議会質問

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2017年 9月定例会(8/24)

テーマ未来世代対策

労働力確保について(2017年9月定例会)

労働力確保について - 質問 -

最後に、労働力確保についてお伺いいたします。

先月下旬、常任委員会の県外視察が一斉に行われました。私が所属する経済企業委員会は、埼玉県の川越市でインバウンド施策について、秩父市で観光DMOについて、また、川口市の機械メーカーでは、CNFの今後の普及に向けた課題について、東京都大田区では、日本有数のものづくりのまちの次世代戦略について調査を行いました。

それらの視察を通し、私が最も痛感したのは労働力確保という問題であります。今回伺ったのは首都圏でしたが、そうした地域にあっても本県同様、少子高齢化と人口減少問題が深刻なのであります。

今、我が国の既存産業の多くにおいて、社員の高齢化やリタイアが進み、それを数においても、質においても、十分に補い切れていないという、いわゆる労働力不足、担い手問題が生じておりますが、これはどの地域もおおむね同様ということを改めて痛感させられたのであります。

一般に労働力とは、生産年齢人口である15歳から64歳を指しますが、今から約20年前の1995年は、その数約8,700万人で、現在は約7,700万人。1,000万人減っているわけでありますから、どの地域、どの業界であれ、人手不足の感に覆われるのは当然と言えるでしょう。

しかし、問題なのは、今後、さらなる深刻な事態が予想される点です。将来推計上、労働力の減少が向こう50年間続くことが、既に確定しているからであります。この問題を私たちはどう乗り越えるべきでしょうか。全国で絶対数が減り続けるわけですから、県外から確保するとしても、どこかの県が足りれば、どこかの県で足らなくなるトレードオフとなり、抜本的な解決策とはなりません。では、移民の受け入れはどうかといいますと、アメリカやイギリスの動向を見ても、これが直ちに現実的な対策になるとも思えません。

ここで、私が重要と考えるのは、生産性の向上と労働力の見直し、この2点です。

御承知のとおり、生産性の向上についてはさまざまな指摘があります。

その一つ、OECD加盟35カ国の2015年のデータによりますと、我が国の1人当たり労働生産性は第22位、全体の平均値以下です。ということは、伸び代大であり、この点を国でも重要視し、6月に発表された政府の骨太方針の副題を「人材への投資を通じた生産性向上」とし、施策を体系化するなど大変意欲的なのであります。

ただ私は、この生産性の向上については、企業や個人、地方の努力はもちろんでありますが、それ以上に国が未来社会の姿として描く、超スマート社会であるSociety5.0を見据えた産業構造の転換やイノベーションによる新たな需要の創出、抜本的な働き方改革あるいは海外成長市場を取り込む新たな貿易の枠組みなど、次の日本をどういう国にしていくのかという、国の決断に係る部分が非常に大きいと思うのであります。

したがって、国会は政局ではなく、そうした本題に切り込んだ活発な論戦をお願いしたいと強く念願するものであります。
もう一点は、労働力の見直しであります。

現在、労働力、つまり生産年齢人口は、15歳から64歳ということになっております。15歳というのは中学卒業年齢です。そして、65歳以上が高齢者とされておりますから、その手前の64歳までが労働力という区分です。

この65歳以上を高齢者というふうに定義、区分したのは、今から約60年前、国連のレポートが最初と言われます。これは、当時我が国の平均寿命が男性63歳、女性67歳でありましたから、まず妥当な区分だったと言えるでしょう。

しかし、現在、我が国の平均寿命は、男性80.98歳、女性87.14歳と、当時に比べ約20年近く長くなりました。しかも、あくまでも平均ですから、人生100年を生きる方々も今はふえており、今後ますますふえてくるでしょう。そうなりますと、65歳は果たして高齢者と言えるかどうか。実際、私の周りの65歳くらいの方を見ましても、その多くがお元気ですし、お年寄りと呼ぶには、少なからず違和感を感じるのも事実です。

その意味で、本年1月に、日本老年学会が行いました高齢者の定義を75歳以上に見直すべきという提言は、私は、将来に向けて投じられた極めて重要な一石と考えるのであります。私自身、高齢者を年齢で一くくりにするのはどうか、75歳という線引きは妥当かという疑問はあるものの、仮に働きたい方が働ける環境があるとすればどうでしょう。

現在、我が国の65歳から74歳の人口は、約1,700万人。予測では20年後、約1,500万人、50年後、約1,100万人と、実はこの層は、長期にわたって安定的なボリュームで推移すると見られているのです。前提条件がつくとはいえ、労働力としての可能性には非常に大きなものがありますし、健康でいる限り何らかの社会貢献を望む方も多いのではないかと思います。

加えて、女性の活躍です。

今年度版の男女共同参画白書によりますと、女性の年齢階級別労働力率の推移、いわゆるM字カーブは、最近40年間にカーブの底は大幅に上昇し、くぼみが浅くなっております。しかし、依然としてM字型の曲線を描き、25歳から29歳と35歳から39歳の期間では、およそ10ポイントの差が生じております。

M字カーブを解消し、仕事か家庭かという、女性にとって二者択一の時代には、何としても終止符を打たねばなりません。そして、結婚しても、出産しても、子育てを終えてからでも、本人の意思と能力により仕事が持続できる、多様な労働を選択できる、そういう社会に変革していかなければなりません。それは労働力確保という側面はもちろんでありますが、生産性の向上やSociety5.0の実現に向けて必要不可欠と考えるからであります。

つまり労働力の概念と定義を今の実態、さらにはこれからの時代に合わせた形で見直し、今は高齢者とされている60代、70代の方々や幅広い女性層が、次の時代を担う重要な労働力の一角として明確に位置づけられる社会を実現することが、私は人口減少時代において、目指すべき一つの方向性と考えるのであります。

そこで、お伺いします。

人口減少が数十年以上にわたって続き、生産年齢人口が減っていく中で、県は、労働力確保にどのように取り組まれるのか。また、労働力確保の観点から、高齢者の定義の見直しに関する日本老年学会の提言に対し、どのような所感を持っているのか。

さらには、本県における女性活躍社会のあり方をどのように想定するのか、見解をお示しください。

以上で私の質問を終わります。
御清聴まことにありがとうございました。

労働力確保について - 答弁 -

答弁:中村知事

次に、労働力確保についての御質問ですが、景気が緩やかな回復基調を続ける中で、労働市場の人手不足はバブル期並みになっており、今後も、少子高齢化の進行により、生産年齢人口の減少が見込まれますことから、潜在的な労働力として期待される高齢者や女性などの労働参入を促し、量的確保を図るとともに、労働者の質を高め、生産性を向上させることが重要であると認識します。

このため、県では、高齢者の雇用フェスタを開催し、事業主に対する意識啓発を図るとともに、シルバー人材センターが行う育児・介護等現役世代を支える分野への高齢者の派遣就業などを支援するほか、えひめ子育て応援企業の認証や女性向けのキャリアアップセミナーの実施などにより、女性が働きやすく、能力を発揮できる環境整備に努めており、さらに外国人の県内就職を拡大するため、愛媛大学と連携して、留学生就職促進プログラムを推進するなど、さまざまな人材の労働参入に努めているところでございます。

また、技能検定による若年者の職業能力開発や高等技術専門校における各種職業訓練の実施など、労働者の技能の高度化による生産性向上を図る取り組みを進めており、今後とも、国や経済団体等と連携して、地域経済の活性化の基盤となる労働力の確保対策に取り組んでまいりたいと思います。

次に、女性活躍社会についての御質問でございますが、活力ある社会を維持していくためには、最大の潜在力である女性の力が、働く場を初め、社会のあらゆる分野で発揮されることが重要であると考えており、県では、昨年3月、女性活躍推進計画を策定し、主要課題に意思決定の場への女性の参画拡大、家庭生活と仕事、地域活動が両立する環境整備、女性の活躍と男性中心型の働き方等の見直し、これを掲げまして、全庁挙げて各種施策を推進しているところでございます。

県としては、働くことを希望する女性が仕事を持てるだけでなく、職場、家庭、地域で、男女ともにその個性と能力を十分に発揮できる働き方、生き方が可能な女性活躍社会を目指した取り組みを進め、働く人の幸せや地域の発展、魅力向上につなげていきたいと考えております。

また、女性活躍を推進するには、組織トップが行動することが重要でありますことから、私自身も先頭に立ちまして、市町やえひめ女性活躍推進協議会等と連携して、ひめボスの輪の拡大に努めており、加えて、このたび内閣府が推進する輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会へ参画することとしたところであり、今後とも、オール愛媛体制で、未来を切り開く女性活躍社会の実現に向けた取り組みを進めてまいりたいと思います。

答弁:経済労働部長

労働力確保の御質問のうち、高齢者の定義の見直しについてお答えをいたします。

日本老年学会の高齢者の定義を75歳以上に見直すという提言につきましては、高齢者の心身の健康に関する各種データの専門的な検討結果を踏まえた医学的見地からの問題提起であると受けとめております。

一方で、労働力確保の観点からは、少子高齢化が進行し、労働力不足が課題となっている中で、65歳以降においても、働く意欲のある高齢者が能力や経験を生かし、年齢にかかわりなく働くことができる生涯現役社会を目指すことが重要であると認識をいたしております。

県といたしましては、今後とも、高齢者の就業機会の確保、提供を図るため、国や市町、シルバー人材センター等の関係団体と連携して、地域の実情に応じたきめ細かな支援や事業主に対する啓発活動等に努め、生涯現役社会の実現を図ってまいりたいと考えております。

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