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2018年 9月定例会(9/19)

テーマ未来世代対策

林業の成長産業化について(2018年9月定例会)

林業の成長産業化について - 質問 -

人口減少が加速する中、労働力不足による経済の停滞を乗り越えるべく、国では、働き方改革やAI、ICTを駆使した生産性革命をあらゆる分野で推進すべく取り組みを進めておりますが、林業もその例外ではありません。近年、全国各地で積極的かつ新たな取り組みが進められています。

そうした中、昨年4月、久万高原町が林野庁より「林業成長産業化モデル地域」に指定され、同町が提出した「林業成長産業化地域構想」に基づく事業が、昨年度より5年間にわたり実施されることとなりました。

全国有数の林業地である同町が、今回のモデル事業を通して“儲かる林業、稼げる林産業”へ確かな道筋をつけることができれば、本県全体の林業成長産業化に向け大きな追い風になると思います。

 

さて、久万高原町が今回の構想で目指すものは、基幹産業の成長産業化による「林業日本一のまちづくり」であります。

そのため、地域の産学官が一体となって、素材生産から製品の加工・流通・販売まで、物流と商流を一元的に管理・運営するとともに、地域の森林資源の利用から再造成まで森林整備法人的な機能を有した地域総合商社「久万林業本部」を創設し、同本部を中心とした新たな取り組みを進めるとしています。

ご案内の通り、今、わが国の森林蓄積量は50億立方メートルになるまで充実し、本格的な利用期を迎えています。しかし、毎年の蓄積量約9,000万立方メートルに対し、年間使用量は約2,000万立方メートルと1/5程度に留まっており、このままでは宝の持ち腐れのみならず、森林そのものが荒廃し、その多面的な機能さえ失われかねません。

どうすれば“川上”の森林資源を“川下”の需要拡大に結びつけることができるのか 、多岐にわたる課題に直面する中、久万高原町が進める新たな取り組みは4つの柱からなります。

その第1は「ICT技術を活用した、森林資源から木材製品までの物流・商流の一元化」です。

このことについて本年3月、久万高原町と久万広域森林組合などが、小型無人機ドローンを使って森林を測量し、木材の産出量を把握する全国初の画期的なシステムを開発したとの報道がありました。

同システムにより、正確な生産計画が立てられるようになれば、データに基づいた測量結果を川上から川下まで共有することができ、そうしますと、素材生産に入る前に、販売締結や価格交渉が可能となり、安定した生産・供給体制の構築につながります。

ドローンによる森林測量システムは、構想立ち上げからこれまでの1つの果実であり、林業の成長産業化に向けた画期的な第一歩といえるでしょう。

取り組みの第2は「持続的林業経営を行う久万林業経営体の育成を通じた担い手の確保」です。

これは、一人親方や農家林家といった1人若しくは少数で活動することが多かった林業を、組織化した経営体に変えていくことで林業参入者を増やし、素材増産体制を構築しようとするもので、正に生産性革命そのものであります。

取り組みの第3は「久万材のブランド化と新たな製品・住宅等の開発による利用拡大」、第4は「林業の応援団育成と森林久万山の多面的利用の推進」ということで、いずれもエンドユーザー、あるいは移住者、サイクリスト、観光客、農林業新規参入者など、久万高原町から見た他者、顧客にフォーカスした取り組みであります。

これらは正にマーケティング、ブランディングの本格的な実践であり、ICT技術の活用と相まって、私は、従来の林業とは一線を画した“フォレスト産業”ともいうべき新たな産業の胎動を感じ、心から期待を寄せております。

久万高原町では、この「林業成長産業化地域構想」事業に基づき、5年間で林業就業者を1.35倍の300人に、林業総生産額を1.37倍の35億円に拡大することを目標としておりますが、ぜひこれを達成し、優良かつ豊富な森林資源を核とした“久万材のブランド化”と有利販売を実現し、その利益を持続的に“川上”に還元できるしくみを構築して欲しいと思います。

そこで、お伺いします。
県は、本県林業の成長産業化の実現に向けて、久万高原町の「林業成長産業化地域構想」をどう位置づけ、どのように取り組まれるのか、ご所見をお示しください。

 

林業の成長産業化について - 答弁 -

答弁要旨:農林水産部長

森林資源の多くが伐採適齢期を迎える中、本県では、主伐を計画的に進めることで木材の増産を図るとともに、新たな需要創出への取組みを強化するなど、森林資源の循環利用を通じた林業の成長産業化を目指しているが、本県の木材生産量の約4割を産出する県内最大の生産拠点である久万高原町が、昨年4月に全国16か所の林業成長産業化モデル地域の一つに指定されたことは誠に心強く、同町の構想を成功に導き、その成果を県内全域に波及させることが、本県林業の成長産業化実現の鍵を握るものと考えている。

このため県では、当初から、構想推進の中核となる運営委員会や6つの作業部会に県職員を参画させ、推進方針の骨格づくりや関係者の合意形成など、初動態勢の構築をリードするとともに、構想にある4つの対策の具体化に向け、ICTやAI等の最先端技術を活用した木材増産モデル事業の久万高原町での実施、物流拠点となる原木市場への高性能選別機の導入支援、上浮穴高校生を対象にした林業教育や地元就業促進、優良な久万材を活用した新製品開発や販路開拓支援などの施策を重層的に展開しており、今後とも、町や関係事業者と緊密に連携しながら構想の実現を後押し、本県林業全体の成長産業化へとつなげてまいりたい。

 

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