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2015年 9月定例会(9/17)

テーマ未来世代対策

県人口ビジョンについて(2015年9月定例会)

県人口ビジョンについて - 質問 -

次に、愛媛県人口ビジョンについてお伺いいたします。

県は、これまで検討を進めてきた人口ビジョンについて取りまとめ、7月23日、その骨子を発表しました。

それによりますと、このまま推移すれば、2060年時点で約81万人にまで人口減少が進むと見られる本県人口を、出生率向上や社会減をゼロにするなどしていく中で、20万人以上上積みし100万人を目指すとのことであります。人口減少に歯どめをかけ、県内活力の維持・向上を目指すという意欲的なビジョンの実現に、私ども公明党も大いに期待を寄せたいと思います。

さて、言うまでもなく、人口の増減は、自然増減と社会増減の総和で決まります。本県の場合、いずれも減少しており、昨年の調査では、自然減が7,130人、社会減が3,512人、合計1万人余りの減少となっています。

人口を下げどめるには、双方の観点から取り組みを進める必要がありますが、私が所属する少子・高齢化社会対策特別委員会でも痛感するのは、その議論の対象となる範囲の広さであります。関係しない部局はないと言っても過言ではありません。

したがいまして、今回の質問は、出生率と移住・定住促進、この2つに絞り取り上げたいと思います。

まず、1人の女性が一生に産む子供の平均数である合計特殊出生率についてであります。

このことは、多くの要因が組み合わさり、簡単に上がり下がりするものではなく、国内外を問わず、成果を上げている事例を見ましても、いずれも10年以上という長いスパンで取り組んでいるものがほとんどであります。その意味では、本県の人口ビジョンにおいて、若い世代の就労、結婚、子育ての希望実現を目指しながら地道に取り組み、段階的な上昇を見込むとしているのは妥当と言えるでしょう。

一方、自然減の抑制あるいは自然増を目指すには、合計特殊出生率が人口置換水準を超えるものでなければなりません。これについて県では、2014年現在1.50である合計特殊出生率を、2040年に人口置換水準である2.07まで引き上げたいとしています。問題は、そこへの道筋をどう描くかですが、それについて興味深いデータがございます。

厚生労働省が2013年に実施した第2回21世紀成年者縦断調査によりますと、独身者のうち、子供は必要ないと考える人の割合がふえる一方、既婚者では、子供は3人以上欲しいとの回答割合がふえており、価値観の二極化が進みつつあると分析しています。結婚も子供も個人の意思によるものであることから、いずれも不要とする個人の価値観に政治が関与する際には慎重さが求められますが、近年ふえている子供がたくさん欲しいという層には、希望する数の子供が持てるような環境を整えるべくスピード感を持って取り組むことが大事であると私は考えます。

そうした観点から見ますと、2人目以上の多子世帯支援を傾斜的に実施していくこと、つまり人口置換水準2.07を視野に入れれば、3人目以上をどう引き上げていくかが施策上重要なポイントとなってまいります。さきの調査では、既婚者のうち、子供を3人以上欲しいという人の割合は46%強、しかし、実際に3人以上いる人の割合は約27%ということであり、私は、このギャップを埋めていくことが出生率向上にとって大きな鍵になると思うのであります。

ここで、少し古いですが、直近ということで2010年の国勢調査を見てみますと、本県における母親が20代・30代の世帯のうち子供が3人以上の割合は約13.5%、直近2014年の出生数、1万399人に13.5%を当てはめますと、約1,400人が3人目の出生と類推されます。

3人目を推奨するために、例えば、子供の医療費や保育・教育費、親の就労支援あるいは現金給付を含め、仮に1人100万円のインセンティブを整えるとして約14億円、これは、財政上の戦略判断次第であり、事業の選択と集中を徹底し、市町との費用負担等の工夫で捻出可能と思われ、3人以上持ちたいとする46%強の方々の希望実現に向けて確かな追い風になると思うのであります。

そこで、お伺いいたします。
県は、2040年の合計特殊出生率2.07への引き上げに向けてどう取り組むのか。私は、とりわけ3人目に焦点を当てた取り組みが重要であり、県人口ビジョンの実現につながっていくと考えるのでありますが、見解をお聞かせください。

次に、移住・定住促進についてであります。
昨年9月に開催された第1回まち・ひと・しごと創生会議において、石破大臣が、地方創生に向け最初に示した方向性が、東京一極集中に歯どめをかけて地方への移住を促進するというものでありました。

昨年8月、内閣官房が行った調査によりますと、東京に在住する50代男性の約半分が地方移住を希望していることが判明。それを受け本年6月4日日本創成会議から本県の松山市、新居浜市を含む全国41地域への移住を提唱する東京圏高齢化危機回避戦略が発表され、今議論となっておりますことは、皆様御案内のとおりであります。

現在、政府においては、元気な50代、60代の方々が地域で働いたり、もう一度大学で学んだり、居住するコミュニティの一員として生きがいを持って暮らすことのできる日本版CCRC構想の検討を始めたところでありますが、若い世代に対しても、大学卒業後、地元で就職、定着してもらえるよう奨学金の返還を支援するための基金の造成を地方に促しているほか、企業に対しては、東京から地方へ本社機能の移転を促す支援措置を打ち出し、政府機関の地方移転についても、今年度中に結論を出す方向で検討を進めているなど、地方への移住促進にこれまでにない本気度を示しています。

一方、我々地方としても、国の方針をただ受け入れるという受動的な態度ではなく、何としてもこの移住促進というモメンタムを取り込んでいくのだという積極性と覚悟が求められてまいります。

和歌山県では、今年度から移住・定住大作戦と銘打ち、若い移住者に最大250万円の奨励金を用意するなど、年間1,000世帯を目標に取り組みを開始したそうでありますが、ここは同じミカン県として負けるわけにはまいりません。

そこで、お伺いいたします。
本県のこれまでの移住・定住施策の取り組み状況と実績はどうか。そして、県版総合戦略においてどのように位置づけ、具体的にどのような目標のもと取り組もうとしているのか、御所見をお聞かせください。

また、一般に、地方から若者が流出するのは、大学等に進学する18歳時、就職する22歳時に多いと言われておりますが、流出に歯どめをかけるためには、特にこの2つの時点を念頭に置いた対策が求められると思います。現在、国では、若者の地域への就職、定着を促進し、かつ地域の中核企業等を担う人材を確保するため、地方自治体と地元産業界が連携し、学生の奨学金返還を支援するための基金を造成するよう促しておりますが、こうした地元企業への就職を促進、支援する取り組みは、若者の流出を防ぎ、地元への定着の流れをつくるのに極めて有効であると考えるのであります。

そこで、お伺いをいたします。
県は、若者の地元企業への就職を促進、支援するためにどのように取り組んでいくのか。国が地方に対し奨学金返還支援のための基金の造成を呼びかけていることも含め、御所見をお示しください。

県人口ビジョンについて - 答弁 -

答弁:保健福祉部長

県人口ビジョンについてのうち、合計特殊出生率に関する御質問にお答えを申し上げます。

合計特殊出生率の引き上げにつきましては、少子化の主要因である未婚化、晩婚化、晩産化への対策といたしまして、未婚の男女への出会いの場の提供を初め、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援を総合的に進めることが重要でございまして、県では、第2期えひめ・未来・子育てプランに掲げる各種施策に、市町や子育て支援団体、企業等と連携し、オール愛媛で取り組んでいるところでございます。

特にえひめ結婚支援センターによる20代向け結婚支援イベントの開催や、中高生や大学生などの次代の親世代を対象とした乳幼児との交流等のほか、若い世代が気軽に利用できる子育てスマートアプリの開発に取り組んでおりまして、さらに、夫の家事・育児時間が長いほど第2子以降の出生割合が高いとの調査結果も踏まえまして、夫の育児等への積極的な協力を促す取り組みの強化など、本県ならではの対策を進める所存でございます。

また、全国調査によれば、女性が希望の子供数を持たない最大の理由は、子育ての経済的負担であり、3人目に焦点を当てた経済的支援は重要と考えておりますが、地方単独施策で実施してきた子供の医療費助成や第3子以降の保育料無償化などの経済的な負担軽減策は、本来地域格差が生じないよう国が制度化すべきものであり、引き続き国に対して少子化対策の抜本強化を、全国知事会等を通じ強く要請してまいりたいと考えております。 以上でございます。

答弁:企画振興部長

県の人口ビジョンに関連して、移住・定住施策の実績と今後の展開についてお尋ねがございました。

県ではこれまで、愛媛ふるさと暮らし応援センターを核としまして、移住に向けた情報提供や支援を行うとともに、移住希望者と受け入れ地域のマッチングなどに取り組んできたところでございますが、さらに今年度から首都圏への移住コンシェルジュの設置や移住フェアの開催、空き家の掘り起こしなど、新しい取り組みにも着手をしているところでございます。

これまで県や市町が関与した移住の実績でございますが、取り組みを開始した平成19年度以来、おおむね増加傾向で推移をしておりまして、26年度末までの累計で220世帯、425人となっております。

この移住者の傾向を地域別に見ますと、東京、大阪などの大都市圏からの移住者が全体の半数程度を占めております。また、年齢別に見ますと、50歳未満の比較的若い世代が64%となっております。

また、移住先では、人口減少が深刻な南予地域が6割強ということになっておりまして、政策面でも一定の効果は上げているものと考えております。

さらに、現在策定中の県の総合戦略におきましても、本県出身者のふるさと回帰に加えまして、大都市圏住民を主要ターゲットとした県内移住の促進を重要施策として位置づけておりまして、今後、重点的に進めることといたしております。また、これを先取りする形で、この9月の補正予算におきまして、地方創生交付金を活用して、移住マッチングシステムの構築や愛媛の仕事に特化した移住フェアの開催などに要する新しい取り組みの経費も計上させていただいているところでございます。

県版の人口ビジョンの骨子では、2020年代に人口の社会減を解消することを目標に掲げておりまして、今後、あらゆる世代をターゲットに、移住者の一層の増加を図るため、市町や団体との緊密な連携のもと、就業や起業等も含めた移住希望者の幅広いニーズに即応できるきめ細かなサポート体制を構築して、積極的かつ効果的な移住施策を、今後、より一層展開してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。

答弁:経済労働部長

まず、県人口ビジョンについてのうち、若者の地元企業への就職支援についての御質問にお答えいたします。

県では、若者の地元企業への就職に向け、ウエブでの企業情報の提供や職場見学会等によりマッチング支援のほか、県外の若者に対しては、ふるさと愛媛Uターンセンターでの就職支援や大都市圏での四国4県合同会社説明会等を実施する一方、企業に対しては、採用や職場定着の成功例の紹介や若手社員向け育成・定着支援セミナーの開催などに努めているところであります。

国が提唱しております奨学金返済支援のための基金造成は、日本学生支援機構の奨学金を対象に、自治体出捐金と地元産業界等の寄附金による基金を設置しようというもので、趣旨は理解できますものの、このような制度は、本来国において全国統一的な制度設計や基金造成がなされるべきでありまして、多様な地域や産業を有する県レベルの導入には慎重な検討が必要ではないかと考えており、他県の状況や同様の制度導入を準備している新居浜市等の取り組みを見守りたいと思いますが、いずれにいたしましても、県としては、引き続き中高生への地元企業の理解促進やさまざまなアプローチによる就職支援に努めますとともに、今回の補正予算において地方創生交付金を活用し、県が開催する会社説明会や企業見学会に、往路分の交通費を負担することで、より多くの県外学生の参加を求める新たな事業も計上させていただいておりまして、できるだけ多くの若者が、次代を担う人材として県内に就職・定着できるよう、しっかり支援してまいりたいと考えております。

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