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2013年 9月定例会(9/18)

テーマ未来世代対策

過疎対策について(2013年9月定例会)

過疎対策について - 質問 -

過疎対策についてお伺いいたします。

先月開かれた地域活性化対策特別委員会におきまして、徳島県神山町で活躍されるNPO法人グリーンバレーの大南信也理事長の講演がありました。私も傍聴出席し、拝聴をさせていただきました。

「創造的過疎への挑戦」と題した大南理事長のお話は、実に画期的な地域再生レポートでありました。

徳島県中部の山合いにある神山町の人口は約6,300人、1955年に誕生して以来、転出超過が続いていた神山町でありましたが、彼らの取り組みがきっかけとなり、やがて次々と先端企業が進出、ついに2011年、転出者よりも転入者の方が多い転入超過へと町の社会動態を転換させたのであります。

NPO法人グリーンバレーでは、「日本の田舎をステキに変える!」というミッションに基づき、設立以降、さまざまなプロジェクトを展開し、成果を上げてこられたのでありますが、その実践を伺いながら、私は、過疎という課題解決には勝利の方程式ならぬ再生の方程式があるのではないか、その方程式をそれぞれの地域に応用すれば、それぞれの解が見出せるのではないか、そんな予感に駆られたのであります。

それはまず、地域の再生は決して行政主導によるのではなく、あくまでも人に始まるということです。

大南理事長以外、四国内に限定しても、葉っぱビジネスで有名な徳島県上勝町には横石知二さん、ごっくん馬路村の高知県馬路村には東谷望史さんと松崎了三さん、セトゲーブランド、瀬戸内国際芸術祭にはアーキペラゴの三井文博さん、そして本県には、「しずむ夕日が立ちどまる町」の双海町に若松進一さんという各地元にキーマンが存在し、いずれもその人なくして再生のドラマは語れないのであります。

さらに共通するのは、最初は小さな気づきから始まるということです。

落ち葉も、売れないユズも、産廃の島と言われた豊島も、そして、夕日が海に沈むのは当たり前であった双海町も、実は発想を変えればそれらが価値を生む地域資源となるということに残念ながらそれまで誰も気づけませんでした。

しかし、いずれの事例も、地域再生の起点となったのは一人の小さな気づきでありました。つまり、それにより人を感動させることができるのではないかという仮説です。

そういうふうに見ていくと、地域再生の方程式は、キーマンとなる人や小さな気づきをどうすれば、また、幾つ生み出すことができるかということに尽きるのではないかと私は思うのであります。

また、大南理事長のお話でもう一つ興味深かったのは、創造的過疎という概念であります。

彼が指摘するのは、地方が過疎化に歯どめをかけられないのは、何となく過疎を否定的に、かつ漠然と捉えるところに問題があるのではないか。そうではなくて、過疎化をありのまま受け入れ、漠然とではなく数値化し、人口構成を持続可能な形に変えていくことが肝要ということであります。

神山町では、人口が半減すると推計される2035年時点で、ゼロ歳から14歳の年少人口が187人にまで減少するという推計値に対し、シミュレーションを行いました。

その結果、それでは町がもたない、295人にまで下げどめることができれば、何とか町を持続させられる人口構成となるのではないかと結論。そこから逆算し、30代の夫婦と子供2人をモデルとする5世帯20人を毎年呼び込むことを目標に、若年世帯、起業家を逆指名し、移住確保に取り組んだ結果、先ほど述べました2011年、転入超過への転換という町始まって以来のエポックを実現されたのであります。

私は、過疎化を受け入れ、町の持続可能性に焦点を絞りながら戦略を立案実行されたNPO法人グリーンバレーの過疎対策の取り組みは、まさにクリエーティブであり、創造的過疎の名にふさわしい成功事例であると思います。

そこで、お伺いをいたします。

今後、大幅な人口減少が避けて通れない見通しの中で、知事は、県内過疎地域の再生について、行政の役割をどのように考え、どのような戦略を持って取り組んでいかれるのか、御所見をお示しください。

過疎対策について - 答弁 -

答弁:中村時広知事

次に、県内過疎地域の再生についてでありますが、県内の過疎地域においては急速に人口減少や高齢化が進んでおり、今後もこのようなペースで進行すると、生活環境の維持が困難となる集落が増加し、ひいては地域全体の衰退にもつながりかねない状況にあると認識します。

このため、県としては、これまでも過疎対策は市町と連携し、チーム愛媛で一丸となって取り組むべき最重要課題の一つと位置づけ、従来のハード整備に加え、地場産業の活性化や企業誘致、農林水産業の担い手確保や六次産業化などの産業振興、移住促進や地域おこし協力隊の導入、都市との交流促進等による定住・交流人口の拡大など、さまざまなソフト対策を展開してきました。

また、今年度、新たに県・市町連携事業として住民主体の集落活動に取り組む地域をモデル的に支援するとともに、現在、県内過疎集落等を対象に、集落の実情や住民意識の把握も含めた大規模な実態調査を実施しており、今後、その調査結果等をもとに、課題や対応策を取りまとめることとしています。

今後ともこうした施策を展開しながら、さらに効果的な過疎地域の再生につなげていくためには、お話のように、核となる人が中心となって地域ごとの魅力や資源を生かす住民みずからの活動が不可欠であることから、戦略としては、地域の実情やニーズを踏まえつつ、働く場の確保やコミュニティの活性化も含む幅広い分野でしっかりとした住民参加の仕組みを構築し、県、市町、住民等がそれぞれ役割を分担しながら地域の産業振興や生活環境の改善等に取り組むことで、過疎地域の再生を図ってまいりたいと思います。

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