公明党の木村誉でございます。 今、私たちは、長引くコロナ禍や深刻な物価高といった課題に直面し、国際社会においても、ロシアのウクライナ侵略や緊迫する米中関係など、予断を許さない正念場が続く状況となっています。 そのような中、本県として、政策を総動員しながらこの難局を突破し、地域経済の再生と日々の暮らしの安定に向けた道筋を確かなものにしていかなければなりません。 その成否を決める上で、最も重要なのは「県民の声を聞く」ことであります。 公明党愛媛県本部では、昨年12月から本年1月にかけ、中予地域を中心に「政策アンケート調査」を実施し、笹岡議員とともに私も街頭に立ち、「子育て・教育」、「人口減少対策」、「健康・医療・福祉」、「経済対策」の4つのテーマから、また“愛媛県に対して期待する政策は何か”についてお聞きし、3000件以上の回答を頂きました。 年代別に見ますと、まず、20代、30代の若者から寄せられた回答の内、最も多かったのは「子育て・教育」で、県に期待する事業として“紙おむつの支給対象を、第2子から第1子へ拡充してほしい”、また、“不登校特例校や夜間中学の設置を推進してほしい”などの声が寄せられました。 2番目は「人口減少対策」で、特に多かったのは「雇用創出、賃金アップ」、そして「奨学金返還支援制度の拡充」を求める声でした。 3番目は「経済対策」で、暮らしに深刻な打撃を与えている物価高騰対策として“プレミアム商品券などを発行して消費を喚起してほしい”との声が寄せられました。 次に、40代、50代の働き盛り、子育て真っ只中の世代からは、「賃金アップや処遇改善」など、生活に少しでもゆとりが感じられるような環境整備を求める声が多数を占め、現役世代が直面する“先行きへの不安が拭えない状況” が浮き彫りとなりました。 一方で、子どもを持たないご夫婦や、ひとり親世帯、また非婚者、LGBTなど、いわゆる“マイノリティ”の立場に置かれた方々への支援制度があまりにも手薄であるといった指摘も多く、制度の狭間で恩恵が受けられない方々に配慮した新たな支援体制の導入を求める声が、さまざま寄せられました。 そして、60代以上で圧倒的に多かったのは、やはり「年金」に関する要望でした。 いずれも切実で、少ない年金収入の中で物価高騰に対応するのはもはや限界と感じてなりません。介護サービス等の現物給付や交通手段のない方への移動支援など、新たなサポート体制の構築が急がれます。 今任期最後の登壇となります今回、私は、わが党の政策アンケート調査の結果と、地域の皆様から寄せられた声をもとに、質問をさせて頂きます。 任期中お支えを頂きましたすべての皆様に、満腔の謝意を表しつつ、中村知事はじめ理事者の皆様には明快なご答弁を宜しくお願い申し上げ、質問に入らせて頂きます。 初めに、物価高騰に苦しむ生活困窮者への支援についてお伺いします。 各種世論調査でも明らかなように、今、生活者が最も関心を寄せるのは“物価高騰問題”であります。党アンケート調査でも、次のような声が寄せられました。 「1月のガス代の高騰にはびっくりです。昨年、一昨年と同じくらいの使用量で4000円近く上がっていました。お風呂に入るのも2、3日に1度に減らすなど節約しているのに、とても悲しくなりました。年金暮らしで、この先が不安です。」 また、地域を歩きながら対話を進める中で、「1月の電気代の請求金額を見て、思わず二度見。想像をはるかに超える値上げに、やり場のない怒りが込み上げてきた。」といった悲鳴や戸惑いを、年齢・地域を問わず、多くの方々から頂きました。 こうした中、電気・都市ガス料金について、本年1月から9月末まで、標準的な家庭の負担を45,000円程度軽減する国の支援策が始まり、少し安堵の声が聞かれ始めたところでありますが、今後も4月にかけて、7000品目を超える飲食料品の値上げが予定されているほか、電力各社が4月から規制料金の値上げを申請しているため、多くの県民が物価高騰の長期化に伴う不透明な先行きに、大きな不安を抱いています。 物価高騰は、あらゆる生活者に影響を及ぼしますが、影響の度合いは相対的で、とりわけ低所得世帯など生活困窮者に重くのしかかってまいります。 この状況を踏まえ、国は、住民税非課税世帯等を対象とした、1世帯当たり5万円の電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金の支給を開始しました。 県におかれましても、地域の実情を知る市町と連携を図り、生活困窮者への適切な支援に取り組んで頂きたいと考えます。 そこで、お伺いします。物価高騰など厳しい経済状況が続く中、県は生活困窮者への支援にどのように取り組んでいるのか、ご所見をお聞かせください。 〈答弁概要:保健福祉部長〉 県と市町の相談窓口における生活困窮者からの相談件数は、長引くコロナ禍や物価高騰の影響もあり、令和4年4月から12月までで約2,200件とコロナ禍前の1.5倍で高止まりしており、収入や生活費に関する相談が多く、生活に直結する電気・ガス・食料品などの高騰により低所得者ほど家計を圧迫されているものと認識しています。 この状況を受け、国では、電気・ガス代の補助や価格高騰緊急支援給付金の支給を行っており、県では、国の支援が行き届いていない、住民税均等割のみ課税世帯のうち、児童扶養手当を受給しているひとり親世帯や、生活困窮者自立支援制度を活用して生活再建に取り組む世帯に対して、先の12月補正予算により県独自に5万円の給付金を支給することとし、現在手続きを行っているところでございます。 これまでも、生活困窮者に対しては、市町や市町社会福祉協議会と連携し、世帯ごとの自立に向けた支援プランにより、安定した就労を目指す指導・訓練や、支出の削減を図る家計改善相談など、きめ細かな支援を実施するとともに、生活福祉資金貸付制度による、一時的な生計維持のための緊急小口資金や、生活の立て直しのための総合支援資金の貸付けを行っており、引き続き、一人ひとりに丁寧に寄り添いながら、経済的に自立できるよう後押しして参りたいと考えています。
次に、中小企業の賃上げについてお伺いします。 党アンケート調査で、20代の青年から、次のような声が寄せられました。 「中小企業は給料がなかなか上がらないので、子供が欲しくても家を建てたくても、叶わない。子供を産むのを諦めるか、家を建てるのを諦めるのか、もしくは両方諦めざるを得ない状況で、将来に対する不安しかない。 最近は塾や習い事をしているのが当たり前みたいですが、子供を産めたとしても、したい事をさせてあげられるお金がないので、子供は作らないという選択をしないといけない。中小企業で働いている方が、もっと将来に希望を持てる社会にして欲しい。」 理想と現実の間で苦悩する心情が、ひしひしと伝わってきます。 アンケート調査の回答で、20代、30代の多数が望むものは「雇用創出、賃金アップ」でしたが、先程の物価高騰対策に照らしていえば、私は「物価上昇を上回る賃上げ」こそが本質的な物価高騰対策である、と考えます。 このことは「失われた30年」と言われる日本経済の停滞から脱するカギであり、断じて成し遂げなければならない国家的課題でもあります。 岸田首相の要請に応じて、労使ともに賃上げの方向へと動きが広がる中、特に大企業では今春の賃上げが次々と発表されているところでありますが、青年の指摘にあった通り、大事なことは、日本の企業数の99%を占める「中小企業の賃上げ」の実現であります。 申すまでもなく、その多くがコロナ禍や原材料・資材高などの影響で、事業や経営に深刻な打撃を受けています。 中小企業庁の調査によりますと、コスト上昇分に対する価格転嫁率は平均46.9%で、まったく価格転嫁できていない企業が約2割に及ぶなど、原材料高は中小企業の利益を強く圧迫しています。 松山市のある事業者は、「大企業が大幅な賃上げを発表しているが、地方からすれば別世界の話だ。原材料コストが高止まりを続け、光熱費や物価が急騰し、利益は減る一方で、利益を度外視して仕事を受けざるを得ない現状に虚しさを感じる。」と、呟くように語られました。 中小企業に賃上げの動きが広がらなければ、本県経済の回復と浮揚は極めて困難といえるでしょう。 中小企業が物価高を乗り越え、賃上げの原資となる収益を確保できるよう、国も県も、生産性向上や業務改善の取り組みを力強く後押しして頂きたいと思います。 そこで、お伺いします。県は、賃上げの実現につながる中小企業への支援にどう取り組んでいくのか、ご所見をお聞かせください。 〈答弁概要:経済労働部長〉 急速に進む物価上昇を受け、政府も経済界にインフレ率を上回る賃上げを要請している中、今年1月の県内主要企業75社対象の県調査では、価格転嫁を行った企業は約6割、賃上げを実施する企業は約4割に留まっており、とりわけ他社との競争激化で価格転嫁が難しい中小企業が賃上げ実現を図るためには、収益の拡大が不可欠と認識しております。 このため県では、収益の拡大に向けて前向きに取り組む県内中小企業における新たなビジネスモデルの展開を約2,100件、業務効率の改善や省エネにつながる設備投資を390件支援したほか、ローカル5Gを活用したスゴ技企業連携による経営の効率化等に取り組んだところでございます。 さらに、中小企業の稼ぐ力の強化に向け、首都圏でのリアルとデジタルを組み合わせた大型展示会の出展や、大手量販店での愛媛フェアの全国展開に加えまして、来年度はECサイト「愛媛百貨店」でのデジタルを活用した営業活動を強化して、販路開拓・販売拡大を支援するなど、引き続き、県内企業の収益拡大への取組みを幅広く支援し、賃上げ機運が中小企業にも広がり、地域経済の好循環創出につながるようしっかり取り組んで参りたいと考えております。
子ども・子育て支援についてお伺いします。 党アンケート調査で、50代の方から、次のような声が寄せられました。 「私は、“ひとり親で1歳と2歳を育てている23歳のお母さん”を応援しています。このような家庭は多く、現実は深刻です。お母さんは経済的に安定しないから、心が疲弊しています。どこで誰から生まれたなど関係なく、親子が安心して生活できる方法はないのでしょうか。」 親の経済力や家庭環境に関わらず、安心して子どもを育てられる社会にしてほしい、という切なる願いが、胸に迫ります。 私は、少子高齢化に伴う人口減少や東京一極集中が進む中、どう地域を維持し、活力ある社会を築いていくか、そのカギを握るのは「子ども・子育て支援」であると考えます。 昨年のわが国の出生数は、統計開始以来、初めて80万人を下回る見込みで、少子化が想定以上のスピードで進む中、公明党は、結婚・妊娠・出産から、子どもが社会に巣立つまで、ライフスタイルに応じた支援策を取りまとめた「子育て応援トータルプラン」を、昨年11月に発表しました。 同プランは児童手当の大幅な拡充や、高校3年生までの医療費助成、0-2歳児の保育料無償化の対象拡大をはじめ、誰もが安心して子育てできるよう支援の充実をパッケージとして盛り込んだものです。 本年4月にはこども家庭庁が発足し、子ども政策を政治のど真ん中に据えた社会の実現に向けた取組みが、いよいよスタートします。 「子ども・子育て支援」は、わが国の「隠れた安全保障」とも言われ、年金・医療・介護など、あらゆる社会基盤の持続可能性を維持していく上で、極めて重要な取組みであります。 中村知事は令和5年度当初予算案において、“人口減少対策”を重点施策に掲げ、県下の市町や地域すべての主体が協働しながら取り組むとの方針のもと、新規事業を多数盛り込み予算も大幅に拡充するなど、その積極的な姿勢を高く評価いたします。 予算案では、人口減少対策の取組みとして、「結婚・出産・子育て支援の拡充」、「仕事と育児の両立支援」、「若年者の地元就職・定着の促進」、「移住施策の更なる推進」の4つの柱を示されていますが、自然減と社会減の双方に、しっかり歯止めをかけるためのカギを握るのは、やはり「子ども・子育て支援」であると考えます。 県では、独自の取組みとして、市町や県内紙おむつメーカーとの協働により、経済的負担がより大きくなる第2子以降のいる世帯を支援するため、約1年分の紙おむつが購入できるクーポン券を交付する事業に取り組まれており、党アンケート調査でも好評の声を頂いております。 一方で、少子化が想定を上回るスピードで進行している現状や、2026年の出生数8,500人を目標に掲げられていることを踏まえますと、今後の「子ども・子育て支援」を考えていく上で、私は“第1子に焦点を当てた施策”も、より充実・強化させていく必要があると考えます。 そこで、お伺いいたします。 県は、今後の「子ども・子育て支援」にどのような方針で取り組まれるのか、ご所見をお示しください。 〈答弁概要:中村知事〉 少子高齢化に伴う人口減少につきましては、これまでも最優先で取り組んでいるものの、県内の婚姻数、出生数は10年前と比べますと約3割減少しております。一方、県の調査では、20代30代の独身男女の約8割が結婚を望み、その約7割が子どもを持ちたいと希望しており、その希望を叶えるとともに、将来的な人口構造の若返りを目指すためにも、結婚、妊娠・出産、子育てまで切れ目ない支援に取り組む必要があるものと考えます。 これまで県では、えひめ結婚支援センターを核とした取組みや、官民協働による紙おむつの購入支援、子どもの愛顔応援ファンドを活用した子育て支援等を実施してきたところでございます。今回、結婚、妊娠・出産、子育てに関する支援を抜本的に拡充し、新たに県・市町連携によるえひめ人口減少対策総合交付金を創設して、若年層の新婚世帯や第一子も含めた子育て世帯の経済的負担や家事・育児負担の軽減、子育て支援サービスの充実に向け、地域の実情に応じた市町の取組みを後押ししたいと考えております。 結婚や子どもを持ちたいという希望が叶えられる社会を構築するため、市町においても現場重視の視点で思い切った取組みを進めるとともに、企業や地域が一体となって、子どもを持ちたい人が安心して生み育てられる環境づくりを強力に推進して参りたいと思います。