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2014年 12月定例会(12/4)

テーマ未来世代対策

県立中等教育学校について(2014年12月定例会)

県立中等教育学校について - 質問 -

最後に、県立中等教育学校についてお伺いをいたします。

東・中・南予の県立高校3校に県立中学校を併設する形で取り組みが始まった県立中等教育学校、平成15年度の誕生から本年で12年が経過しようとしています。今治東、松山西、宇和島南の県立中等教育学校3校は、6年間の継続指導で個性や才能をぐんぐん伸ばすことを統一目標として掲げ、この間、大学合格者数においても部活の成績においても、着実に成果を上げてこられました。

また、生徒、保護者へのアンケート調査からも、1期生から6期生まで肯定的な意見が数多く寄せられています。10年という月日の中で、中高一貫教育ならではの幅広い年齢集団の中で学び合い、高め合うといった校風が確立してきたと伺っており、これまで御尽力をいただいた学校関係者、保護者各位に心から敬意を表したいと思います。

その一方、県立中等教育学校を取り巻く地域事情に目を転じますと、県内でも特に少子化が深刻な宇和島地域において、教育環境にひずみが生じているという声があり、宇和島市議会9月定例会でこの問題が取り上げられました。

詳しい話を我が党の松本市議から伺いましたが、このことは決して宇和島市の地元問題にとどまらず、人口減少時代とどのように向き合い、学校統廃合問題をどのように乗り越えていくかという、今後、避けて通ることのできない、本県教育が抱える本質的な課題を含む問題と認識しており、この際、私は、県としての立場から幾つかお伺いをいたしたいと思います。

先ほど申し上げた宇和島市の教育環境に生じたひずみというのは、市内の子供の数が大きく減少する中、相対的に県立宇和島南中等教育学校の生徒数の割合が増すとともに、当初、適性検査と抽せんにより行われていた入学者選考が、平成18年に抽せんが廃止されたことなどにより、他の市立中学校、県立高校と比べて学業、部活動、生徒会活動等における格差が大きくなっているという指摘であります。

また、本年4月に行われました全国学力・学習状況調査において、宇和島市が県下で最下位になったこととの連関や、要保護や準要保護など生活困窮世帯の比率が、他の市立中学校に比べ平均で3倍も開きがあるといった指摘も挙げられています。

そこで、お伺いをいたします。

宇和島市における中等教育学校を取り巻く教育環境のひずみについて、県はどのように認識をしているのか、御所見をお聞かせください。

もう一つ着目すべき指摘は、生徒数のバランスの変化です。

平成18年に県立宇和島南中学校が中等教育学校に移行したときの宇和島市の市立中学校の生徒数は2,287人でした。今年度の生徒数は1,828人ですから、8年間で459人減少、また、小学校6年生の児童数も同様に、838人から672人へと166人減少しており、全体が縮小する中で定員は変わらないことから、結果的に、宇和島南中等教育学校に進学する児童、在籍する生徒の占める割合が増加しているのであります。

宇和島市教育委員会は、かかる生徒数のアンバランスについて、県には市内の現状をしんしゃくしていただき、せめて宇和島南中等教育学校について、1クラスでも削減を希望したいと市議会9月定例会で答弁されております。

そこで、お伺いいたします。

県教育委員会は、宇和島市内の小中学校の児童生徒数のバランスの変化についてどのように認識し、今後の中等教育学校の定員見直しにどのように取り組んでいくのか、御所見をお示しください。

さきにも述べましたとおり、私は、こうした宇和島市に見られる教育問題は、本県が広範にわたり直面しゆく課題を先取りしたものと認識いたします。古来「先んずれば制す」と言われますが、その後に続く言葉は、「後るれば則ち人の制する所と為る」であります。識者の言う地方消滅などといった仰せに制せられるわけにはまいりません。

そこで、お伺いをいたします。

少子化の進展や人口減少時代の到来を視野に入れ、地域の実情や変化に応じた本県学校の適正規模や再編整備の考え方について、私は抜本的に見直す時期に来ているのではないかと思いますが、このことにつきまして、県教育委員会の見解をお聞かせください。

以上で、私の質問を終わります。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

県立中等教育学校について - 答弁 -

答弁:教育長

県立中等教育学校について、まず、宇和島市における教育環境のひずみに関する御質問でございます。

中等教育学校では、市町立中学校への影響に配慮し、中学校区当たりの入学者数制限を設けた上で、調査書、作文、適性検査、面接及び抽せんにより入学者を選考しておりましたが、宇和島市PTA連合会の請願を受け、小中学校長会、市町教育委員会等の意見を聴取した上で、平成18年度から入学者数制限と抽せんを取りやめたところでございます。

宇和島南中等教育学校では、創立以来一貫して第1志望を実現する高い学力の育成を教育目標の第一に掲げ取り組んできた結果、市内の中学校に比較して、全国学力・学習状況調査の成績は上回っておりますが、部活動については、平成18年度以降の宇和島市・北宇和郡中学総体の種目別優勝回数において、市立城北及び城東中学校を下回っておりますほか、他校同様に生徒指導上の問題も抱えており、突出した教育環境にあるとは認識しておりません。

県教育委員会といたしましては、南予地域における市町立中学校と中等教育学校がともに高め合い、全体の教育力向上をさせることが肝要と考えておりまして、これまでも教育研究会や生徒指導連絡協議会等の開催、教員の人事交流などにより、協働して教育課題の解決に取り組んでまいりました。

今後とも市町教育委員会と緊密な連携を図りながら、知・徳・体をバランスよく育成できる学校づくりに努めることといたしております。

次に、宇和島市内の小中学校の児童生徒数のバランスの変化への認識の御質問でございます。

宇和島市内の小学校の卒業生数は、平成14年度の896人から25年度には730人へと減少し、これに伴い、市立中学校の生徒数は15年度の2,714人から26年度には1,828人へ減少いたしております。

これに対して、宇和島南中等教育学校の前期生徒数は約480人を維持しておりますことから、市内中学生に占める割合は15%から21%へと相対的に高まり、少子化の影響は市立中学校に顕著にあらわれていると認識をいたしております。

しかしながら、宇和島南中等教育学校は、生徒、保護者から高い評価を得ておりまして、中高一貫教育希望者の南予地域での受け皿になっていること、中等教育学校の制度上、前期課程だけの学級減は困難であること、過去5年間平均1.5倍以上の志願者があることなどから、27年度の入学定員につきましても、現状どおり160人を確保したところでございます。

なお、今後の定員にあり方につきましては、市内の小学校卒業生が減少していることを踏まえ、引き続いて生徒及び保護者のニーズ等を把握いたしますとともに、改めて市町教育委員会やPTA連合会の意見も十分に聞いてみたいと考えております。

最後に、本県学校の適正規模や再編整備の考え方の見直しについてでございますが、学校の適正規模や再編整備につきましては、公立小中学校では学校教育法施行規則や通達で指針が定められ、これに基づき、設置者である市町が保護者や地域住民との協議のもとに総合的に統廃合等の判断を行っている現状にございます。

また、県立高校につきましては、平成20年度に県立学校再編整備計画を策定いたしましたが、高校の統廃合は地域活力の衰退等につながるとして、地元住民等の根強い反対がありますことから、24年10月には、入学生数が再編整備基準を下回る場合でも、地域が一体となって学校の存続と活性化に向けた取り組みを行うときには、3年間の猶予期間を設けたところでございまして、昨年までに該当した9校は全て地域等の取り組みにより必要な入学生数を確保し、学校の存続が図られているところです。

今後、さらに少子化の進展が懸念され、国において小中学校の統廃合の指針の見直しや小中一貫校の整備に向けた法制度の検討が進められておりますことから、県内学校の適正規模や再編整備のあり方につきましては、これらの結果を踏まえ、また、子供たちによりよい教育環境を提供することを第一義に、地域にとっての学校の存在意義も考慮し、市町教育委員会と連携を図りながら、保護者、専門家等関係者の意見を聞き、研究すべき課題であると認識いたしております。

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