議会質問

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2021年 2月定例会(3/5)

テーマ未来世代対策

養殖真珠の産地支援について(2021年2月定例会)

次に、養殖真珠の産地支援についてお伺いします。
昨年夏、コロナ禍で大きな打撃を受けているマダイや真珠など、海面養殖業の実態を調査するため、わが党の石田祝稔副代表と宇和島市へ、谷合正明参議院幹事長と西予市へ、笹岡博之県議ととともにお伺いしました。

養殖業者からは、“そもそも養殖業は生産から販売までをサイクルで回す商売やけん、物流・商流が止まったら成り立たんのよ”といった悲痛な声とともに、“販売ルートさえできれば、まだまだ業界は持続可能やけん、ぜひ強力な支援をお願いしたい”とのご要望を頂きました。

そうした本県の現場の声を、本年1/28の参議院予算委員会において谷合議員が取り上げ、真珠の輸出戦略について質問を行いました。
中継の様子をテレビで見ながら、小さな声を聴く力、そして国と地方のネットワークで政策実現をめざす公明党の一員として大変心強く感じた次第でありますが、その際の質疑も踏まえ、お伺いしたいと思います。

農水省が先月発表した2020年の農林水産物・食品の輸出額は、前年比1.1%増の9,223億円で、8年連続での過去最高を記録しました。第一次産業が基幹産業である本県にとって嬉しいトレンドではありますが、わが国の世界での順位は2019年実績で44位でありますから、輸出の伸びしろについて、まだまだ大きな期待が膨らみます。

中でも真珠は、国内販売よりも輸出による売り上げが大きく、その輸出先の約8割は香港となっています。毎年、世界中から宝飾品バイヤーを集め国際展示商談会が開催されるなど、本県の養殖真珠にとって香港は、世界市場への重要なゲートウェイとなっているのです。

しかし、漁業者の話では、コロナの影響で、昨年から香港での商談会の開催中止が続き、国内販売だけで全量を捌くことはとても困難で、結果、大量の在庫を抱え、稚貝の購入にも躊躇せざるを得ない状況とのことでした。本来得られたであろう収入が得られず、将来への投資さえためらう事態の深刻さに、胸が締めつけられる思いがいたしました。

農水省の発表によりますと、昨年1年間の輸出額で特に大きく落ち込んだのが真珠であり、その額は前年比77%減の76億円となります。
そもそも真珠養殖の発祥の地は日本であり、長年にわたって世界から、その生産技術と繊細な加工技術が高く評価され、本県では南予を中心に発展し、漁村と地域経済を力強く支えてきました。真珠養殖は、10年連続生産量日本一を誇る本県にとって、正に“宝”の産業であります。

先の谷合議員の質問に対し、菅総理からは、「2030年に輸出額5兆円の目標を定め、昨年取りまとめた「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」に重点27品目を設定するなど、国別に目標金額を定めて産地を支援する政策を行っていく」旨の答弁があり、真珠を含めた27品目の生産基盤を強化するなどし、地方の所得を引き上げていくとの決意が述べられました。

また、野上農林水産大臣は、「香港を経由せずに中国等に直接輸出できるように、真珠の品質基準を定めて電子商取引による販売促進をしていくほか、シンガポール等の新興市場への販路の開拓、拡大の取り組みも促進してまいりたい」との具体的な取組みについて答弁がありました。

いずれも前向きで力強い国としての指針が示され、本県漁業者に少しでも光が届けられるよう、県におかれましては、ぜひ国との連携、そして官民一体で、この難局を乗り越えるべく、リーダーシップを発揮してほしいと思います。

そこで、お伺いします。
コロナ禍において本県の真珠養殖業が深刻な状況にある中、県はどのような産地支援に取り組んでいくのか、ご所見をお示しください。

<答弁概要:中村知事>
一昨年夏に発生したアコヤガイの大量へい死が、真珠生産者の経営に大きな影響を与えている中、新型コロナの世界的なまん延により真珠の輸出が大きく落ち込んだことから、加工や輸出を担う国内商社が大量の在庫を抱え、県漁協主催の今年度の入札会が全て中止に追い込まれるなど、真珠産地は非常に厳しい状況に陥っており、へい死対策のみならず、生産から販売に至る幅広い支援が必要と認識しています。

大量へい死の原因については、感染症の可能性が強く示唆されたものの、病原体の特定や病原性の強さなど不明な点も多いことから、県では、引き続き、国や他の県と連携して原因究明を進めるとともに、安定生産に向けた技術指導や種苗生産施設の強化に加え、「感染症にも強い貝づくり」を加速化するなど、生産振興に努めているところでございます。

また、販売面では、今年度、県や生産者、関係団体等で構成する「県真珠販売促進協議会」を立ち上げ、国内向けにヒメパールのECサイトを開設したところであり、来年度からは、協議会に宇和島市も加わり、近く策定予定の「県真珠振興計画」に沿って、県が関与した事案としては初の輸出が実現した台湾など国内外でのPRや、デジタルマーケティングによる販売促進に積極的に取り組んでいきたいと思います。引き続き、国の輸出拡大実行戦略に基づく産地指定も追い風にして、日本一の真珠産地の維持・発展に向け強力に支援をして参りたいと考えております。

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