議会質問

皆さまの声を
県政に、
カタチに
2014年 12月定例会(12/4)

テーマ高齢世代対策

バリアフリーについて(2014年12月定例会)

バリアフリーについて - 質問 -

次に、カラーバリアフリーについてお伺いいたします。

身体障害者福祉法によりますと、視覚障害は視力や視野の障害で永続するものと定義され、これには、赤と緑の違いがわかりにくいといった症状を有する色覚異常は含まれません。したがって、当事者の方々は身体障害者として認定されず、いわば法のはざまに抜け落ちた状態にあると言えます。
国の推計値、男性5%、女性0.2%に当てはめますと、本県における色覚異常の方々は男女合わせて約3万4,000人程度となります。推定とはいえ、これは大変な数です。そうした方々が感じる不安や不便を解消することは、「障害者に愛顔を」を公約の一つに掲げる中村県政にとって重要な課題と言えます。

そこで、まず平成23年度にカラーユニバーサルデザインを導入した今治市の事例について取り上げてみたいと思います。

当時、今治市役所の市民課窓口では、住民票などの請求書はピンク、戸籍などの請求書は黄色、印鑑登録証明書交付申請書は水色といった色分けや、各種請求書等の記入例や手数料表など、窓口への掲示物についてもさまざまな色づけが行われておりました。

しかし、色覚異常の方々からすると、実は多様な色使いであるため、かえってわかりづらいというのが現実でありました。例えば、ピンクの色がわかりづらいときに、窓口で「済みません、ピンクの書類はどれですか」と聞くのは、当事者にとってかなり勇気を伴う行為であり、できれば言いたくない一言なのです。

そうした中、当事者の声を耳にした我が党の谷口市議がこの問題を取り上げたのでありました。ピンクの書類にも黒文字でピンクと表示すれば、当事者も文字を通して区別ができる。色覚異常の方々へ配慮の行き届いた取り組みを推進すべきだと要望したところ、ありがたいことに市長に即断をいただき、カラーユニバーサルデザインが導入される運びとなったのであります。

現在、今治市のホームページや広報、印刷物、掲示物、トイレなどの案内表示において、色覚異常の方々への配慮が進み、市内で約4,000人とも推計される当事者の方々から喜ばれているとのことで、関係各位に心から敬意を表したいと思います。

そこで、お伺いをいたします。

本県及び県内自治体におけるカラーユニバーサルデザインの導入の状況はどうか、お示しください。

もう一つ、神奈川県におけるカラーバリアフリーの取り組みについて取り上げてみたいと思います。

先般10月23日、私は神奈川県庁を訪ね、地域福祉課の西條課長からお話を伺いました。神奈川県では平成8年、全ての県民が安心して快適に生活でき、自由に外出することができる優しいまちをつくるため、福祉の街づくり条例を制定。その後、社会状況の変化やユニバーサルデザインへの関心の高まりなどに対応するため、平成20年にこれをみんなのバリアフリー街づくり条例として改正し、さらに見直しを加えつつ現在に至っているとのことで、カラーバリアフリーの推進については、みんなのバリアフリー街づくり条例のもとに位置づけられているとのことでありました。

そして、取り組みの一つとして、当事者主体のNPO法人カラーユニバーサルデザイン機構と連携し、相談出前窓口の設置やアドバイザー派遣などの事業を展開、その際、色覚異常とは何か、どのように見えるのかなど具体的な事例をふんだんに盛り込んで作成した色使いのガイドラインを活用しながら、自治体関係者はもちろん、建築士や事業施設の設置者、管理者等に対してカラーバリアフリーへの理解促進に努めているとのことでありました。

私もガイドラインを拝見しましたが、信号機や標識、写真やパンフレットなど、健常者と色覚異常の方々でこんなにも見え方が異なるのかということが一目瞭然で理解できました。何事もハンデを有する人々の気持ちを理解するにはスキルが必要であるということを改めて学ばせていただいた思いがいたします。

そこで、お伺いをいたします。

本県でも、色使いのガイドラインを作成の上、県下の自治体や事業者に配布し、助言を行うなど、カラーユニバーサルデザインの普及や色覚異常の方々に優しいカラーバリアフリーの推進に積極的に取り組むべきと考えますが、御所見をお聞かせください。

また、取材の中で私が特に着目したのは、条例を推進する神奈川県みんなのバリアフリー街づくり推進県民会議の存在でありました。県民会議は、大学教授を座長に、色覚異常を含むさまざまな障害者を初め学識経験者、流通、商店、交通などの事業者から子育て中のお母さんまで、幅広い県民で構成され、ここを母体として、バリアフリーを推進するさまざまな活動が展開されているのです。

神奈川県ではそうした取り組みを後押しする形で、平成21年から県バリアフリー街づくり賞を新設し、ハードとソフト、2つの部門で活躍が顕著な団体を顕彰する取り組みに着手、本年第7回を数えるまでに活動を重ねながら、県民の関心が年々高まっていると言います。

翻って、本県の人にやさしいまちづくり条例も、神奈川県と同様、平成8年に制定されました。高齢者、障害者等の方々が直面するさまざまな障壁を取り除くこの間の当局の取り組みに対し、敬意を表する次第であります。

一方、条例の施行から18年が経過した今、社会の状況も人々の価値観も大きく変容いたしております。こうした変化に対応するため、国においては昨年度、障害者総合支援法を施行し、障害者の定義を抜本的に見直すなど、単身急増社会、超高齢社会を見据えた新たな取り組みを着実に進めようとしているところであります。

そこで、お伺いいたします。

本県の人にやさしいまちづくり条例について、私は、社会の状況や法制の変化に対応するため見直しを図られてはどうかと考えますが、見解をお聞かせください。また、その際、神奈川県に見られるみんなのバリアフリー街づくり推進県民会議のような仕組みづくりも含めて検討すべきと考えますが、あわせて御所見をお示しください。

バリアフリーについて - 答弁 -

答弁:

バリアフリーに関する3点の御質問にお答えをさせていただきます。

まず、カラーユニバーサルデザインの導入状況でございますが、色による情報伝達は、色覚の個人差によって正確に伝わらないおそれがありますことから、行政機関において、色の使い方や文字の形などにあらかじめ配慮するカラーユニバーサルデザインを普及していくことは有意義であると認識をいたしております。

このため、県におきましては、県ホームページについて指針を策定し、色の違いのみで情報を表現しないなどの基本的な配慮やわかりやすくする工夫を行っておりますほか、教育現場では、教員の初任者研修などにおいて、白と黄色を主体としたチョークの使用など、学校において配慮すべき事柄を習得させております。

また、県立中央病院は、ユニバーサルデザインに精通した有識者の指導のもと、各種表示のサイズやコントラストなどに配慮して建築をしたところでございます。

また、今治市を初めとする多くの市町でもホームページや広報紙、申請書類などでの配慮が進んでおりますほか、公立病院において認識しやすい案内標示の設置など、色覚異常のある方に配慮した取り組みがなされているところでございます。

続いて、カラーユニバーサルデザインの普及推進についてお答え申し上げます。

印刷技術の発達やインターネットの普及により、日常生活のさまざまな場面で色を用いた情報提供が行われておりますが、推計値とはいえ、色覚異常のある方が全国で320万人以上いるとも言われ、本県にも相当人数が存在すると思われますことから、そうした方へ配慮する環境を整えていく必要がございます。

このため、本県におきましても、県のホームページなどを通じまして、色覚の多様性の周知や色覚異常のある方への配慮の必要性、カラーユニバーサルデザインにおける、できるだけ多くの人に見分けやすい配色を選ぶ、色が見分けにくい人にも情報が伝わるようにするなどのポイントを県内自治体や事業者などに対して情報提供することとしているところでございます。

最後に、人にやさしいまちづくり条例についてお答え申し上げます。

人にやさしいまちづくり条例は、高齢者、障害者にとどまらず、日常生活や社会生活に制限を受ける全ての方に配慮する、人に優しいまちづくりを進める方針を示したものでございまして、市町や事業者の意識が高まったほか、条例の整備基準に適合した民間施設も増加するなど、バリアフリーの普及・推進に一定の成果を上げてきたところでございます。

この条例につきましては、これまでも法制の変化や社会状況に対応し適宜改正を行ってきており、現段階では見直す状況にあるとは考えておりませんが、今後も社会状況の変化等に的確に対応し、必要があれば見直しを検討してまいりたいと考えております。

また、本県におきましては、普及・啓発と機運醸成を目的に、経済界や福祉団体などの代表者を構成員とする人にやさしいまちづくり推進会議を設置しておりまして、今後の条例の見直しや施策の検証、提案などに当たりましては、この会議を活用してまいりたいと考えております。

テーマtheme
時系列で見るarchive