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介護問題について(2010年2月定例会)

介護問題について - 質問 -

次に、介護問題についてお伺いします。

御案内のとおり、我が国の少子高齢化は、世界に類を見ないスピードで進展しております。国の推計によりますと、今から15年後の2025年には、65歳以上の高齢者人口が3,600万人に達するとの見通しで、ほぼ3人に1人が高齢者という時代がもうすぐそこまで来ているのであります。一方、現状は、逆三角形の人口ピラミッドに移行していくそのスピードの速さに制度も環境も追いついていないというのが現実ではないでしょうか。

私たち公明党は、そうした将来を見据えて、だれもが安心して暮らせる長寿社会を実現したい、そのような思いから昨年11月と12月、本県を含む全都道府県において、3,000有余名の議員ネットワークを通じて介護総点検運動を実施いたしました。本県におきましても、県下市町、各介護施設の事業者、従業者、介護サービスの利用者、御家族、それから街頭アンケートも含めて約1,200名の皆様方から直接聞き取り調査という形で御要望等をお預りしたのであります。調査に御協力をいただきました皆様に、この場をおかりして改めて御礼を申し上げますとともに、ぜひ皆様の声を県政に反映させてまいりたいとの思いでお伺いをいたします。

まず、私が今回、介護総点検運動を通して実感したのは、核家族型社会の限界ということについてであります。現在、我が国では、経済も社会もビジネスもあらゆる営みが核家族を前提として成り立っているように思えますが、その前提を少し変えていく時代に入ったというのが私の仮説であります。

今回の私たちの調べでは、調査対象の半数以上の方々が在宅介護に携わっておられ、その約6割の御家族が身体的、精神的、経済的な負担が大きいと感じていることが判明いたしました。つけ加えますと、全世帯の半数以上がいわゆる老老介護の状態にありまして、まさにぎりぎりのところで毎日在宅介護が行われている、これが私たちが目のあたりにした実態なのであります。

そこで、お伺いする第1点は、在宅介護のうち施設に入りたくても入れない方々への対応についてであります。現時点での本県における介護保険施設の入所待機者は何人で、その待機解消に向けて県はどのように取り組まれているのか、お聞かせください。

お伺いの第2点は、在宅介護に携わる御家族の負担の軽減についてであります。

全国的に心の病や自殺、殺人など、負担に耐え切れず生じる御不幸が後を絶たない中で、本県としてこの問題をどのように認識し取り組まれているのか、地域ケア体制の整備状況やレスパイト事業の実態とあわせてお示しください。

お伺いの第3点は、家族介護手当の創設についてであります。

例えば、ある高齢者の方が施設に入所しますと、介護保険の1割負担分と介護保険対象とならない食費などの個人負担を含めて、おおむね月10万円前後の費用がかかります。ただし、それはあくまでも個人負担分でありまして、このほかに税金と介護保険料で賄われる介護給付費がおおむね月に30万円かかっております。したがいまして、この場合、お一人の施設入所にかかる社会的コストは、年間約360万円ということになります。つまり、施設の拡充は社会的コストの増大と表裏なのでありまして、一定レベルの施設拡充は当然ながら必要ですが、少子高齢化の今後の進展を考えますと、どこかで限界に達するのは明らかでありましょう。

そこで、自助に光を当て、この費用を御家族に支給されてはどうかと思うのであります。これは私たちが在宅介護の現場で最もたくさんいただいた県民の皆様の切実な御要望にほかなりません。

例えば、要介護者お一人に月10万円お支払いすると年間約120万円、月20万円だと年間240万円。御家族の経済的負担は大きく軽減され、精神的にも余裕や安心が生まれ、あるいは地域経済への波及効果なども期待できるかもしれません。また、それにより施設入所が回避されれば、約360万円と見立てた社会的コストも浮き、その分、施設待機の高齢者への入所機会の拡大にもつながります。

おじいさんやおばあさんが元気な孫の顔を見ながら子守りをし、子育てを手伝いながら住みなれた地域に暮らす風景。もしも倒れたり寝込んだりしたら家族みんなで介護し、そして最後はみとっていく。一昔前はどこも当たり前の光景でした。核家族中心から2世帯や3世帯での同居あるいは近隣居住といった、緩やかであっても着実に家族がつながっていける政策が少子高齢社会の今、とても重要な時代に入ったと思うのであります。

そこで、お伺いします。

同居、近隣居住家族等の自助や家族のつながる力をはぐくむ家族介護手当の創設について、御所見をお示しください。

次に、介護従事者の皆様の御要望についても触れておきたいと思います。その最も切実なものは、処遇と就労環境の改善であります。

少し前まで寿退社というのは若い女性に対する修辞でありましたが、最近では逆だそうです。介護の現場では、若い男性が結婚を機に仕事をやめるケースが大変多く、生活ができないからやめざるを得ない、そのような男性の離職が寿退社と呼ばれているのであります。

賃金すなわち介護報酬の引き上げを初め、処遇改善要望のほとんどは介護保険制度自体に起因するため、根本的にこの問題は国の課題と言えますが、県や市町でも対応可能なものについては、最大限取り組みたいものであります。

例えば、事務処理を軽減してほしいとの御要望は、どの施設、従業者の方からもひとしく寄せられました。毎年毎年同じ書式に一から記入したり、縦割りの所管ごとに似たような書類を作成したりすることは、介護の現場からしますと、事務手続の簡素化で改善できる余地が多分にあると感じているのであります。そして、改善によって浮いた時間を介護サービスや就労環境の向上に振り分けることができれば、何よりも要介護者の皆様の喜びと安心に寄与できると考えられるのであります。

そこで、お伺いをいたします。

介護従事者の処遇と就労環境の改善について、県としてどのような対応が可能か、お聞かせください。事務処理の軽減に向けての取り組みについても、あわせてお伺いいたします。

私たち公明党は、先月24日、今回の介護総点検運動の結果を新・介護公明ビジョンとして政策にまとめ、発表させていただいたところでございます。深刻な介護問題といったふさぎがちなイメージではなくて、安心して支え合い長生きを楽しむことができる、そんな本県の安心長寿社会の実現に向けて、引き続き今後とも全力で取り組んでまいりたいと思います。

介護問題について - 答弁 -

答弁:保健福祉部長

次に、介護問題について4点お尋ねがございました。

1点目は、本県の介護保険施設の入所待機者は何人いるのか。また、その待機解消に向けて県はどのように取り組んでいるのかとのことでございます。

県内の介護保険施設の入所待機者数は、直近の平成21年7月1日時点の調査結果によりますと、特別養護老人ホームは3,953人、老人保健施設は1,052人となっております。

介護保険制度では、要介護者の増加見込みや介護保険施設の待機者調査結果等を踏まえまして、3年ごとに必要な介護サービスの量を推計いたしまして、介護保険施設の整備目標等を定める介護保険事業支援計画を策定しております。本県におきましては、平成21年度からの第4期計画において、介護を必要とする高齢者が適切なサービスを受けられるように在宅サービスの一層の拡充を図りますとともに、小規模特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホーム、介護保険適用の有料老人ホームなど合わせて2,664床の施設整備を進めることとしております。

現在、市町とも連携して計画の着実な推進に努めておりますが、計画策定時に比べまして入所待機者数が一層増加しておりますことから、国の経済危機対策の一環として、平成22年度から特別養護老人ホーム等の緊急的な上乗せ整備を行い、さらなる待機者の解消に努めてまいりたいと考えております。

2点目は、在宅介護に携わる家族負担の軽減について、どのように認識し取り組んでいるのかとのお尋ねでございますが、介護保険制度のもとで在宅介護を支える体制整備も順次進んでおりますが、依然として家族介護者に過度の負担がかかっている実態があることは、木村議員御指摘のとおりでございまして、その軽減に向けた支援や地域ケア体制の一層の整備が重要な課題であると認識しております。

このため、県では、市町と連携して要介護者が重度化しても自宅での生活が継続できるように支援する小規模多機能型居宅介護など、地域密着型サービスの拡充に取り組みますとともに、全市町に設置されております地域包括支援センターを中心として介護者教室の開催や介護用品の支給等、家族介護者への支援とあわせ相談や見守り体制の構築などを進めまして、地域ケア体制の整備に努めているところでございます。

なお、介護を一時的に代替するなどによりまして、家族介護者にリフレッシュを図ってもらうレスパイト事業といたしましては、介護保険により短期入所生活介護や通所介護サービス、家族介護者の元気回復を図る交流事業などを実施しておりますほか、市独自で宿泊介護券等を交付している事例もございまして、引き続き市町と連携して家族介護者の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。

3点目は、同居、近隣居住家族等の自助や家族のつながる力をはぐくむ家族介護手当の創設について所見を問うとのことでございます。

木村議員から御提案のございました家族介護手当につきましては、介護保険制度が高齢者やその家族を十分には支え切れていない現実や、一層の高齢化の進展を踏まえ、家族の自立、自助を基本として、介護を必要とする高齢者が住みなれた自宅で家族とともに安心して暮らせる社会を構築したいとの考えから創設するものと理解されますが、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みでございます現行制度の方向を転換するものでございまして、その実現には給付と負担のあり方も含め広く国民的な議論が必要であると考えております。

なお、国におきましては、現に介護を行う家族にいかに報いるかも大切なことではあるが、家族の労力に依存しない介護サービスを確立、強化することがむしろ重要であるとの考えであると聞いております。

4点目は、介護従事者の処遇と就労環境の改善について、県としてどのような対応が可能かとのお尋ねでございました。

介護従事者の処遇等の改善は、介護を支える人材の確保を図る上で重要な課題でありまして、県といたしましては、事業者への訪問指導等を通じ介護職員処遇改善交付金の有効活用や就労環境の改善を働きかけますほか、財団法人介護労働安定センターが実施しております雇用管理改善事業等の周知を図るなど、対応可能な取り組みを鋭意進めているところでございます。

また、介護従事者の事務処理の軽減を図るため、これまでも県が独自に定めております報告書等につきましては、簡素化に努めてきたところでございますが、作成書類の多くは、介護サービスの適正化を図る観点から法令で義務づけられまして、介護報酬体系の複雑化により届け出書類も増加しておりますことから、職員の負担が大きくなっているものと認識しております。このため、引き続き国に対しまして、事業者の立場に立って提出書類の必要性や内容について再検討されるよう要望してまいりたいと考えております。
以上でございます。