初めに、新型コロナワクチン接種の準備状況について、お伺いします。ご案内の通り、先月から、国による新型コロナワクチンの先行接種が始まりました。 本県でも先月19日から、新居浜市の愛媛労災病院でスタートし、今後、医療従事者への優先接種や、高齢者をはじめ接種を希望する16歳以上のすべての県民に対し、順次実施されていくこととなります。 言うまでもなく、ワクチン接種は、コロナ禍収束の命運を左右する事業であります。国と地方が緊密に連携し、何としても成功に導かねばなりません。 接種事業の実施主体となる市町では現在急ピッチで準備を進めていますが、現時点では、医療従事者や高齢者等への優先接種以外は、いつ、どのくらいの量のワクチンが配布されるかといった詳細が不透明なため、準備がままならない状況で、国には何よりも迅速かつ正確な供給情報の提供に努めて頂きたいと思います。 一方、県では、今回の当初予算案に、新型コロナワクチン接種体制を整備する事業を盛り込み、看護師が専門的な相談に対応するコールセンターを設置するなど、円滑な予防接種体制整備に向けて取り組むこととしています。 私はこの間、地元をはじめ、県下の中山間地域や島しょ部などを訪れ、コロナ禍での様々なご要望をお聞きする中で、ワクチンに関して、例えば、 “優先接種となる基礎疾患の範囲はどこまでか”、 “副反応が出ないか不安だ”、 “妊婦に対する安全性はどうか”、 “変異株にも効くのか”、 “住民の少ない島嶼部では、優先順位をつけず一度に実施すべきではないか”、 “(かかりつけ医の)先生が打つなら、私も打ちたい” など、様々な声をお伺いしましたが、やはり、ワクチンに対する正しい理解と不安の払しょくということが何よりも重要、と実感させられました。 その意味では、国によるワクチンの先行接種や、県と伊予市が協力して先月実施したワクチン接種の模擬訓練からどんな検証結果が得られたのか、多くの県民が抱える不安の払しょくに繋がるような情報開示を求めたいと思いますし、住民に一番身近な市町においては、接種までのスケジュールや手続き等について、具体的な情報発信が極めて大事になると思います。 今回のワクチン接種は、予防接種法に基づき、妊婦を除く16歳以上の国民に努力義務が課せられていますが、あくまでも希望する県民自らの意思により実施されます。 しかし、一部の世論調査では希望する割合が3割-4割に留まるケースが見られます。 この数字については、副反応などワクチン接種に対する不安の大きさを示すものと推測しますが、一方では、ワクチンの安全性や有効性、さらにはコロナ禍収束のカギを握る国家的プロジェクトに対する理解というものをより広げる必要性があると感じています。 県におかれましては、この点につき、ぜひ、広く県民の皆様にご理解頂けるよう取り組んで頂きたいと思います。 そこで、お伺いします。新型コロナワクチンの供給スケジュールをはじめ、国の情報開示の遅れ等により、ワクチン接種の事業主体である市町が準備に困惑している中、県はどのような支援を行っていくのか。また、県が設置したコールセンターは、国や市町が開設したコールセンターとどのように役割を分担し、どう連携をおこなっていくのか、かえって県民の混乱等が生じることのないよう取り組んで頂きたいと考えますが、ご所見をお示し下さい。 <答弁概要:中村知事>ワクチンの供給スケジュールが未だ不透明な中、接種の実施主体となる市町では、先日、伊予市が集団接種を想定した訓練を実施するなど、着実に準備を進めており、県としては、ワクチン供給に係る情報共有を図るほか、接種体制の構築に不可欠な県医師会や郡・市医師会等との調整を行うことにより市町を支援しているところでございます。 伊予市での訓練には、私も参加させていただき、会場の動線や人の滞留状況を確認し、参加した医師や救急隊員から、三密回避等の感染予防対策や重篤な副反応が起きた際の対応に係る改善意見が出されるなど、円滑に進めるための課題抽出を行ったところであり、その成果は、今回の訓練には、県から全市町の参加を呼びかけ、全ての市町の参加がありましたので、今後それぞれで生かされていくものと考えております。 また、ワクチン接種に関する県民の不安を解消するため、県では副反応に対応する専門的な医療機関を確保するとともに、国・市町・県がそれぞれ役割に応じてコールセンターを開設し、国は全般的、市町はスケジュールや接種券、場所、予約方法等、県は接種後の副反応や注意事項等について、それぞれが役割ごとに丁寧に相談対応することとしております。加えて、国に対し、ワクチン接種の意義や情報を迅速かつ正確に国民に周知・広報を行うよう要請をしているところでございます。ワクチン供給の全体的なスケジュールは、まだ国から示されていないが、今後とも、準備に万全を期して参りたいと思います。
次に、養殖真珠の産地支援についてお伺いします。昨年夏、コロナ禍で大きな打撃を受けているマダイや真珠など、海面養殖業の実態を調査するため、わが党の石田祝稔副代表と宇和島市へ、谷合正明参議院幹事長と西予市へ、笹岡博之県議ととともにお伺いしました。 養殖業者からは、“そもそも養殖業は生産から販売までをサイクルで回す商売やけん、物流・商流が止まったら成り立たんのよ”といった悲痛な声とともに、“販売ルートさえできれば、まだまだ業界は持続可能やけん、ぜひ強力な支援をお願いしたい”とのご要望を頂きました。 そうした本県の現場の声を、本年1/28の参議院予算委員会において谷合議員が取り上げ、真珠の輸出戦略について質問を行いました。 中継の様子をテレビで見ながら、小さな声を聴く力、そして国と地方のネットワークで政策実現をめざす公明党の一員として大変心強く感じた次第でありますが、その際の質疑も踏まえ、お伺いしたいと思います。 農水省が先月発表した2020年の農林水産物・食品の輸出額は、前年比1.1%増の9,223億円で、8年連続での過去最高を記録しました。第一次産業が基幹産業である本県にとって嬉しいトレンドではありますが、わが国の世界での順位は2019年実績で44位でありますから、輸出の伸びしろについて、まだまだ大きな期待が膨らみます。 中でも真珠は、国内販売よりも輸出による売り上げが大きく、その輸出先の約8割は香港となっています。毎年、世界中から宝飾品バイヤーを集め国際展示商談会が開催されるなど、本県の養殖真珠にとって香港は、世界市場への重要なゲートウェイとなっているのです。 しかし、漁業者の話では、コロナの影響で、昨年から香港での商談会の開催中止が続き、国内販売だけで全量を捌くことはとても困難で、結果、大量の在庫を抱え、稚貝の購入にも躊躇せざるを得ない状況とのことでした。本来得られたであろう収入が得られず、将来への投資さえためらう事態の深刻さに、胸が締めつけられる思いがいたしました。 農水省の発表によりますと、昨年1年間の輸出額で特に大きく落ち込んだのが真珠であり、その額は前年比77%減の76億円となります。そもそも真珠養殖の発祥の地は日本であり、長年にわたって世界から、その生産技術と繊細な加工技術が高く評価され、本県では南予を中心に発展し、漁村と地域経済を力強く支えてきました。真珠養殖は、10年連続生産量日本一を誇る本県にとって、正に“宝”の産業であります。 先の谷合議員の質問に対し、菅総理からは、「2030年に輸出額5兆円の目標を定め、昨年取りまとめた「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」に重点27品目を設定するなど、国別に目標金額を定めて産地を支援する政策を行っていく」旨の答弁があり、真珠を含めた27品目の生産基盤を強化するなどし、地方の所得を引き上げていくとの決意が述べられました。 また、野上農林水産大臣は、「香港を経由せずに中国等に直接輸出できるように、真珠の品質基準を定めて電子商取引による販売促進をしていくほか、シンガポール等の新興市場への販路の開拓、拡大の取り組みも促進してまいりたい」との具体的な取組みについて答弁がありました。 いずれも前向きで力強い国としての指針が示され、本県漁業者に少しでも光が届けられるよう、県におかれましては、ぜひ国との連携、そして官民一体で、この難局を乗り越えるべく、リーダーシップを発揮してほしいと思います。 そこで、お伺いします。コロナ禍において本県の真珠養殖業が深刻な状況にある中、県はどのような産地支援に取り組んでいくのか、ご所見をお示しください。 <答弁概要:中村知事>一昨年夏に発生したアコヤガイの大量へい死が、真珠生産者の経営に大きな影響を与えている中、新型コロナの世界的なまん延により真珠の輸出が大きく落ち込んだことから、加工や輸出を担う国内商社が大量の在庫を抱え、県漁協主催の今年度の入札会が全て中止に追い込まれるなど、真珠産地は非常に厳しい状況に陥っており、へい死対策のみならず、生産から販売に至る幅広い支援が必要と認識しています。 大量へい死の原因については、感染症の可能性が強く示唆されたものの、病原体の特定や病原性の強さなど不明な点も多いことから、県では、引き続き、国や他の県と連携して原因究明を進めるとともに、安定生産に向けた技術指導や種苗生産施設の強化に加え、「感染症にも強い貝づくり」を加速化するなど、生産振興に努めているところでございます。 また、販売面では、今年度、県や生産者、関係団体等で構成する「県真珠販売促進協議会」を立ち上げ、国内向けにヒメパールのECサイトを開設したところであり、来年度からは、協議会に宇和島市も加わり、近く策定予定の「県真珠振興計画」に沿って、県が関与した事案としては初の輸出が実現した台湾など国内外でのPRや、デジタルマーケティングによる販売促進に積極的に取り組んでいきたいと思います。引き続き、国の輸出拡大実行戦略に基づく産地指定も追い風にして、日本一の真珠産地の維持・発展に向け強力に支援をして参りたいと考えております。
県営住宅の連帯保証人について、お伺いいたします。近年、高齢者を中心に、県営住宅への入居を希望するご相談を頂く機会が増えてまいりました。 公営住宅法によりますと、公営住宅は、「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃借し、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する」ことが目的と規定されており、経済的に大変な方々にとって県営住宅は、住宅セーフティネットであり、最後の命綱といえます。 国立社会保障・人口問題研究所によりますと、高齢者人口のピークは2040年頃とされ、まだまだ高齢化が進行する中、独居世帯の増加等により、住宅に困窮する人は今後ますます増えていくことが予測されます。 一方、国交省の調査によりますと、2016年度・17年度において「保証人を確保できないため入居を辞退したり拒まれたりしたケース」が全体の約2割の自治体で発生し、頼れる親類や知人がいない高齢者が多く見られたとのことです。実際、私の元に寄せられるご相談でも同様の不安を抱く方々が増えていると感じています。 県として今後、“住宅難民”といった深刻な社会問題に発展することのないよう、2040年に備え今から、対策を講じるべきであります。 ご案内の通り、昨年4月から改正民法が施行され、保証人が負う上限額の設定が義務づけられることとなりました。 しかし、あらかじめ具体的な金額が示されることにより、かえって引き受け手の確保が困難になり、行き場を失う入居申し込み者が増える恐れがあるため、国交省はその前段となる2018年3月、都道府県と政令指定都市に対し、保証人に関する規定を削除した標準条例案を示し、地域の実情等を総合的に勘案して、適切な対応を行うよう、通知を出しました。 これに対し、滞納家賃を徴収できなくなるといった意見がありますが、連帯保証人が既に健在でなく、あるいは健在であっても弁済能力を有していない場合も少なくなく、徴収の担保機能としては形骸化しているとの指摘もあります。 また、他県では、保証人がいる世帯と、やむを得ない事情で保証人を確保できないまま入居している世帯とで、県営住宅の家賃徴収率にほとんど差は見られなかったとの報告がある他、入居者の安否確認等を行う身元引受人の意味合いから言うと、必ずしも保証人でなくとも地域等でその役割を見出すことは十分可能との声もあります。 県では、一連の国の動きに対応して条例を改正し、昨年4月から、必要な連帯保証人を2名から1名に改めたと承知しており、このことはわが会派として中村知事に一貫して要望してきたところであり、要件緩和の推進に対し感謝を申し上げたいと思います。 他方で、その1名の連帯保証人を確保することがまだ課題として残っており、例えば、身寄りのない独居高齢者等にとってそれがどれほど困難か、入居をあきらめる方々にとってどれほど残念か、当事者のお話を伺うたび、身を切られる思いがいたします。 国は、“公営住宅の目的を踏まえると、保証人を確保できないために入居できないといった事態が生じないようにしていくことが必要であり、保証人確保を公営住宅の入居に際しての前提とすることから転換すべき”との考えを明らかにしています。 また、連帯保証人の廃止について、いくつかの市では“県の動向を注視し検討したい”との見解が示されておりますが、そうであれば、県が廃止を決断すれば一気に市町への普及が広がり、“住宅確保要配慮者”の大きな安心に繋がっていくのではないでしょうか。 さらに、国交省の調査によりますと、既に、福島、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、岡山、福岡等の18都道府県では保証人を求めないこととしており、真に住宅を必要とする、いわゆる“住宅確保要配慮者”に対して連帯保証人を不要とすることは、公営住宅法の趣旨に照らしても、高齢化のピークに向かう時代の趨勢に照らしても、私は時宜を得た判断であろうと考えるのであります。 そこで、お伺いします。県営住宅の入居に際し、国の指針や市町の動向を踏まえるとともに、何より、県営住宅への入居を希望される方々を取り巻く実態と、切実な心情に寄り添った対応が求められていると考えますが、県として県営住宅の連帯保証人の取り扱いについてどのように考えているのか、ご所見をお示しください。また、先般の国の通知を受け、連帯保証人に係る条例改正など、県内市町の動向はどうか、併せてお示しください。 <答弁概要:土木部長>県営住宅における連帯保証人は、滞納家賃の肩代わりや入居者に不測の事態が発生した際の緊急連絡先として、また万が一の入居者死亡の際の手続き代行など、住宅管理を行う上で、これまで一定の役割を果たしてきたと認識しております。 しかしながら、昨今の入居希望者の高齢化等により、保証人の確保が難しくなっている状況を踏まえ、県では、令和2年4月より、連帯保証人を2名から1名に緩和するとともに、従来より入居希望者が連帯保証人の確保に努めたにもかかわらず、それが困難な場合には、緊急連絡先を事前に申し出ることを要件に入居可能としており、住宅セーフティネットの観点から、柔軟な対応にも努めているところでございます。 なお、県内の市町営住宅では令和2年度から新居浜市が連帯保証人を不要としているほか、6市町においても1名に緩和しており、県としても、緩和による影響や他県の動向を注視しながら、保証人の必要性や滞納抑止につながる対応策等を検証し、県営住宅の適正な管理に努めて参りたいと考えております。