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2014年 12月定例会(12/4)

テーマ地域経済対策

軽減税率の導入について(2014年12月定例会)

軽減税率の導入について - 質問 -

次に、軽減税率導入の是非についてであります。

今回、安倍首相が解散に踏み切った大きなきっかけとなったのが、法律に定められた消費税10%への引き上げ時期の延期についての判断でありました。その法律とは、社会保障・税一体改革法であり、附則第18条に、時の政権が経済状況を見て、消費税引き上げの是非を総合的に判断するという趣旨の、いわゆる景気弾力条項を盛り込んだのは、私たち公明党でありました。その意味で、今回の増税時期の1年半延期は、足元の経済、国民生活により配慮と慎重を期すという意味において妥当であったと判断するものであります。

2年前の3党合意を振り返りますと、私たち公明党の当時の主張は、社会保障制度改革の全体像を示すのがまず先であり、そのために消費増税が必要ということであれば、同時に低所得者対策の実施が必要だというものでありました。その3党合意を軸に、本年4月の8%増税段階では、一部の低所得者を対象とした簡素な給付措置が実現、ただし、あくまでも1回限りの臨時的な施策であり、国民の8割が望むと言われる恒久政策である軽減税率に関しては、与党内でも議論が難航し、10%増税時という曖昧な形のまま保留状態が続いておりました。

しかし、ここに来て解散、しかも再増税が1年半延期となれば、制度設計上の課題にも十分対応が可能であり、軽減税率導入が与党の共通公約にまで浮上してきたのであります。

私たちがここまで軽減税率にこだわるのは、消費税という制度そのものが有する逆進性の問題からであります。所得にかかわらず同じ税率であるため、所得にかかわらず必要な生活必需品については、どうしても低所得者の方々の負担がより重くなるわけでございます。その痛税感を緩和するには、給付つき税額控除などの方法も考えられますが、いずれも国民の所得を正確に把握できて初めて可能となるのであり、制度ができていない現時点では、生活必需品の税率を標準よりも低く抑える軽減税率が最も有効と私たちは考えるのであります。

実際、ヨーロッパなど日本の消費税に相当する付加価値税の標準税率が2桁の国々では、おおむね軽減税率が導入されています。中でも食料品に対する軽減税率の適用は、EU加盟28カ国のうち7割以上の21カ国にも上っており、そのうち15カ国では食料品への課税がゼロ%、もしくは1桁の税率に抑えられているのであります。ということは、生活の根幹である食料品などの生活必需品に関して税率を低く設定し、低所得者層への痛税感が緩和されているから、2桁の標準税率であっても国民の理解が得られていると見るのが妥当であり、世界の趨勢であると私たちは考えるのであります。

消費税2桁は我が国にとっては未知の領域であり、社会保障制度の安定や充実強化のために不可欠とはいえ、一歩間違えると国民生活に深刻なダメージを招きかねません。ここは、既に導入済みの国々の事例について虚心坦懐に学ぶべきであります。

もちろん、軽減税率の導入に向けては、対象品目の設定の難しさや区分経理の煩雑さ、減収分の財源確保などさまざまな課題があることも事実ですが、諸外国の先例を見る限り、どの国もそれらの壁を乗り越えています。日本だけが不可能とは到底思えません。

対象品目の線引きは国によってさまざまでありますし、区分経理はいずれも導入後、混乱することなく定着を見ています。そのほか、どのように財源を確保するのか、あるいは地方財政への影響といった点も含めて、導入の障壁となる課題の解消はすぐれて政権与党の意思の問題であり、その一角を担う公明党としては、この際改めて軽減税率導入の是非を国民の皆様にお伺いしたいと思うのであります。

そこで、お伺いをいたします。

知事は、消費税率10%への引き上げについて、安倍首相が景気条項を付すことなく、2017年4月に延期を決断したことについてどのように認識されるのか、また、再増税時にあわせて軽減税率を導入すべきと私たちは考えますが、このことに関する御所見をお示しください。

軽減税率の導入について - 答弁 -

答弁:中村時広知事

次に、消費税増税の延期についての御質問でございますが、少子高齢化の進行により社会保障経費が急増する中で、将来世代への負担の先送りを防ぎ、財政健全化にも配慮するためには、消費税率の引き上げは避けて通れない問題と認識しています。

今回、安倍総理が足元の経済情勢や有識者の意見等を踏まえ、消費税率10%への引き上げについて景気条項を付すことなく延期する判断をしたことは、恐らくでありますが、今年7月から9月期のGDPが2期連続のマイナス成長となったこと、実質賃金が16カ月連続で減少していること、景気回復が地方まで波及せず、中小企業や農林水産業は厳しい状況が続いていることなどを踏まえて御決断されたのではなかろうかと認識しています。

しかし一方で、消費税率再引き上げの延期により、社会保障関係経費の財源が安定的に確保されなくなるほか、社会保障制度の充実についても、延期による混乱が懸念されますことから、国民生活への影響を初め、将来の社会保障制度のあり方、国、地方をあわせた財政再建の道筋などを明らかにして、国民の理解を得ることが必要ではなかろうかと考えております。

答弁:総務部長

再増税には軽減税率を導入すべきではないかとのお尋ねでございます。

消費税率の再引き上げは、低所得者層ほど税負担が重くなる逆進性をさらに高めることから、所得税の税額控除と給付金を組み合わせた給付付き税額控除制度や食料品などの生活必需品等への軽減税率など、逆進性を緩和するための一定の配慮が必要と考えます。

このうち軽減税率の導入につきましては、対象品目の線引きの難しさや事務手続の煩雑さによる社会的コストの増大などの課題が多く、また、消費税率10%で全ての飲食料品に8%の軽減税率を設定した場合、国と地方を合わせて約1兆3,000億円の減収になるとの試算があるなど、地方消費税や地方交付税原資が減少し、地方の社会保障財源に大きな影響を与えるため、慎重に検討すべきと考えます。

消費税は国民生活に直結する身近な問題でありまして、今後、幅広く国民的な議論がなされることを期待しております。

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