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2011年 9月定例会(9/20)

テーマ防災・減災対策

防災対策について(2011年9月定例会)

防災対策について - 質問 -

次に、防災対策についてお伺いいたします。

今月1日は防災の日、全国各地でさまざまな防災訓練が実施されているところでありますが、本県におきましても、その規模や工夫において例年を上回る成果をおさめられ、まずは関係各位の御尽力に敬意を表しますとともに、本県全体に広がりつつあるこの防災意識の高まりをさらに向上させていかねばならないと決意を新たにするものであります。

6月定例会でも申し上げましたとおり、公明党愛媛県本部では、東日本大震災を契機として防災対策委員会を立ち上げ、災害に強い、支え合う愛媛の実現を目指して、この間取り組みを進めてまいりました。

現在、本県及び各自治体では、地域防災計画の見直しが進められておりますが、想定外の災害に対して想定をし尽くすためにも、私たちはこれを行政任せにするのではなく、県民総ぐるみでの取り組みに高めていくことが重要であると考えるのであります。

その意味から、本県各地の防災課題や求められる防災対策を現場視点から提言すべく、猛暑照りつける7月、1カ月間にわたりアンケート調査を実施いたしました。

自助の最前線が個人や家族であるならば、共助の最前線は自主防災組織であります。発災時の初動のかぎを握る共助のかなめとも言うべき自主防災組織の現状はどうか、抱える課題は何か、責任者の方々を対象に、39名の議員が手分けをして一軒一軒お訪ねし、お話を伺ったのであります。

そして、そこから見えてきたものは、大変深刻な現実でありました。時間の関係上、調査結果のるるは申し上げられませんが、最も印象に残った幾つかについて御紹介をいたします。

まず、万一の発災時に我がまちの住民は安全な場所に避難できますかとの問いに、全県で約半数の方々が、特に東予では約60%の方々が難しいと回答をされました。注目すべきは、これが自主防災組織の責任者の回答であるということです。つまり、地域の危険箇所にも実情にも通達した防災の中心者が示す認識であるがゆえに、非常に重いものがある。県は、この現場が抱く危機感をまずもって深刻に受けとめていただきたい、そう思うのであります。

次に、責任者の年齢、職業をお伺いしたところ、60歳代以上が約80%を占め、最も多い職業は第一線を引かれた無職の方々でありました。要するに、後継となる担い手が十分でない、地域によってはいないのであります。これには、そもそも現役世代が少ないという人口構成の問題、あるいは、現役世代が仕事や介護など生活で手いっぱいという社会構造の問題、また、御近所の希薄なきずな、いわば事なかれ人間関係といった地域コミュニティの問題など、現場レベルを超えた課題が多岐にわたり横たわっている、そうした背景があることがわかりました。

地域社会全体で地域防災の主役を高齢世代から現役世代に引き継いでいく、その覚悟とリーダーシップがまさに今行政に求められているのではないでしょうか。

そこで、お伺いします。

本県では、本年7月1日現在、2,722の自主防災組織が結成されており、組織率は89.1%ということでありますが、調査で判明した、おおむね高齢者の方々が大変な思いをされながら組織の運営を担われているという実態、さらには、担い手がなかなか見えてこないという現実を県はどのように受けとめるのか。そして、現場レベルを超えた多岐にわたる諸課題に対し、どのように取り組んでいくのか、御所見をお示しください。

次に、高齢者、障害者、乳幼児、難病患者、妊産婦など、いわゆる災害時要援護者についてであります。

それらの方々の掌握は万全ですかの問いに対し、全県のちょうど半数が、不十分との認識を示されました。

思えば、さきの大震災直後、刻一刻と新たな情報が発表される政府会見は、耳の御不自由な方々にとって、大変不安でもどかしいものでありました。私たちは、そうした現場の方々の御要望を受け、すぐ手話通訳をつけるよう政府に申し入れ、3月13日午後には無事その配置がなされたわけですが、発災時における瞬時の、そして適切な対応が、とりわけ災害時要援護者の方々にとっていかに重要かということを改めて認識させられたのであります。

その意味で、災害時要援護者に対し適切な対応を行うためには、平時において、だれがだれをどのように介添えし、どこに避難するといった備えを整えておくことは必要条件なのであります。しかしながら、実際には全県の半数が掌握不十分という状況で、極めて憂慮すべき現実と言って過言ではありません。

その要因として、とりわけ回答者から指摘が多かったのは、個人情報保護法の壁についてでありました。住民が情報を教えてくれない、役所にも情報がない、そもそもマンションに入れない、住民に会えないといった困惑を責任者の方々は抱いているのであります。

そこで、お伺いします。

災害時要援護者を災害から守るには、平時からの万全な備えが必要ですが、その掌握さえままならない現状について、本県はどのように認識し、どのような対策を講じられるのか、御所見をお示しください。

また、現場が壁と感じる個人情報保護の法制度について、災害時には何よりも人命を優先する運用が可能となるような解釈や措置が必要と考えますが、あわせて見解をお示しください。

防災対策について - 答弁 -

答弁:県民環境部長

木村議員にお答えいたします。

まず、防災対策についてのうち、高齢者が自主防災組織の運営を担っている実態と担い手がなかなか見えてこない現実をどう受けとめ、多岐にわたる諸課題にどう取り組んでいくのかとのお尋ねでございます。

自主防災組織は、自治会や町内会などを構成単位として、役員も双方を兼ねている場合が多く、どうしても現役を引かれた方々が中心となって運営を担っているケースが多いのが現状であると聞いております。

木村議員お話のとおり、若い後継者が不足している背景には、少子高齢化の進展や生活スタイルの変化など、日本社会が抱えるさまざまな社会問題が横たわっており、簡単には解決できない課題であると認識しております。

県としましては、高齢化の進む自主防災組織の活性化には、核となる人材の養成が喫緊の課題ととらえ、今年度から3年間で防災士を1,500人養成することとし、この講座にできるだけ若い世代を推薦いただくよう市町に呼びかけているところでございます。

ちなみに、最初の講座となりました八幡浜支局での受講生79名の平均年齢は46.3歳となっておりまして、長年にわたって地元の自主防災組織の中心的役割を担っていただけるものと期待しております。

また、県では、今年度から地域の課題解決のための取り組みを支援する新しい公共支援事業を実施しておりますが、地域における防災の取り組みもその対象となっておりますので、実施主体となる市町においては、自主防災組織の活性化に積極的に活用していただきたいと考えております。

自主防災組織の育成、充実は市町の責務でありますが、共助は防災対策のかなめでありまして、県としては、市町に対し、さまざまな角度から支援を考えていきたいと思っております。

次に、災害時要援護者の掌握さえままならない現状についてどう認識し、どのような対策を講じるのかとのお尋ねでございます。

災害時に高齢者、障害者、乳幼児などの災害時要援護者を迅速に避難させるためには、要援護者の情報の共有が重要でございますが、個人情報の取り扱いなど難しい課題を抱えておりまして、必ずしも順調に進行していないのが現状と認識しております。

国では、本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるときに、保有個人情報の目的外利用、提供ができる場合があるとの見解を示して、積極的に取り組むことを要請してはおりますが、市町におきましては、個人情報が漏えいした場合の対応の困難さや影響の大きさ等を憂慮しており、現実的にはそのような対応は難しいと考えております。

現在、県内市町において実施しております第三者への情報提供の本人同意を得ることを前提とした手挙げ方式や同意方式によるケースでは、情報共有がかなり進んではおりますが、さらにこれを進めるためには、6月議会で木村議員が引用されました「自分の命を守るのはあなた自身です。あなたがベストを尽くすことを行政はサポートします」という観点も必要でありまして、まずは、援護を受ける側の方々に、支援してほしいという気持ちを持っていただくことが重要であると考えております。

県では、今年度から南予地方局におきまして、災害時要援護者支援力強化事業を実施しているところでありますが、今後とも、県と市町、防災部局と福祉部局との連携を密にし、粘り強く災害時要援護者避難支援の仕組みの周知に努め、援護を受ける側の方々の意識変革につなげてまいりたいと考えております。

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