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2013年 9月定例会(9/18)

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地域がん登録事業について(2013年9月定例会)

地域がん登録事業について - 質問 -

次に、がん対策のうち、地域がん登録事業についてお伺いをいたします。

本県では、平成20年3月に5カ年計画である愛媛県がん対策推進計画を策定し、平成22年3月には議員提案による愛媛県がん対策推進条例を制定するなど、これまで計画をもとに着実にがん対策に取り組んでこられました。

しかしながら、依然としてがんは死亡原因のトップを占め、計画に掲げられた分野別目標の達成もなかなか厳しい結果となり、それらの検証と新たな課題への対応も含めた見直しを行う中で、本年3月、新愛媛県がん対策推進計画が策定されました。

その分野別対策の一つに、がん登録の精度向上があります。

国立がん対策情報センターでは、がんの実態を把握せずしてがん対策を展開することは、羅針盤を持たずに航海に出るようなものという意味合いから、地域がん登録はがん診療の羅針盤と位置づけており、県がん対策推進条例第7条においても、がん対策の重要な柱として、がん登録の推進が書き込まれております。

新計画によりますと、院内がん登録を実施する医療機関数の増加を通じて、がん登録の精度を向上させるとともに、地域ごとの正確ながんの罹患数や罹患率、生存率などを把握し、がんの研究、分析へ活用可能ながん登録を実現するとあります。つまり、院内がん登録と地域がん登録の両面作戦です。

まず、院内がん登録についてですが、先日、四国がんセンターで開催されたみんなのための五大がん登録講座に私も出席させていただき、おかげさまでその重要性について深く認識をさせていただくことができました。

今、国では、がん登録の法制化の動きが加速をしており、早ければ2016年から実施との観測もあります。この法制化により、がん診療にかかわる全ての病院で院内がん登録あるいは腫瘍登録票提出の形でのがん登録が義務づけられることになりますと、その実務には相当程度の専門的知識とスキルが求められることになります。

ただでさえ多忙な医療機関・従事者において、それに対応できる実務者を短期間で養成するのはなかなか容易ではないでしょう。かといって、放置すれば、1つの登録に無駄な時間がかかるばかりでなく、登録自体の精度も低くなることが容易に予想されるのであります。

そこで、お伺いをいたします。

現在、県内全ての病院のうち、院内がん登録及び腫瘍登録票提出の形でがん登録が行われている割合はどのくらいか。また、今後5年間でどのくらい増加をさせて、そのためにどのように取り組まれるのか、御所見をお示しください。

次に、地域がん登録についてでありますが、これについて、本県では、平成19年度から四国がんセンターに委託し、愛媛県地域がん登録事業として推進されております。

6年を経過して、医療機関からの届け出情報等も蓄積され、がん対策を進める基礎データとして質、量ともに年々精度が向上してきているとは話に聞いておりましたが、さらに精度を上げるためには何が必要なのかを確認するため、先日、五大がん登録講座に参加した際、県・地域がん登録室にお邪魔し、お話を伺いました。

その主なものは、がん罹患者の生存確認に関してでありました。

現在、愛媛県地域がん登録事業では、医療機関からの届け出情報であるがん登録データと人口動態統計、死亡情報を統合し、患者の死亡状況等を把握しておられるそうですが、そこからさらに、がん登録後5年及び10年経過した時点で市町へ住民票照会を行い、生死の状況を確認することになっており、その際には、住民基本台帳との突合を県から市町に照会し、一件一件、手作業で行うこととなるそうです。

実際のところ、市町においては人手と手間がかかり、確認まで一定の時間が必要となること、かかる人数が多いほどミスの発生確率も高くなるといったことが懸念されるのでありますが、その改善に向けて、住民基本台帳ネットワークシステム、いわゆる住基ネットを活用してはどうかとの御意見をいただきました。

膨大な予算により構築した住基ネットは、できるだけ有効に活用すべきでありますし、県民への情報提供、医療対策に還元することは大いに有意義であり、何よりがん罹患者の生存確認作業をより正確に迅速に行うことが可能になるのであります。こうしたことから、既に宮城県、山形県、千葉県、神奈川県、大阪府、広島県で実施されているともお聞きしました。
そこで、お伺いをいたします。

がん罹患者の生存確認の作業効率を向上させ、がん登録の精度をさらに高めるためにも、住基ネットのデータ活用を行うべきと考えますが、御所見をお示しください。

地域がん登録事業について - 答弁 -

答弁:保健福祉部長

まず、地域がん登録事業についてのうち、1点目は、県内の病院のうち院内がん登録等が行われている割合と今後の取り組みについてでございますが、がん登録により正確ながんの罹患数や罹患率、生存率等を把握することは、がん対策を推進する上で非常に重要であると考えており、愛媛県がん対策推進計画にもがん登録の精度向上を図ることを盛り込んでいるところでございます。

がん登録のうち、まず、院内がん登録ですが、これは専門的ながん医療を行う病院が実施するものでありまして、県内にはがん医療を行わない病院もありますので、そういう病院も含めた全病院のうちの実施割合は約9%でありますが、がん診療連携拠点病院とがん診療連携推進病院は全て実施しております。

次に、腫瘍登録票を提出する地域がん登録は、がんを診断した病院が届け出を行うものでありまして、平成24年度において登録票を提出した病院は、これもがんの診断を行わない病院も含めた全病院のうちの割合ですが、約17%となっております。

県としては、がん対策推進計画に基づき、がん登録の精度向上を図るため、院内がん登録については未実施の病院に拡大をするとともに、地域がん登録につきましてもできるだけ多くの医療機関から届け出がなされるよう、今後とも、四国がんセンターや医師会等との連携のもと、関係者の理解促進や病院担当者への研修会の実施等に取り組み、がん対策の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。

次に、がん登録の2点目、生存確認における住基ネットの活用についてでございます。

地域がん登録で得られる統計情報のうち、がん診断後、一定期間生存した患者の割合を示す生存率は、地域におけるがんの診断と治療を総合的に評価し、がん対策の企画、評価に大きな役割を果たす重要な指標でございます。

この生存率は、医療機関からの届け出情報と人口動態統計の死亡情報を照合し、患者の死亡を把握することで算出が可能でありますが、本県では、さらに信頼性の高いデータとするため、住民基本台帳との突合により、診断5年後、10年後の生存確認調査を行うこととしておりまして、四国がんセンターへの業務委託により、全国標準方式の地域がん登録を開始した平成19年の診断分の患者について、初めてこの調査を行うこととなります。

この生存確認調査は、データ照合作業のスケジュールの都合上、来年度行うこととしておりますため、それまでに効率的な実施方法について、他県の状況も参考にしながら、木村議員お話の住民基本台帳ネットワークの活用も含め、検討してまいりたいと考えております。

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