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ブルーカーボンについて(2022年6月定例会)

次に、ブルーカーボンについてお伺いします。

“ブルーカーボン”とは、海草や藻類等の海洋生物が貯留したCO2のことを言います。

UNEP国連環境計画が2009年に命名し、 “海”がCO2吸収源として非常に高い可能性を有するとともに、“海洋資源”が気候変動対策に極めて有効であることを明らかにしたことから、今、世界から注目が集まっています。

わが国は昨年、2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、いわゆる“カーボンニュートラル”の実現と、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する新たな目標を設定しました。

そのためにはCO2の吸収源の強化が欠かせませんが、海草など多様な植生群からなる藻場の造成を進めれば、2030年時点のブルーカーボンは森林などを含めたCO2吸収量全体の約2割を占めるとの試算もあることから、四方が海で海岸線の長さが世界第6位というわが国の強みを生かしながら、積極的に取り組みを進めてほしいと思います。

UNEPは報告書で、「ブルーカーボン生態系の炭素貯留量は、陸上すべての植物が貯留する炭素量に匹敵する」としていますが、一方で「この貴重な生態系は年間2~7%ずつ消失」しており、このままだとCO2排出量の増加が懸念されると警鐘を鳴らしています。

ブルーカーボン生態系は「海のゆりかご」とも呼ばれ、生物多様性を豊かにし、産卵場や稚魚の成育場として水産資源を供給してくれるほか、水質浄化、教育やレジャーの場の提供、生活文化の醸成など様々な恩恵を私たちにもたらしてくれます。

国交省等ではこれまで、カーボンニュートラルの実現に向け、港湾整備の中で浚渫土砂などを活用した深堀跡の埋め戻しや覆砂、干潟・浅場・藻場の造成などの取り組みを進めてきましたが、これからは行政だけでなく、企業や漁業関係者、県民など、多様な主体が保全活動を行うことにより、ブルーカーボンを拡大する取り組みを推進していくとしています。

そこで、お伺いいたします。
県は、CO2を貯留し、気候変動対策に有効とされる“ブルーカーボン”についてどのように認識し、多様な主体とともに今後どのように推進していくのか、ご所見をお示しください。

次に水産業、とりわけ瀬戸内海の水産資源の回復と漁業振興の観点からお伺いします。

ご案内の通り、藻場の衰退や消失が進み、漁獲量が年々減少する瀬戸内海沿岸では、漁獲量回復のため様々な取組みが進められています。

そうした中、昨年6月定例会で、わが会派の笹岡議員が、改正瀬戸内海環境保全特別措置法に関して、栄養塩類の管理計画の策定や藻場の再生・創出等についての県の取組みを取り上げ、戒能議員からは、鉄鋼スラグを用いた藻場造成により、短期間で多種多様の水産資源が回復し、収穫量が増加した、松山市漁協の事例等が紹介されました。

タコで有名な兵庫県の明石浦漁協では、海底に投下した鉄製の専用器具を漁船で引っ張り、砂や泥にたまった栄養分を掘り起こし海中に拡散させる“海底耕耘(こううん)”を2008年から本格的に開始し、タコが再び取れるようになった等の報告が上がっています。この海底耕耘は、秋田県、福井県、広島県にも広がっており、その内、福井県ではカニの漁獲量が増えたとの成果が上がっていると聞きます。

そこで、お伺いいたします。
法改正を受けた変更後の瀬戸内海環境保全基本計画には、「藻場・干潟は重要な漁場であるばかりでなく(中略)、ブルーカーボン等の様々な機能を有していることを踏まえ、その保全・創造等に努めるものとする」とありますが、県は、藻場の造成や海底耕耘などの手法も踏まえ、瀬戸内海の水産資源の回復並びに漁業の振興に向け、どのように取り組んでいくのか、ご見解をお示しください。

<答弁概要①:県民環境部長>

大気中の二酸化炭素が光合成によって藻場や干潟等に吸収されるブルーカーボンは、森林と比べ規模は小さいものの、単位面積当たりの吸収量が多いとも言われるなど、新たな温室効果ガス吸収源として大きな可能性を秘めており、また、閉鎖性海域である瀬戸内海沿岸には、藻場や干潟が広く分布していることに加え、海岸線が日本で5番目に長い本県におきましては、森林とともに温室効果ガス削減に寄与する重要なものであると認識しております。

一方で、藻場や干潟等は、各種開発等により全国的に減少傾向にあり、県では、これまで、自然海浜保全条例に基づき、23か所を自然海浜保全地区に指定して保全を図って参りましたが、更に、本年4月に同条例を改正し、再生・創出された藻場や干潟等も指定対象に追加し、自然海浜の保全及び再生・創出に努めているところでございます。

ブルーカーボンにつきましては、現在、国において、吸収・貯留量の計測方法等の検討段階にありますことから、県としては、国の動向を注視し、その結果も踏まえまして、「県地球温暖化対策実行計画」に適切に反映させるとともに、今後は、漁業者や関係機関等とも協議しながら、再生・創出された藻場・干潟等も含め、保全・活用に向けた取組みを推進して参りたいと考えております。

<答弁概要②:農林水産部長>

二酸化炭素の貯留機能を有する藻場は、多様な水生生物の産卵や成育の場でもあり、育まれた水産資源は、私たちの生活に多大な恩恵をもたらしてきましたが、近年、開発による埋立や魚介類による食害等により、生育範囲の減少と機能低下が続いており、今後、貴重な海の恵みを次世代に引き継ぐためには、藻場の維持・増大が不可欠と認識いたしております。

このため県では、過去5年間で伊予灘において、1haの藻場を計画的に造成して参りましたが、さらなる資源回復に向け、現在、令和5年度を初年度とする次期漁場環境整備長期計画を策定中であり、計画では、これまでに収集した海域環境データや藻場衰退の要因分析などを踏まえ、効果的な藻場造成の手法や配置場所を検討したいと考えております。

また、今年度は、アマモの移植や栄養塩の放出をねらった海底耕うんなど、漁業者や地域住民等による里海づくり活動に対しても支援することとしており、今後とも、藻場の保全・創造に向けて、市町や漁業者等と連携しながら、ハード・ソフト両面で実効性のある取組みを展開いたしますとともに、資源管理や種苗放流にも積極的に取り組むことで、瀬戸内海の豊かな水産資源を回復させ、漁船漁業の持続的な発展につなげて参りたいと考えております。

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