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2010年 2月定例会(3/8)

テーマ地域経済対策

愛媛県成長戦略2010における食品ビジネスについて(2010年2月定例会)

愛媛県成長戦略2010における食品ビジネスについて - 質問 -

さて、ここまで医療、介護分野における問題を提起いたしましたが、これらはいずれも富の分配論と言えます。その必要性を認識すればするほど重要になってくるのは、富すなわち財源の創造という視点であります。

その意味で、現在策定中の愛媛県経済成長戦略2010、経済版えひめマッスルプラン、略して以下マッスルプランと称しますが、私はこれに大変期待を寄せるものであります。特に、昨年9月議会で、私は、県が主体となったニューウォーターの開発の必要性について提言させていただいたところ、本プランの低炭素ビジネス分野における重点分野Aにきっちりと盛り込んでいただき、心より敬意を表する次第であります。

さて、そのマッスルプランのうち、今回は食品ビジネスについて2点お伺いしたいと思います。

まず、1点目は、農商工連携についてであります。

言うまでもなく本県は、中四国最大の農林水産県であります。真珠やハマチ養殖など日本一の海面養殖業、温州ミカン、伊予カンなど全国有数の柑橘類など、まさに農林水産業こそ本県の基幹産業であり、その振興がそのまま本県経済を左右すると言っても過言ではありません。その一方で、珍味や飲料、練り製品、菓子類などすぐれた一次産品を活用した食品加工業が県内製造業の約2割を占め、本県はまさに農商工連携の推進に最適の地域特性を持っていると言えるのであります。

マッスルプランでは、近年のグローバリゼーションの進展に伴う競争激化や少子高齢化による国内市場の縮小等により疲弊する農林水産業を10年というスパンでもうかる農林水産業にイノベーションしていこう、農商工連携によって食料供給基地えひめを実現しようとしております。これは、私たち公明党が提唱する緑の産業革命という経済成長戦略の中で、食料自給率50%を目指す「50(ごーまる)プラン」として進めようとする施策と軌を一にし、大変心強く感ずるものであります。
県では、既に今年度から農商工連携案件のニーズ発掘や生産現場見学会、連携体のコーディネート事業などを進めており、特にニーズの発掘については、全国公募により大学農学部の学生やまちづくりグループなどから168件もの新商品づくりの斬新なアイデアを集め、現在幾つかの有望案件については事業化の調整が行われていると伺っております。商品化に向けた今後の進展に大いに期待を寄せたいものであります。

さて、御案内のとおり、農商工連携は新たな付加価値と顧客、市場の創造によって農林水産業所得の増加や商工業者の業績拡大をもたらす可能性を秘めています。また、それを地域全体に広げられれば、地域経済の活性化にもつながる起爆剤として期待されるのでありますが、現状はさまざまな障壁等により十分に広がっているとは言えない状況にあります。

そのあたりの課題について、国の農商工連携研究会では、4つの力の重要性が指摘されています。まずは顧客への訴求力を持つ地域ブランドとしての商品力、次に、安定供給のための流通小売業者との連携による販売力、そして高い経営能力やノウハウを持つ経営力、さらには自治体やJA、商工会議所など地域ぐるみで取り組む地域力。この4つの力が現在のところ十分ではないとの指摘は、逆に言うと、それらの条件クリアこそ成功のかぎとの示唆なのであります。

特に近年の高齢化や担い手不足、耕作放棄地の拡大など農林水産業とその関連産業は、その存続に待ったなしの極めて厳しい状況に置かれており、農商工連携を通じた新たなビジネスモデル構築の必要に迫られているのであります。ゆえに、例えばマイケル・ポーターが名著「競争優位の戦略」の中で説いたバリュー・チェーンと言われる価値の連鎖システムを本県らしいビジネスモデルとして成立させゆく力を持ったリーダーの育成や、先ほどの4つの力を持続的に向上させる環境の整備が極めて重要であると私は思うのであります。

そこで、お伺いいたします。

知事は、マッスルプランの中で農商工連携をどのように展開していこうとされているのか、御所見をお示しください。

また、県におかれましては、総額25億円の農商工ファンドにより本格的な農商工連携ビジネス支援をスタートさせたと伺っておりますが、それによりぜひ本県らしい農商工連携ビジネスが拡大し、そして、成果をおさめられるよう心より期待をしつつお伺いいたします。

総額25億円の農商工ファンド事業の具体的な取り組み方針について、御所見をお示しください。

次に、お伺いする第2点は、食品ビジネスの中の海外販路の開拓についてであります。

マッスルプランでは、愛媛や四国産品を輸出する「どんどん海外チャレンジえひめ」を掲げ、東アジアへの海外販路を開拓するため、世界と愛媛を結ぶ地域商社の育成やEHIMEブランドの海外PRなどを重点戦略として、中国、香港、台湾等への食品輸出の促進に取り組むこととしております。

これは、私たち公明党の経済成長戦略緑の産業革命で掲げるアジア版ニューディールに符合し、しかも国内市場が縮小する中、食を中心とした積極的な海外販路拡大は、経済成長のみならず魅力ある農産漁村づくりのためにも大変重要なテーマであると認識するものであります。

折しも県では、昨年から四国4県の共同により上海で四国アンテナショップを開設し、また、上海の高級スーパーマーケットにも四国産品常設売り場を開設されました。その店頭には和菓子、めん類、柑橘加工品、珍味類、水産加工品、酒類等がところ狭しと並び、早速、加戸知事を初め、理事者幹部も現地に乗り込まれて販促活動の陣頭指揮をとられたと伺ったのでありますが、はっぴを着て愛媛、四国を熱烈にアピールされる知事の熱意と理事者の熱い姿勢に心より感服する次第でございます。

また、えひめ愛フード推進機構におきましても、上海や台湾で農林水産物等のPR商談会や県内団体等を対象に香港・台湾市場食品輸出座談会を実施し、これらの地域に向けた柑橘類の試験輸出に取り組まれるなど、本県農林水産物の輸出促進に全力を上げておられると伺いました。

しかしながら、地元企業や農業団体で東アジア市場に精力的に独自で輸出展開できるようなケースはいまだわずかでありまして、企業アンケートなどを見てみますと、意欲はあるものの直ちに輸出ビジネスに踏み切れない要因として、海外業務に対応できる社内人材の不足やあいまいな商慣習による与信不安のほか、複雑な貿易業務などに大きな不安を抱えていることが伺えます。こうした障壁を一つ一つクリアしていくことは、県が当面する重要な課題の一つでありましょう。

また、東アジアを含む海外マーケットへの参入を広げるためには、本県経済のさらなる活性化と地場産業の競争力強化が不可欠であり、官民一体となった支援がますます重要であろうことは言うまでもありません。これまでのような単発の海外展示会や見本市への出展、商談会の開催だけではなく、県内企業の輸出有望案件の選定や輸出戦略の策定、貿易実務のスキルアップ支援など専門的なサポートができる貿易商社的な機能と信頼できる現地パートナー商社との連携等をきめ細かく支援する体制が必要不可欠と思うのであります。

以上、るるの課題を踏まえ、お伺いをいたします。

知事は、東アジア市場をターゲットとした海外販路の開拓について、どのように展開していこうとしているのか、お聞かせください。

また、昨年から実施している上海プロジェクトについて、これまでの成果や課題をどう認識しているのか。さらに、2年目となる来年度の上海プロジェクト拡充等の方策はどうか、御所見をお示しください。

以上で私の質問を終わらせていただきます。

御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

愛媛県成長戦略2010における食品ビジネスについて - 答弁 -

答弁:加戸守行知事

木村議員の質問に答弁いたします。

まず、マッスルプランの中で農商工連携をどのように展開していくのかとのお尋ねでございました。

すぐれた農林水産資源に恵まれ、食品加工業が数多く集積する本県では、全国に先駆けて植物工場の実用化に取り組むなど、農商工連携の強みを発揮した新たなビジネス展開が将来有望であると認識いたしております。

このため、県では、えひめマッスルプランの食品ビジネス分野の中で農商工連携を最重点戦略に位置づけ、農林漁業者と商工業者がともに潤う食料供給基地えひめの実現を目指しておりまして、平成22年度は専門機関の知見を活用した連携ビジネスモデルの構築や、先般創設しました25億円の農商工連携ファンド事業の総合調整を担うプロジェクトマネジャーの設置などに取り組むことといたしております。

また、木村議員からお話のございましたとおり、農商工連携を地域に拡大してまいりますためには、事業者の販売力や経営力等の向上が重要となりますことから、「チームえびす」や「あぐりすとクラブ」と連携し、農林漁業者、商工業者双方の経営体質の強化やリーダー人材の育成に努めますほか、農商工連携が地域的な広がりを持ったイノベーションとして展開できますよう、行政はもとよりJA、商工会議所などの地域力を結集しながら本県独自の農商工連携支援システムを構築し、愛媛の新たな食ビジネスの振興を図ってまいりたいと考えております。

答弁:経済労働部長

木村議員にお答えをいたします。

愛媛県経済成長戦略2010の農商工連携についてのうち、農商工ファンド事業の具体的な取り組み方針について所見を問うとのお尋ねでございます。

農林水産業や食品加工業を基幹産業とする本県にとって、農商工連携は極めて有効な経済活性化方策であるというふうに認識しておりますことから、地域産品の特性を生かした商品開発など、きめ細かな連携プランを数多く育てながら、地域経済の発展に結びつけていくことが必要であるというふうに考えております。

このため、本年2月から運用を開始いたしましたえひめ農商工連携ファンドにおきましては、県事業で発掘された地域の連携ニーズの中から農林漁業者の所得向上や商工業者の売り上げ増加など、双方のメリットになるような連携案件の商品化を直接支援することといたしております。

具体的には、連携事業者に対し商品開発に必要な資機材の整備、原材料購入、販路開拓のための展示会出展等の経費を助成いたしますほか、商工会議所やJAなどの連携支援機関に対しても、プラン育成やフォローアップ経費を助成するなど、事業化の底上げを図りながら成長産業となり得るビジネスモデルの創出を目指していくことといたしております。

今後とも、ファンド事業の有効活用により農林漁業者と商工業者がともに魅力を感じるような成功事例を数多く積み上げ、マッスルプランに掲げた農商工連携の常態化による食ビジネスの促進に努めてまいりたいというふうに考えております。

答弁:加戸守行知事

次に、東アジア市場をターゲットとした海外販路の開拓について、どのように展開していくのかとのお尋ねでございました。

近年、東アジアへの注目が高まります中、本県は、早くから韓国、中国、台湾などとの定期貨物航路の開設、拡充に取り組んでまいりましたほか,空路におきましてもソウル便に加え、5年前には念願の上海便を誘致するなど東アジアとの経済交流ネットワークを拡充しておりまして、これら四国最大の国際物流基盤の形成は、本県食品産業の海外展開に極めて有効であると認識いたしております。

このため、愛媛県経済成長戦略2010では、食品ビジネスの柱に東アジアをターゲットとした愛媛産食品の海外販路開拓を位置づけ、来年度から本県産食品の輸出強化のため官民一体の連携支援組織を設立いたしますとともに、意欲ある県内事業者の国際取引をサポートする地域商社を育成するなど、愛媛からダイレクトに海外へ輸出できる強みを生かした体制を構築し、県内産業の国際化の促進を図る所存であります。

東アジアなど新興国市場の拡大をにらみ、各国が販路開拓にしのぎを削ります中で、県内事業者が果敢に海外にチャレンジし、厳しい競争を勝ち抜けるよう関係者一丸となったスピード感のある輸出促進施策により、すぐれた愛媛産食品の海外販路拡大を図ってまいりたいと考えております。

答弁:経済労働部長

次に、この同じ2010のうち、海外販路の開拓について御質問がありました上海プロジェクトのこれまでの成果や課題をどのように認識しているのか。また、来年度の上海プロジェクト拡充等の方策について所見を問うとのお尋ねでございます。

昨年から四国4県共同で取り組んでおります上海プロジェクトは、四国産品常設売り場での販売実績が半年で約600万円になるなど、事業初年度として一定の成果を上げることができましたほか、四国や愛媛の商品イメージの浸透や中国最大の食品総合見本市での世界各国のバイヤーとの商談など、今後の海外販路開拓事業の展開に当たり大きな自信を得たところでございます。

一方、課題としては、価格競争力の弱さや商品説明力不足などがあり、これら問題点を出展企業にフィードバックすることにより1個当たりの容量の見直し等による販売価格の引き下げや消費者に訴えやすいアピール手法の導入といった今後の輸出戦略の工夫につなげていただいております。

また、来年度の事業展開につきましては、アンテナショップでは、上海で開始されました宅急便を活用した通信販売システムへの参画、また、常設売り場につきましては、北京での販売促進フェアの実施などの拡充を検討しており、引き続き4県とジェトロ、関係企業等が一体となって2年目を迎える上海プロジェクトを一層充実、強化させてまいりたいというふうに考えております。

以上でございます

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