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本県が目指す都市デザインについて(2014年9月定例会)

本県が目指す都市デザインについて - 質問 -

本年5月、県議会海外派遣団の一員として、ドイツ、フランスを視察いたしました。脱原発を目指すドイツと原発推進を軸とするフランス、立場を異にする両国のエネルギー政策を初め、環境、公共交通、観光の各分野における取り組みについて学ぶことができ、貴重な機会をいただいたことに対しまして、この場をおかりし、感謝を申し上げたいと思います。

私たちが訪問した5月は、ちょうどEU議会選挙の真っただ中、ドイツ、フランス両国とも、まちの至るところに候補者のポスターがあふれておりました。

御案内のとおり、EU、すなわち欧州連合は、ヨーロッパの地域統合体であります。その発足は今から21年前の1993年にさかのぼり、現在、EU加盟国は28カ国に拡大しています。

私は、約30年前、大学時代にヨーロッパ9カ国を旅行で訪れましたが、出入国の手続や通貨の両替など、当時感じた煩わしさも今はなく、まさに隔世の感がいたしました。EU統合の実体が、人・物・サービスの自由な移動性に集約されていることを肌で感じたのであります。

2012年にノーベル平和賞を受賞したEUですが、このヨーロッパにおける地域統合という事業は、まさに人類史における快挙と言え、ヨーロッパ市民という壮大な概念を着実に定着させつつあると感じました。

その一方、今回のEU議会選挙の結果は、皮肉にも各国で反EU勢力が躍進する結果となりました。2009年の欧州債務問題の発生以降、雇用、経済の回復が思わしくないことへの不満のあらわれとの指摘もありますが、統合後のさらなる進展の重要なファクターが経済であることは間違いないと言えるでしょう。我が国における地方分権を推進していく上でも重要な示唆を与えるものとして、今後のEUの進展に注目してまいりたいと思います。

さて、今回の視察調査の詳細については、団員総力で作成した分厚い派遣結果報告書に譲るとして、その中から幾つかの事項について取り上げてみたいと思います。

ドイツのフライブルク市は、松山市と姉妹都市提携を結ぶ人口約22万人のまち。松山市長を御経験された中村知事には釈迦に説法で恐縮ですが、まずは、そのまちづくりの哲学についてであります。

同市のブランドコンセプトは、グリーンシティ・フライブルク、文字どおり環境をまちづくりのコンセプトとしています。

住宅や商業施設が集まる市内中心部では、大気汚染や騒音などの公害を少なくするため、車の乗り入れを禁じ、電車とバスと自転車のみ乗り入れが認められています。安い・早い・快適をうたい文句に、公共交通が王様であるという考え方を市民が共有し、郊外のアウトバーンと中心部の公共交通をパーク・アンド・ライドで結び、レギオカルテと言われる地域環境定期券などの合理的な仕組みを構築することで、コンセプトにふさわしいまちづくりを実現しているのです。

見渡せば、自然景観保護面積は50%以上という国の定めどおり、まちと緑が共存していました。住宅は、ローエネルギーをスタンダードとし、エネルギーを使わなくて済む無暖房システム、パッシブ工法でなければ建設してはならないこととなっており、プラスエネルギー団地という太陽光発電で余剰電力を創出する住宅群の建設が広がりを見せておりました。

フラウンホーファー研究所は、ドイツトップクラスの研究者を集めたソーラーシステムの世界的な拠点ですが、小さなまちが有するその世界最先端科学の対象とするものは、やはり環境でありました。

このように、フライブルク市全体を通して私が感じたことは、このまちはどこを切っても環境という血が流れているということであります。施設から道路、標識に至るまで、また、エネルギーや空気、水の管理など目に見えないオペレーション部分まで、都市整備の一つ一つに環境という哲学が見出されるのであります。

グリーンシティを標榜するだけでなく、環境経済のまちとして産業と雇用の維持を実現し、第二次世界大戦後の人口減少も増加へと転じさせるなど、同市のまちづくりを可能にしたその一貫したコンセプト、哲学の分厚さに私は圧倒されたのであります。

そこで、2点お伺いいたします。

県は、今後、どのようなコンセプトに基づいて魅力ある愛媛づくりを推進していくのか、御所見をお示しください。

また、県都松山市は、本県の顔でもあり、他県や外国からのいわば玄関口でもあります。県では、松山広域都市計画区域マスタープランを策定されておりますが、県都のまちづくりの重要性という観点から、今後、松山市とどのように連携し、どのような県都の顔づくりを目指すのか、お聞かせください。

次に、フランスでの見聞から、無電柱化についてお伺いします。

世界最大の観光スポットであるパリでは、私が見た限り、電柱、電線類が見当たりませんでした。道路には2階建ての観光バスが引きも切らず、そして、ゆったりとした歩道から見上げる空がとても広く感じられました。

帰国後、調べてみますと、果たせるかな、パリは無電柱化率100%とのこと。また、国内でも、先月、東京都の舛添知事が2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた目玉政策の一つとして無電柱化を打ち出したとの報道がなされ、注目を浴びているところであります。

一般に、無電柱化のメリットは、景観の向上を含め、まちづくりの構想をより大きく広げられる点や、歩道空間が広くなり、お年寄りや子供、障害者の方々にバリアフリーが広がる点、災害時において電柱や電線類の倒壊の危険性がなくなり、防災面や救急医療面で安全性が高まるといった点が挙げられます。

その上、現在、ランダムに埋設されている電気、ガス、上下水道、通信回線等を共同溝などに統合することにより、管理精度も上がり、維持管理の効率化を図ることが可能となります。

四国無電柱化推進基本計画にも、JR松山駅から道後温泉間を愛媛の顔と位置づけ、優先的に推進すると書かれていますが、波及効果を見据えると、私も、まずそこから進めることが妥当と考えます。

また、これまでの議論の中では、多大なコストがネックとの見解もありますが、これに関しては、無電柱化による経済効果もあわせて検証すべきでありましょう。

例えば、既に無電柱化を終えた松山市ロープウェイ通りの整備効果を見ますと、歩行者交通量が整備前の約2,000人から約7,100人へと3.5倍に増加しており、地方にシャッター通りが広がる中、沿道の営業店舗数が97店から147店へおよそ1.5倍に増加、さらには、地価も12.6%上昇しています。

これらは、ロープウェイ通りのリ・デザインが市場に評価された結果であり、無電柱化の推進に当たっては、投資額の多寡だけでなく、こうした付加価値の創出、投資効果といった部分にも目を向けなければならないと思うのであります。

そこで、お伺いいたします。

本県における無電柱化の現状はどうか。また、本県の顔である県都松山においては、都市デザインの観点から無電柱化を戦略的に推進すべきと思うのですが、今後の取り組み方針はどうか、御所見をお示しください。

本県が目指す都市デザインについて - 答弁 -

答弁:中村時広知事

次に、都市デザインについての御質問でございますが、フライブルク市を例に挙げられましたけれども、御指摘にありましたように、フライブルク市と松山市は、既に30年近い姉妹都市の関係を積み上げております。

フライブルクが環境都市として注目を浴びたのは、そんなに古い歴史があるわけではなく、1980年代にシュヴァルツヴァルトの黒い森が酸性雨によって枯れるという現象を見たフライブルク市民が、非常に危機意識を持って環境に目覚めたというふうなことが背景にあるようであります。

当時のベーメ市長がその意向を受けて徹底的な環境政策を推し進めて、そして、現在のサロモン市長へとつながっているわけでありますけれども、実は松山市も、当時、その環境政策の根本を学ぼうということで、6年ぐらいにわたって市の職員を常駐させたことがございます。

その結果として、持ち帰った知識をもとに、例えば松山サンシャインプロジェクトの立ち上げ、あるいは、りっくると呼ばれるリサイクルセンターの創設、また、都市環境学習センターの開始、あるいは小学校、中学校における環境学習制度の構築、さらには、正直言ってパーク・アンド・ライドは松山の地形的な問題があって難しいということで、サイクル・アンド・パークという松山市らしい発想の交通システムを目指した経緯がございます。

ただ御案内のとおり、あそこは、都市の中心部にいかに車で入ることが不便に感じられるかという政策をあえて実施していった経緯がありまして、環境政策、環境面に非常に関心の高い市民はそれを受け入れたわけでありますけれども、実は数年前に松山市の千舟町の交通規制を行いまして、同じような社会実験を行ったことがあります。こういう状況だったら公共交通機関を使おうかという声が上がることを期待したんですが、逆でありまして、私のもとには誰がこんなことをやったんだと非常に厳しい声が届いて、なかなかまだやはり意識の差というものがあるんだなということを痛感した記憶がございます。

そのほかにも、トラムシステム、あるいはボンバー地区を初めとする住宅政策、あるいはごみの半減、10年間で2分の1ぐらいに半減したと思いますけれども、こうした政策も大変参考になったところであります。

さて、知事に就任して県内各地を回る中で、愛媛には、東・中・南予それぞれに特色ある産業が根づき、個性的な地域文化が育まれ、変化に富んだ自然環境に囲まれながらも、全体として非常にバランスのとれた県土を形成していることを再認識し、この強みを生かして、魅力ある愛媛づくりを進めることが必要と考えております。

また、地域づくりは、何よりも住民の思いが根底にあるべきであり、住民が担い手となって主体的にみずからの地域の魅力を再発見し、個性を磨き上げて、地域の顔づくりにつなげることが重要でありますことから、南予いやし博2012や瀬戸内しまのわ2014においても、地元の方々の自主企画イベントを中心に据え、住民が主体的に実施する地域づくり活動として取り組んでいるところでございます。

私は、そのような活動の中から生まれる住民の方々の前向きな姿を愛顔と表現し、魅力ある県づくりを推進してきたところであり、今後とも、愛顔あふれる愛媛県を基本理念として、各地域の連携と協調を図り、オール愛媛で、愛媛ならではの魅力の創造と地域の活性化に取り組んでまいりたいと思います。

土木部長

次に、本県が目指す都市デザインについて、2点お答えいたします。

1点目は、松山市との連携と県都の顔づくりについてでございます。
県では、県下の14の都市計画区域全てにおきまして、市町や有識者等の意見を聞きながら長期的視点に立ってまちづくりの目標などを示した都市計画区域マスタープランを定め、計画段階からさまざまな協議会に参画するなど、地域の実情に応じたまちづくりを推進しています。

そのうち、松山広域都市計画区域マスタープランでは、県の中核にふさわしい行政や商業、医療、福祉等の都市機能の集約や交通結節機能の充実等を目指しています。

これを受けて、松山市におきましては、コンパクトで質の高い都市を目指したまちづくりを進めておりまして、具体的な事業として、県内最大の観光地である道後温泉周辺において、景観に配慮した道路整備を県と市が協働で実施したほか、現在は、JR松山駅周辺整備や松山外環状道路整備においても、国、県、市等が連携して事業を実施しています。

県としましては、今後とも、これらの事業の円滑な推進を図るとともに、市の将来都市像であります「人が集い 笑顔広がる 幸せ実感都市まつやま」の実現に向けて、地域住民のニーズや少子高齢化等の社会的課題にも配慮しながら、県都にふさわしいまちづくりを松山市と連携して推進してまいりたいと考えています。

2点目は、無電柱化についてでございます。

道路における無電柱化は、良好な都市景観の形成や観光振興、快適な道路空間の確保、南海トラフ地震等に備えた都市防災の観点から大変重要と認識しておりまして、国や県、電力会社等で組織する四国地区無電柱化協議会で策定した計画に基づき、順次整備に取り組んでいます。

本県におきましては、昭和61年度の事業着手以降、松山城や宇和島城の周辺、今治駅や新居浜駅の周辺など、圏域中心都市の顔とも言える地域の幹線道路におきまして、約20㎞の整備が完了しており、本年4月に道後温泉本館周辺地区が都市景観大賞を受賞するなど、多方面から良質な都市景観が形成されたとの評価を得ています。
現在は、国が国道11号小坂地区、県が県道松山港線中央地区など2カ所、また、松山市が市道二番町線など3カ所、合計で6カ所、約4㎞の整備を進めています。

国におきましては、さらなる無電柱化を推進するため、主要な道路における電柱設置の制限や低コスト手法の導入などの方向性を打ち出しており、県としましても、これらを踏まえ、引き続き国や市町とも連携の上、中心市街地の幹線道路や緊急輸送道路、観光地周辺の道路などの無電柱化の推進に努めてまいりたいと考えています。 以上でございます。