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2017年 9月定例会(8/24)

テーマ地域経済対策

日欧EPA大枠合意について(2017年9月定例会)

日欧EPA大枠合意について - 質問 -

日欧EPAについてお伺いします。

日本とEUの経済連携協定EPAが、先月、大枠合意に達しました。

御承知のとおりEPAとは、2国間や多くの国・地域間で交わす国際協定のことで、農産物や工業製品などの輸入に係る関税を撤廃、削減するほか、投資や知的財産の保護に関するルールを包括的に定めるものであります。

日欧EPAが発効すれば、域内の総人口は約6億4,000万人に上り、世界のGDPの約3割を占める巨大な自由貿易圏が誕生することになります。米国がTPPからの離脱を表明するなど、保護主義的な動きが世界に広がる中、日欧が自由貿易体制を守り抜く強い決意を世界に示した点で、非常に意義深い合意と評価されています。

特に注目されているのが、関税の撤廃・引き下げで、撤廃は欧州向け全品目の約99%、日本の輸入品目でも90%以上を占め、協定が発効されれば、輸入食品を中心とした値下がりにより、消費者に幅広い恩恵が及ぶことが期待されます。

また、協定は、日本からEUへの輸出でもメリットが多く、輸出拡大の追い風になると言われています。欧州が日本製の自動車に課す10%の関税は段階的に引き下げられ、7年で撤廃。自動車部品や一般機械、化学工業製品、電気機器の関税も即時ゼロに。交渉が難航したテレビも5年間かけて関税を撤廃。日本酒や緑茶の関税も即時撤廃の見通しで、欧州への輸出拡大が大いに期待されます。

一方、深刻な打撃が懸念されるのが酪農です。中でもチーズについては、一部品目でTPPを上回る自由化が実現することになります。酪農王国北海道では、牛乳の全生産量の8割以上が、チーズなどの加工原料乳として生産されていますが、加工乳と飲用乳の需給バランスが大きく崩れる可能性が指摘されています。

EUへの輸出に際しましては、牛肉、豚肉、鳥肉も関税が撤廃されますが、豚肉、鳥肉については、飼育基準などを満たしていないことを理由に、EUは輸入を認めておりません。今後の政府間交渉では、こうした障害を乗り越えることが求められ、紛争処理のルールなど詰めるべき点がまだまだ残っております。合意をどう発効につなげていくのか、今後の交渉作業と国内対策の整備が注目されます。

日欧EPAについては、県内でも、関税撤廃により海外販路の拡大が期待される日本酒業界から、欧州で日本酒が身近になると評価する声が上がる一方で、価格競争の激化が予想される農畜産業への影響を懸念する農業団体からは、生産現場では不安と不満が広がっているといった声が上がるなど、賛否が分かれているのが現状です。

そこで、お伺いします。

知事は、日欧EPA大枠合意をどのように受けとめているのか。また、本県へのメリット、デメリットの見通しと対応はどうか、御所見をお示しください。

日欧EPA大枠合意について - 答弁 -

答弁:中村知事

次に、日欧EPAに関連する御質問でございます。

人口減少によって、国内市場の縮小が懸念される中、我が国が持続的な経済成長を実現していくためには、世界経済の需要を取り込んでいくことが必要不可欠であり、そのための他国との経済連携は避けられないものと考えておりますが、本交渉では、地方の基幹産業である農林水産業を初め、経済活動の幅広い分野でさまざまな影響が想定されますことから、大枠合意後、直ちに全国知事会を通じ、政府に迅速かつ詳細な説明と万全な対応策を講じるよう要請しているところでございます。

現時点で把握している合意内容からは、ほとんどの品目の関税が即時または将来的に撤廃されることとなっており、輸出面では、例えば本県が誇るブランド産品であるタオル製品の輸出拡大の追い風になるほか、和食文化に注目が集まっている今日、本県にも多くの蔵元がある日本酒の販路開拓につながるものではないかと考えます。

一方、輸入面では、酪農や養豚に加え、木材生産へのマイナスの影響が心配されますことから、農林水産業を基幹産業とする本県としては、引き続き交渉の推移を注視するともに、今後明らかとなってくる政府からの詳細な合意内容や影響、対策等を踏まえて、関係者の不安払拭に向けた対応が必要と認識しています。

今後は、攻めの対策として、この機会をチャンスと捉えて、営業本部を中心に県産品のEU向け輸出拡大に注力するとともに、守りの対策として、国の支援策導入も含めて農林水産業の体質強化や競争力向上などに生産者や企業、団体とも連携し、積極的に取り組んでまいりたいと思います。

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