議会質問

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2017年 2月定例会(3/6)

テーマ高齢世代対策

健康長寿の取り組みについて(2017年2月定例会)

健康長寿の取り組みについて - 質問 -

公明党の木村誉でございます。
早速質問に入らせていただきます。

初めに、健康長寿の取り組みについてお伺いいたします。

御案内のとおり、現在我が国は、世界で最も高齢化率の高い超高齢社会に直面しています。社会保障費は既に100兆円を超え、直近の2016年度で約118兆円、そして、団塊の世代がいわゆる後期高齢者となる2025年には約145兆円に膨らむと言われております。財政再建をなし遂げ、将来にわたり社会保障制度を維持するためにも、私たちは、国民の皆様の理解を得ながら、その伸びを合理的に抑制しなければなりません。

そこで、今、注目されるのが、日本老年医学会が提唱するフレイル対策であります。

フレイルとは、高齢者が身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態で、介護が必要となる前段階を指し、適切な心がけによっては、生活機能の悪化予防や回復、また、自立した状態を維持することが可能と言われます。

本県の第2次県民健康づくり計画では、健康寿命の延伸をまず第一に掲げておりますが、私は、県民にとっても、社会保障費の抑制を図る上においても、まさに正鵠を射た取り組みであると評価するものであります。

本県の2010年における平均寿命は、男性が79.23歳、女性が86.65歳、一方、健康寿命は、男性69.63歳、女性73.89歳となっており、差し引いた期間、つまり寝たきりを含め何らかの介護を必要とする期間は、男性で9.6年、女性で12.77年となります。健康寿命の延伸とは、すなわちこの期間をできるだけ短くする取り組みであり、そのために重要となるのがフレイル対策なのであります。

このフレイル対策については、国と大阪府高石市など6市特区による健幸ポイント事業や神奈川県の未病ブランド戦略など意欲的な取り組みが全国各地で行われておりますが、私は今回、官民協働で成果を上げている高知県の「健康パスポート事業」について取り上げてみたいと思います。

先日、高知県庁を訪ね、健康長寿政策課の中島課長からお話を伺いました。

そもそも高知県では、働き盛りの死亡率が非常に高く、1人当たりの医療費が全国第1位という不名誉な現状があり、事態の改善に向けて調査分析を行う中、特に働き盛りの世代において、日常的な健康づくりがほとんどできておらず、死亡原因の4割が生活習慣病であることが判明。そして、2010年に日本一の健康長寿県構想を掲げ対策を開始したのであります。

しかし、健康的な生活習慣の定着に向けて啓発活動に注力するものの、なかなか思うような改善行動につながらない。果たしてどうすれば県民の皆様方に自分事として取り組んでもらえるのか、そうした試行錯誤が続く中、2015年5月に改正健康保険法が施行され、加入者へのインセンティブの提供が自治体や協会けんぽ等、保険者の努力義務として位置づけられることになりました。

これを機に、県と自治体、健保組合の協議がスタート、魅力あるインセンティブをキーワードに、働き盛り世代が日常生活を送る中で、簡単に楽しく自然と健康になっていける取り組みを目指し、昨年9月に立ち上げたのが「健康パスポート事業」であります。

20歳以上の県民を対象としたその仕組みは、まず、がん検診やメタボ健診、人間ドックなどの健診を受けたり、献血やマラソン大会などの健康イベントに参加したり、プール、スポーツジム、ボウリングなどの運動施設を利用したりすると事業パンフレットが配布され、参加、利用するたびごとにヘルシーポイントが付与されます。

次に、ヘルシーポイントをためて、パンフレット附属の郵便はがきに張りつけ県や自治体に送ると、おしゃれな健康パスポートが自宅に届けられ、ここから健康づくりが始まります。

そして、健康パスポートに、先ほど述べた各種の取り組みに参加するたびにもらえるヘルシーポイントをこつこつ張りながら、一定数をクリアすると、抽せんで自転車や10万円分の旅行ギフト券など豪華景品が当たります。特典はそれだけではありません。健康パスポートを提示するだけで、スーパーマーケットやスポーツジム、温泉、飲食店などで何度でも割引が受けられるほか、自治体によってはさらに地域商品券などのプラスアルファがついてくるのです。

昨年9月の事業立ち上げ直後から予想を上回る反響があり、現在までに全市町村と県内1,181の協力店が参加、パスポートの交付者数は半年足らずで9,000人を超えるハイペースで推移しており、現在は増刷中とのこと。特筆すべきは、その4割がこれまで健康づくりがほとんどできていなかった40代、50代、働き盛りの世代となっている点で、まさに目論み通りと言えます。

高知県では、今年度末に中間評価を行い、来年度以降、さらに事業の強化を図りながら、健康診断の受診率向上や産業振興につなげたい考えであり、もちろんその先に見据えるのは、健康長寿日本一ということでありました。

この事例を通して私が改めて痛感させられたのは、フレイル対策がいかに重要かということであります。

社会保障費の増大がこのまま続けば、2025年には介護人材が約38万人不足すると言われますが、これは介護人材の需要見込み約253万人から供給見込み約215万人を引いた数であります。

しかし、発想を変えると、介護人材38万人が担う介護サービス需要を抑制することができれば、この不足は解消することができるということであり、その取り組みこそフレイル対策にほかならないのであります。

本県では、えひめ健康づくり21で、2023年度までに健康寿命最長県を目指すとしておられますが、私は、高知県におくれをとることなく、ぜひこれを達成してほしいと思うのであります。

そこで、お伺いします。

私は、高知県の健康パスポート事業に見られるように、本県ならではの魅力的なインセンティブを開発し、官民挙げた県民総ぐるみのスキームを構築しながら、誰もが簡単に楽しく自然と健康になっていける取り組みを進めてほしいと思うのでありますが、県は、フレイル対策を含め、健康寿命の延伸に向けて、今後、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお示しください。

健康長寿の取り組みについて - 答弁 -

答弁:中村時広知事

木村議員に、まず、健康寿命の延伸に向けての取り組みについてお答えをさせていただきます。

県では、平成25年度から35年度までを計画期間とする第2次県民健康づくり計画、えひめ健康づくり21に基づき、健康寿命の延伸や社会生活を営むために必要な機能の維持向上など5つの基本的な方向を掲げて、健康増進対策を積極的に推進しているところでございます。

中でも、高齢化率の高い本県では、高齢者の健康づくり対策は喫緊の課題でありますことから、高齢者の運動機能低下や低栄養対策等に重点を置き、食事量の低下等による低栄養の予防、歯科口腔ケア等の身体機能の保持促進を普及するための講座・研修会の開催や愛媛県食生活改善推進連絡協議会の活動への支援等を通じて、心身の活力が低下した、言われましたフレイル状態の防止を図っているところでございます。

さらに、今年度から、健康寿命の延伸に向けた県独自の取り組みとして、働き盛りや若い世代からの食生活と栄養の改善を図るため、企業や大学と連携しまして愛顔のE-IYOプロジェクトを展開しており、現在、モデル企業の食生活改善等の支援や、学生が考案した朝食メニューの開発・普及など、朝食や野菜摂取の習慣化等による健康づくりに取り組んでいるところでございます。

インセンティブを活用した健康づくりの取り組みにつきましては、宇和島市や新居浜市など県内8市町が、それぞれ特色のある事業を実施しているところであり、県としても、これらの取り組みや他県の先行事例における効果を見ながら、市町や関係機関、団体と連携し、今後とも、県民の健康増進と健康寿命の延伸につながる実効性のある施策展開に努めていきたいと思います。

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