると同時に、庁内のデータベース上に反映し共有され、行政にとっても効率よく維持管理に対応できる仕組みが構築されています。 そこで、お伺いいたします。本県では、デジタル総合戦略の下、「スマート防災の実現」や県と市町が一体となったデータ利活用を推進する「チーム愛媛のDX推進」を掲げておりますが、その意味では、他の自治体における事例研究等も踏まえながら、路面陥没を未然に防ぐほか、平時から災害発生時まで恒常的に不具合の共有と対応を可能とする、本県独自のSNSを活用した道路異常時の通報システムの構築について、ぜひご検討頂きたいと考えますが、ご所見をお示しください。 <答弁概要:土木部長>(土木部長①)県では、定期的な道路パトロールによる路面の変状の把握のほか、電磁波を放射し地下を探査する路面下空洞調査等により、空洞の発見に努め、陥没が発生する前に迅速な対策を実施することで、路面陥没による事故の発生防止に取り組んでおります。 このうち、令和元年度までの4年間で実施した路面下空洞調査では、人口集中地区や河川・海岸沿いの道路約363kmの調査を行い、空洞が確認された全279箇所の対策を完了したところであります。また、本年2月に発生した国道196号の路面陥没事故を受け、海に面した道路約143kmを緊急点検し、空洞が確認された2箇所の対策を終えているほか、道路に埋設された横断管については、損傷が空洞の発生につながる恐れがあることから、順次補修工事を行っているところであります。 今後は、道路パトロールを着実に実施するとともに、過去に空洞が発生した箇所の周辺を重点的に路面下空洞調査を行うなど、陥没につながる空洞を早期に発見し、確実に対策を実施することで、県民が安全に道路を利用できるよう、適切な道路の維持管理に取り組んで参りたいと考えております。 (土木部長②)県では、定期的な道路パトロールを実施しているほか、県民から寄せられる情報をワンストップで受付・対応する仕組みとして、国と四国4県等が連携して「道の相談室」及び24時間対応の「道路緊急ダイヤル」を設置しており、これらに寄せられた年間約500件の電話やメールなどを活用して迅速に道路の修繕等を実施するなど、適切な道路管理に努めているところでございます。 さらに、県民がスマートフォンから道路の損傷箇所の正確な位置データや画像を手軽に投稿できる通報システムとして、「愛媛マルゴト自転車道損傷状況通報フォーム」を構築し、試行的に、サイクリストを対象に、本年3月から運用を開始したところでございます。 今後は、道路を利用される県民からの幅広い情報を有効に活用し、県民との協働による道路の安全性の向上やきめ細かな管理を目指して、これまでの取組みを通じて得られた知見や課題を検証したうえで、SNSの活用など効果的な道路異常の通報システムについて、国等の関係機関と協議して参りたいと考えております。

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  • 2021年 12月定例会(12/2)

    テーマ防災・減災対策

    防災減災対策におけるDXの推進等について(2021年12月定例会)

    防災減災対策におけるDXの推進等についてお伺いします。 ご案内の通り、わが国は国土面積の約7割を山岳地帯が占め、その山岳は急峻であるため河川の勾配が険しく氾濫しやすい構造となっています。加えて国土自体が崩落しやすい風化岩で構成され、断層が多く、いろんな岩石が入り交じり、降雨や地震で崩れやすいという自然災害に厳しい特徴を有しています。 近年は、気候変動の影響といわれる自然の猛威がますます厳しさを増しており、その主な災害を振り返ろうと思い調べておりますと、“毎年のように”ではなく“毎年確実に”発生していることを再認識させられ、強い危機感を覚えました。 2015年9月、鬼怒川等が堤防決壊した関東東北豪雨。2016年4月、観測史上初となる最大震度7を2度記録した熊本地震。2017年7月、筑後川等が決壊した九州北部豪雨。2018年7月、本県も被災し、“平成最悪の水害”と称された西日本豪雨。2019年9月、送電線鉄塔が倒壊し、広域停電が発生した令和元年房総半島台風。2020年7月、球磨川等が決壊・氾濫した九州南部豪雨。 そして本年7月には熱海市で大規模な土石流が発生し、死者26名、行方不明者1名、被災、避難者多数という甚大な被害をもたらしました。あらためてお亡くなりになられた方々に対しまして心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。 こうした背景を踏まえますと、国において“防災減災”を政治の主流に押し上げ、5年で15兆円の「国土強靭化5か年加速化対策」が本年からスタートしたことを大変心強く感じます。 そして、そうした方向性を持った流れの中で、老朽化対策をはじめ本県のインフラ整備と強化を進めていく際、私は、県としてきっちりとデジタル社会を視野に入れ、ソフト面も含めた「防災減災対策のDX」という新たなステージに向けた取り組みが求められてくると考えます。 県のデジタル総合戦略では、ICT化とDXの違いについて簡潔に、“ICT化の主眼が業務効率化にある一方、DXは住民サービス向上のため、デジタル技術を用いて課題を解決し、新たな価値を創出すること”と定義しています。 例えば、県庁にいながら久万高原町の積雪情報を動画等で確認するために必要な技術はICTですが、久万高原町の積雪情報を今すぐ知りたい県民が、どの場所からいつでも、その情報にアクセスできるようなしくみが構築できたとすれば、新たな価値の創出であり、情報を降雨の変化や河川の増水状況、自然災害全体に広げ置き換えると、それは正に「防災減災対策のDX」に他なりません。 これまで蓄積したビッグデータ、AIやIoT、5G等を重層的に活用し、雨雲の動きや線状降水帯の発生予測、危険な災害現場へのドローンの投入や物資の搬入、水門や樋門の遠隔操作、安全確率の高い避難方法の提示など、私は防災減災対策のDXの進展によって、県民の命と暮らしを守る環境を飛躍的に強化することができると考えます。 そのための課題は様々あると思いますが、今回の補正予算案には、デジタル技術を活用して本県の地域課題を解決するため、基盤となる高速無線通信網の整備に向けた事前調査事業が盛り込まれています。 本県は他県に比べ離島が多く、中山間地は広く、海岸総延長が長いという県土上の特性を有するため、高速無線通信網の整備には大変困難を伴う現実もあると思いますが、ぜひ有意義な調査結果を導き出し、本県のデジタルシフトの底上げと加速化につなげてほしいと思います。 そこで、3点お伺いします。まず第1に、防災減災対策のDXを推進するためには、インフラとなる光ファイバーや5G基地局など情報通信基盤の整備が前提となりますが、県内の整備状況と、今後の見通しについてご見解をお示しください。 第2に、情報通信基盤整備の進展とともに、ビッグデータやAIなどを活用した災害予測や災害情報の把握・伝達、遠隔操作など、新次元ともいうべき新たな防災減災対策の実現に向け、今の内から、そして関係部署で連携も図りながらしっかり準備を進めていくことが肝要と思いますが、デジタル技術を活用した防災減災対策について、県はどのように取り組んでくのか、ご所見をお示し下さい。 第3に、国土強靭化といってもそれを担うのはマンパワー、つまり、人材です。建設業界において人口減少による担い手不足は極めて深刻な課題であり、超スマート社会を見据えると、デジタルスキルを有する人材の確保も大事な視点となってまいります。私は、DXの推進により労働生産性の向上を実現することは、担い手不足をカバーするために極めて有効なアプローチではないかと考えます。 そこで、お伺いします。本県の建設産業界を取り巻く深刻な担い手不足を乗り越えるため、県は今後、担い手対策にどのように取り組んでいくのか、ご見解をお示しください。 <答弁概要①:企画振興部長>近年、相次ぐ自然災害から県民の命や暮らしを守るためには、災害発生予測に必要なデータの収集等に加え、発災時でも県民誰もが確実かつ迅速に、必要な情報収集や発信を行うことができる重要な社会インフラである情報通信基盤の整備が不可欠であると認識しております。 このような中、県内の光ファイバ整備率は、国の調査では昨年3月末で98.2%となっており、未整備地域のある13市町においても、国の補助事業を活用した整備などにより、来年度には、ほとんどの市町で100%に近い整備率となる見込みとなっております。5G基地局についても、携帯電話事業者が整備主体となり、来年3月には県内全市町において一部がエリア化される見込みですが、県としては、引き続き国に対し、地域間格差のない基盤整備に向けた技術・財政両面からの支援を求めていきたいと考えております。 また、県では、12月補正予算案で、新たに安価で高性能な情報通信基盤でありますWi-Fiを活用した防災対策や産業のスマート化など、地域課題の解決に向けた調査経費を計上したところであり、今後も、高速通信技術を生かした県民生活の質の向上や産業の活性化等にも取り組んで参りたいと考えております。 <答弁概要②:防災減災統括部長>県では、昨年度、災害発生時に被害情報の集約や住民への避難情報等の提供を行う災害情報システムについて、AIなどデジタル技術を活用した被害状況の把握や、地図情報による避難指示、道路規制状況の可視化などシステムの高度化を図り、本年4月から運用を開始したところであるが、デジタル技術は日々進化しており、絶えずさらなる活用に向けた検討を進めております。 具体的には、県、国及び専門的知見を有する通信事業者等で構成する検討会を設置し、防災分野での5G等のデジタル技術活用の可能性や導入に当たっての課題等について議論を深めているところであり、今後、ローカル5G等の技術を用いて想定災害現場から県庁舎に高精細映像を伝達する実証試験を行うなど、災害情報システムへの実装の可能性も見据えながら、年度内に報告書を取りまとめることとしております。 今後とも、激甚化・頻発化する災害から県民を守るため、国や市町、防災関係機関と緊密に連携しながら、進展する情報通信基盤の整備やデジタル技術の効果的な活用を図り、より迅速かつ的確な情報共有や災害対応を促進するなど、防災・減災対策の一層の充実・強化に取り組んで参りたいと考えております。 <答弁概要③:土木部長>防災・減災対策の推進に中心的な役割を果たす建設業者の担い手不足が深刻化する中、県では、担い手対策として、人材確保・育成に加えて、DXの推進により、工事現場の生産性の向上を図ることが重要であると認識しており、各種施策を積極的に展開しているところでございます。 具体的には、ICT技術者の確保・育成のため、経営者向けのトップセミナーや実務者向けの講習会の開催などに取り組むとともに、さらに現場の生産性向上に向けては、建設業者に対して建設機械の自動制御システムやドローン等の導入を支援しているほか、県発注工事では、建設業者と測量設計業者が施工プロセスを分担してICT施工に取り組む地域モデルを推進しているところでございます。 今後は、更なるICT施工の普及拡大に向け、県発注工事の多くを占める小規模工事への適用も検討するとともに、ウェアラブルカメラ等を活用した工事監督のリモート化や3次元データを活用した設計など、DXを推進することで生産性の向上を図り、建設産業の担い手対策に繋げて参りたいと考えております。

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  • 2021年 12月定例会(12/2)

    テーマ高齢世代対策

    県営住宅の電灯のLED化について(2021年12月定例会)

    県営住宅の電灯のLED化についてお伺いします。 先月行われた閉会中の建設委員会で、「県の公共土木施設の老朽化への取組みについて」を議題とする審査の中、道路照明灯一括LED化事業について理事者から説明がありました。 それによりますと、本事業は、県管理道路に付随した約9,600灯の照明灯をリース方式で一括LED化するもので、試算によれば、10年間のリース期間中、毎年3400万円、リース期間終了後の11年目以降は、毎年1億1200万円のコスト削減が図れる見通しであり、生み出した削減コストをその他の道路維持工事費などとして有効活用し、老朽化が確実に進行する中での維持管理水準の確保が可能になるとのお話でありました。 この取組みは、コスト削減のみならず、環境負荷の軽減や生活便益の向上にも資するもので、心から敬意を表し、計画の着実な進展に期待を寄せたいと思います。 一方、県有施設並びに、関連する公共施設にもまた多数の照明がありますが、まだまだ水銀灯や高圧ナトリウム灯など旧式や旧型が多く、脱炭素社会に向けた国際世論の高まり等も踏まえますと、私は、できるところから速やかにLED化を推進していくことが肝要と考えます。 そうした中、かねてから寄せられている要望の1つが、「県営住宅の電灯のLED化」であります。 外灯や階段・廊下の照明など、共益費に占める電気代の割合が負担となっているというお声が最近増えてきた、と感じますとともに、入居世帯の高齢化がますます進む中で、電気代を負担に感じるお年寄りは、少なくないと思います。 もちろん、各自治会が、それぞれに経費節減に向けて取り組むことは重要でありますが、団地周辺の通路や広場、建物の共用部など県が設置管理する部分については、防犯や省エネ、環境対策の観点からも、県として積極的にLED化を推進すべきと考えるのであります。 全県48団地、約5,000世帯の方々が生活を営む県営住宅において、より安価で長寿命のLED化を進めることによって安全と安心が広がり、日々の暮らしの負担が電気代とともに少し軽くなった!と入居者の方々に感じて頂けるよう、ぜひ積極的、計画的に取り組んで頂ければと思います。 そこで、お伺いします。県営住宅に設置する電灯のLED化について、県は、そのメリットや現状を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。 <答弁概要:土木部長>県営住宅の共用部分における電灯のLED化については、消費電力の低減や電球の長寿命化により、入居者が負担する電気代や電球取換が軽減されるなどのメリットがあるものの、消費電力の少ない蛍光灯が多く、電気代の縮減額が少ないため、道路照明灯一括LED化事業のような事業スキームは成り立たない状況であります。 このため、県では、平成29年に策定した愛媛県県営住宅長寿命化計画において、電灯機器を事後保全の対象とし、既存の電灯機器を最大限有効活用しながら更新時に順次LED化することとしており、現時点で約6,000基の電灯のうち約300基をLED化しているところでございます。 今後は、松山市と連携して進めている県営鹿峰団地の建替事業を含め、県営住宅を新築する際には、全ての電灯をLED化するとともに、既存の県営住宅の80%が建築後30年を経過するなど、老朽化する機器の急増が見込まれることから、故障した機器の更新に合わせて県営住宅全体のLED化を進め、脱炭素社会の実現につながる省エネルギー化にも配慮しながら入居者の負担軽減に努めて参りたいと考えております。

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