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2021年 2月定例会(3/5)

テーマ未来世代対策

県営住宅の連帯保証人について(2021年2月定例会)

県営住宅の連帯保証人について、お伺いいたします。
近年、高齢者を中心に、県営住宅への入居を希望するご相談を頂く機会が増えてまいりました。

公営住宅法によりますと、公営住宅は、「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃借し、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する」ことが目的と規定されており、経済的に大変な方々にとって県営住宅は、住宅セーフティネットであり、最後の命綱といえます。

国立社会保障・人口問題研究所によりますと、高齢者人口のピークは2040年頃とされ、まだまだ高齢化が進行する中、独居世帯の増加等により、住宅に困窮する人は今後ますます増えていくことが予測されます。

一方、国交省の調査によりますと、2016年度・17年度において「保証人を確保できないため入居を辞退したり拒まれたりしたケース」が全体の約2割の自治体で発生し、頼れる親類や知人がいない高齢者が多く見られたとのことです。実際、私の元に寄せられるご相談でも同様の不安を抱く方々が増えていると感じています。

県として今後、“住宅難民”といった深刻な社会問題に発展することのないよう、2040年に備え今から、対策を講じるべきであります。

ご案内の通り、昨年4月から改正民法が施行され、保証人が負う上限額の設定が義務づけられることとなりました。

しかし、あらかじめ具体的な金額が示されることにより、かえって引き受け手の確保が困難になり、行き場を失う入居申し込み者が増える恐れがあるため、国交省はその前段となる2018年3月、都道府県と政令指定都市に対し、保証人に関する規定を削除した標準条例案を示し、地域の実情等を総合的に勘案して、適切な対応を行うよう、通知を出しました。

これに対し、滞納家賃を徴収できなくなるといった意見がありますが、連帯保証人が既に健在でなく、あるいは健在であっても弁済能力を有していない場合も少なくなく、徴収の担保機能としては形骸化しているとの指摘もあります。

また、他県では、保証人がいる世帯と、やむを得ない事情で保証人を確保できないまま入居している世帯とで、県営住宅の家賃徴収率にほとんど差は見られなかったとの報告がある他、入居者の安否確認等を行う身元引受人の意味合いから言うと、必ずしも保証人でなくとも地域等でその役割を見出すことは十分可能との声もあります。

県では、一連の国の動きに対応して条例を改正し、昨年4月から、必要な連帯保証人を2名から1名に改めたと承知しており、このことはわが会派として中村知事に一貫して要望してきたところであり、要件緩和の推進に対し感謝を申し上げたいと思います。

他方で、その1名の連帯保証人を確保することがまだ課題として残っており、例えば、身寄りのない独居高齢者等にとってそれがどれほど困難か、入居をあきらめる方々にとってどれほど残念か、当事者のお話を伺うたび、身を切られる思いがいたします。

国は、“公営住宅の目的を踏まえると、保証人を確保できないために入居できないといった事態が生じないようにしていくことが必要であり、保証人確保を公営住宅の入居に際しての前提とすることから転換すべき”との考えを明らかにしています。

また、連帯保証人の廃止について、いくつかの市では“県の動向を注視し検討したい”との見解が示されておりますが、そうであれば、県が廃止を決断すれば一気に市町への普及が広がり、“住宅確保要配慮者”の大きな安心に繋がっていくのではないでしょうか。

さらに、国交省の調査によりますと、既に、福島、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、岡山、福岡等の18都道府県では保証人を求めないこととしており、真に住宅を必要とする、いわゆる“住宅確保要配慮者”に対して連帯保証人を不要とすることは、公営住宅法の趣旨に照らしても、高齢化のピークに向かう時代の趨勢に照らしても、私は時宜を得た判断であろうと考えるのであります。

そこで、お伺いします。
県営住宅の入居に際し、国の指針や市町の動向を踏まえるとともに、何より、県営住宅への入居を希望される方々を取り巻く実態と、切実な心情に寄り添った対応が求められていると考えますが、県として県営住宅の連帯保証人の取り扱いについてどのように考えているのか、ご所見をお示しください。
また、先般の国の通知を受け、連帯保証人に係る条例改正など、県内市町の動向はどうか、併せてお示しください。

<答弁概要:土木部長>
県営住宅における連帯保証人は、滞納家賃の肩代わりや入居者に不測の事態が発生した際の緊急連絡先として、また万が一の入居者死亡の際の手続き代行など、住宅管理を行う上で、これまで一定の役割を果たしてきたと認識しております。

しかしながら、昨今の入居希望者の高齢化等により、保証人の確保が難しくなっている状況を踏まえ、県では、令和2年4月より、連帯保証人を2名から1名に緩和するとともに、従来より入居希望者が連帯保証人の確保に努めたにもかかわらず、それが困難な場合には、緊急連絡先を事前に申し出ることを要件に入居可能としており、住宅セーフティネットの観点から、柔軟な対応にも努めているところでございます。

なお、県内の市町営住宅では令和2年度から新居浜市が連帯保証人を不要としているほか、6市町においても1名に緩和しており、県としても、緩和による影響や他県の動向を注視しながら、保証人の必要性や滞納抑止につながる対応策等を検証し、県営住宅の適正な管理に努めて参りたいと考えております。

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