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若者の自立について(2008年9月定例会)

若者の自立について - 質問 -

次に、若者の自立についてお伺いいたします。

今、日本は、かつてのように利益を分け合った時代から、負担を分け合う時代に入ったと言われております。その最大の要因は、かつてない、また、世界でも例のない、急速な少子高齢化の進展によるものであることは言うまでもありませんが、そうした時代にあって、急増する高齢者を支え、この国を支えていくべき若者に異変が起きている。つまり経済的、社会的に自立できない若者がふえているとの指摘と調査は、枚挙にいとまもないわけであります。

総務省統計局によりますと、直近の平成19年時点でフリーター人口は181万人、ニート人口は62万人、合わせて約243万人とのことであります。そうした多くの若者たち、つまり本来、社会を支える側が支えられる側に回っている、あるいは支える側に回れないというのは、財政上の社会効率からいえば非常に大きなロスと言わねばなりません。

一方、現在の社会の仕組みや不条理がそうした若者たちの自立を困難なものにさせているとしたら、それは政治の責任であります。今こそ、私たちは責任を持って、社会に道理を取り戻し、若者たちの経済的、社会的自立の実現に取り組まねばならないと思うのであります。

さて、この間、私は、そうした若者の自立をテーマとして活動に取り組まれておられる方々と交流を重ねてまいりました。NPO法人全国引きこもりKHJ親の会の奥山様、レンタルお姉さんで有名なNPO法人日本若者訪問支援協会の川上様、NPO法人ヒューマン・チェーンセンターの戒田様、若者自立塾・愛媛の伊藤様、難波江様、えひめ若者サポートステーションの加藤様など、また、それぞれの会合や活動にも参加させていただきましたが、その所感を一言で申し上げると、すばらしい、しかし、もったいないということでした。

それぞれが、極めて高い志に基づいて、若者の自立を目的とした活動に取り組む様子を目の当たりに、その御苦労に心から感謝が込み上げるとともに、私がもったいないと感じたのは、それぞれの活動が現時点では点にとどまっているからであります。その点を面へとつなぐコーディネートを行政はもっと積極的に行わねばならないと痛感したのであります。

折しも、今月1日に、心の健康や児童虐待、障害などの相談機関が移転、集約した愛媛県総合保健福祉センターがオープンいたしました。昨年9月議会でのひきこもりに関する私の質問に対する御答弁のとおり、関係者にとりまして心強い追い風となりますよう、大いに期待を寄せるものであります。

また、厚労省では、来年度、ひきこもり者や御家族の相談専門窓口となる、ひきこもり地域支援センター(仮称)をすべての都道府県に設置するという方針を固めた。予算総額は5億円との報道が先月末にありました。若者の自立に向けてようやく光が差してきたな、いよいよこれからだなとの期待を込めてお伺いいたします。

若者の自立、特に、ひきこもり者の自立支援体制の構築に対して、国によるひきこもり地域支援センター(仮称)との兼ね合いで、愛媛県総合保健福祉センターをどのように位置づけられるのか。また、先ほど、すばらしい、しかしもったいないと私が感じました個別で点在する民間での取り組みについて、どのようにつなげ広げていかれるか、お考えをお示しいただきたいと思います。

さて、若者の自立に関してもう一つ、関係者との対話で感じたことは、改めてひきこもり問題はとてつもなく深刻だということでありました。それは、6月下旬に開催された、ひきこもり者の家族会であるKHJ愛媛県こまどりの会立ち上げ1周年を記念する定例会でのことでした。代表の澤田さまから参加者に質問が投げかけられたのです。昨年と比べてひきこもり状態が改善された御家族はいらっしゃいますかと。しばらく沈黙が続き、挙手はありませんでした。私は、一体この方々のために1年間何をしていたのだろうと、思わず自責の念にかられました。

同会の調査によりますと、ひきこもり者の平均年齢はついに30歳を超え、中には40代、50代の方もいらっしゃるとのこと。私がとてつもなく深刻と考えるのは、この問題が親御さんにとって、残された時間との闘いであるからにほかなりません。

昨年6月議会で本県のひきこもり実態についてお尋ねしたところ、詳細は不明とのことでした。確かに多くの御家族はそれを世間に隠しがちであり、掌握は困難であります。しかし、手を差し伸べるべき若者がどこに、どれだけ、どのような状況で引きこもっているかわからない、そうした状況では、適切な対策を講じようにも講じられないということも事実なのであります。ひきこもりは長引けば長引くほど解決が困難になるということは、学説的にもはっきりしていることでありますから、対策は急がねばなりません。

そこで、本県のひきこもり人口を、当たらずとも遠からじでイメージいたしますと、厚労省研究班の推計で、仕事や学校に行かず、家族以外との交流がほとんどないまま6カ月以上自宅にいると定義した場合、20歳から49歳で約32万人、本県はその1%と考えると約3,000人。また、ひきこもりはニートと密接にリンクすると言われており、本県のニート人口は平成14年時点で1万500人ですから、本県のひきこもり人口はざっと約3,000人から1万人と見ることができます。

この際、重要なことは、数字の正確さよりも、少なくとも数千人という多くのひきこもり者と御家族が、私たちの知らないところで悩まれているという、彼と彼女らの苦しさに思いをはせることだと思うのです。

県民生活を守るという意味において、県政は、もうそれ以上抱え込まなくていいですよ、私たちがサポートしますよという温かいメッセージを、ひきこもり者と御家族に届く形で、また、届くまで発信し続けることが大事だ、そして、サポートを求める動きと流れが起きて初めて、数千人とも推定されるひきこもり者を顕在化させることができると私は考えるのであります。その結果明かとなった社会不安障害、発達障害、統合失調症などといった個々の実態に即して初めて、適切な対策が講じられるのではないでしょうか。

そこで、お伺いいたします。
本県ひきこもり者の実態が不明という現状にあって、県政は、サーチライトを当てるように、当事者御家族の苦悩を探し出し、実態を顕在化させ、それぞれの対応や課題に応じた手を差し伸べていくことが大事だと私は考えますが、この点に関する認識と具体的な取り組み意向についてお聞かせください。

ひきこもりに関する最後の質問は、訪問支援の強化であります。

言うまでもありませんが、引きこもった若者を各種機関や施設に連れ出したり、社会活動や職業訓練に参加させたりすることは決して容易ではありません。社会との関係をみずから閉じた状態がひきこもりであるからです。ということは、こちらから彼ら、彼女らに対して足を運び、閉じた心を開かせ、少しずつ社会との関係を取り戻していくという粘り強い往復作業、つまり訪問活動が重要になってまいります。そして、そのための訪問指導員、すなわち専門スキルを有した人材の育成が不可欠になってまいります。

私は、ひきこもり問題の解決は、この訪問活動の質と量を掛け合わせた積で決まると考え、ここにこそ民間ノウハウを結集させるべきと考えるものであります。例えば、行政がコーディネーターとなって、ひきこもりフォーラムなどを定期的に開催し、関係団体が一堂に会し、それぞれの訪問成果を発表し、学び合い、高めていくというような場と仕組みをぜひつくっていただきたいのであります。

そこで、お伺いいたします。
ひきこもり者への訪問支援の強化について、県のこれまでの取り組みとその成果について、また、今後、どのように取り組まれるか、具体目標の有無を含め、御所見をお願いいたします。

若者の自立について - 答弁 -

答弁:保健福祉部長

木村議員にお答えいたします。
若者の自立について、3点御質問がございました。

まず、ひきこもり者の自立支援体制の構築に向け、県総合保健福祉センターをどのように位置づけるのか。また、民間の取り組みをどのようにつなげ広げていくのかとのお尋ねがございました。

ひきこもりの要因は、家庭、学校、職場、地域等、本人を取り巻く環境の問題が複雑に絡み合っておりますことから、心理的、医療的視点はもとより、就学、就労等さまざまな視点から、ひきこもり当事者や家族の方それぞれの実情に応じた適切な支援を行っていくことが重要でございます。

このため、心と体の健康センターがひきこもり支援のネットワークの中核となって、児童相談所や関係機関と連携、協力しながら、その対策に取り組んでいるところであり、このたび総合保健福祉センターを整備し、保健福祉関係の5つの相談機関を1カ所に集約させたことにより、ひきこもり対策の一層の連携強化が図れるものと考えております。

また、木村議員お話の若者の自立に向けた民間におけるさまざまな取り組みは、ひきこもり対策を進める上で重要な役割を担っていただいており、これら民間団体の活動がより効果的に進められますよう、県といたしましても、民間団体の参加を求めて、協議等を行う場を設けますほか、県のホームページに民間団体の活動状況を紹介するなど、心と体の健康センターを中核とし、行政と民間とが連携して、ひきこもり当事者の自立支援のための体制づくりに努めてまいりたいと考えております。

なお、国が検討中のひきこもり地域支援センター(仮称)でございますが、このセンターにつきましては、現時点においては詳細が不明でありますため、事業実施の方法等を含めて、今後の動向を注意深く見守ってまいりたいと考えております。

次に、ひきこもり者の実体を顕在化させ、それぞれの対応や課題に応じた支援が大事と考えるがどうかとのお尋ねがございました。

木村議員お話のとおり、ひきこもり当事者や家族の方に効果的な支援を行いますためには、ひきこもり当事者の実態を把握し、それぞれの態様や課題に応じた支援を行うことが重要であると考えております。

このため、これまでも、心と体の健康センター及び保健所において、面接相談や電話相談を通じて、ひきこもり当事者や家族の方と、時間をかけてともに話し合い、それぞれの家族を、それぞれの課題を把握した上で、センターでの当事者の集いや家族のための心理的支援、外来診療、また、センター及び保健所による訪問指導につなげているところでございます。

県といたしましては、今後とも、県民に対し、ひきこもりの問題に関する啓発やセンター及び保健所の取り組みを広く周知いたしますとともに、市町やNPO等、民間団体など各分野の関係機関等との情報交換を図りながら、ひきこもり当事者のさらなる実態把握に努め、センターが中核となって、ひきこもり当事者それぞれの対応や課題に応じた支援に努めてまいりたいと考えております。

次に、ひきこもり者への訪問支援について、これまでの取り組みと今後の対応はどうかとのお尋ねがございました。

ひきこもり当事者や家族の方への訪問支援につきましては、心と体の健康センター及び保健所において、保健師による家庭訪問を行っておりますが、平成19年度は延べ51件の訪問指導を行いました。

また、ひきこもりの回復期にある若者の職業的自立を支援するため、えひめ若者サポートステーションでは、本年6月から民間支援団体に委託して、訪問相談事業を実施しており、8月までの3カ月間に11家庭、延べ14回の訪問相談を実施しております。

今後、県では、木村議員お話の訪問支援を行っているNPO法人など民間団体にも参加していただき、ひきこもり対策の協議等を行う場を設けますほか、民間団体の職員を含め、訪問活動を行う職員の資質向上を図るための研修会も実施することとしており、これらにより訪問支援体制の充実強化を図ってまいりたいと考えております。