議会質問

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2012年 9月定例会(9/24)

テーマ地域経済対策

「瀬戸内しま博覧会(仮称)」について(2012年9月定例会)

「瀬戸内しま博覧会(仮称)」について - 質問 -

次に、瀬戸内ブランドを活用した「瀬戸内しま博覧会(仮称)」についてお伺いします。

6月議会で、私は、瀬戸内海の世界ブランド化について持論を述べさせていただきました。この間、離島の皆様を初め、さまざまな方から期待と賛同の声をいただきましたが、先ごろ、瀬戸内ブランドプロデューサーである西川りゅうじん氏と面談する機会を得ました。

西川氏については、御説明するまでもないと思いますが、マーケティングコンサルタントであり、古くはウォークマンの販促、また、「アッシー」「メッシー」「ジモティ」などの造語や焼酎ブームの仕掛け人として、近くは、愛・地球博、龍馬博、平城遷都1300年祭を成功に導くなど、その活躍の範囲は余りにも幅広い超売れっ子プロデューサーであります。

そんな西川氏と今月上旬、面談に臨んだのですが、会話の冒頭に、私がもといた広告会社や業界事情、あるいは共通の知人に関する話題などで一気に打ち解け、強烈なシンパシーに包まれたひとときとなりました。西川氏との面談は3時間近くに及び、私にとっては新たな気づきと触発の連続であるとともに、「なるほど」「いいですね」というせりふの連発でありました。

しかし、これをただ聞くだけではもったいないとの思いから、私は、あらかじめ準備しておいた資料をもとに、瀬戸内ブランディングに関する取材を敢行。事前通告なし、突然の投げかけであるにもかかわらず、次々とクリアで説得力ある回答を紡ぎ出す西川氏には、さすがプロ、脱帽と言うほかありませんでした。

取材後、僭越ながら私の仮説もぶつけてみたのですが、お世辞とはいえ、大変勇気づけられるコメントに恐縮しきりでございました。

そこで、今回は、そうした西川氏との面談内容を背景に、幾つかお伺いしたいと思います。

まず、本県も参加する瀬戸内ブランド推進協議会が目指す瀬戸内ブランドについてですが、私は、しまなみ出身者の一人として、瀬戸内のコアバリューを一言で言うと「海」、さらに言えば「世界でここにしかない海」と思うのであります。

多島美による景観や豊かな食材、いにしえからの歴史文化など、さまざまな瀬戸内のバリューは、つまるところ海によりもたらされているという事実、しかも、このような海は世界でここにしかないと、リヒトホーフェンやシーボルト、新渡戸稲造や宮本常一など多くの先人から賞賛を浴びている事実、そうした事実から、瀬戸内のコアバリューを「世界でここにしかない海」と捉えると、ここでしか味わえない感動は何かということが重要なブランドファクターとなるでありましょう。

それは、海が醸し出す光や音、風や香り、また、空間や景観といった五感で味わう感動にほかなりません。光と音と空間を組み合わせると花火となり、風と香りと景観を組み合わせるとサイクリングになり、また、景観とアートでミュージアム、潮流で和船に揺られればバーチャルな水軍気分を味わうことができます。

本県議会には、バーチャルではないれっきとした村上水軍の末裔もいらっしゃいますが、沿岸6県では、平清盛の末裔も、藤原純友の末裔も、遠く遣隋使や遣唐使の末裔もいるかもしれません。

いずれにしても、海をコアバリューとしたここでしか体験できない感動、それが目指すべき瀬戸内ブランドの基本形だと思うのであります。

先ほど申し上げました景観とアートでミュージアムというのは、直島を初めとする香川県の話であります。先月、NHKで、ユーミンこと松任谷由実さんと当代随一のキュレーターである長谷川祐子さんとの紀行番組が放送されましたが、実に感動しました。私自身、何度も行ったことのある島々ですが、今や世界有数の現代アートの聖地です。ユーミンの目からこぼれ落ちる涙にぐっとくるとともに、私は、瀬戸内のみが有するバリューへの確信を新たにさせられました。

そうした系譜で、このたび上程された9月補正予算案を見ておりますと、瀬戸内しま博覧会(仮称)準備事業費、しまなみ海道・国際サイクリング大会準備事業費、サイクリング情報発信事業費に目がとまりました。世界に向けた瀬戸内ブランドの構築・推進の観点からも、大いに期待したいと思います。

そこで、お伺いします。

まず、これまで会合を重ねてきた沿岸6県による瀬戸内ブランド推進協議会の議論について、主な進捗状況と6県が目指す当面の目標について、御所見をお示しください。

次に、広島県と連携し、2014年の開催を目指す瀬戸内しま博覧会(仮称)についてでありますが、本県に対するメリットのみならず、瀬戸内海の世界ブランド化に向けた最初のエポックとして、また、瀬戸内ブランド推進協議会をより高い次元に牽引する推進力として、大いなる金字塔を打ち立ててほしいと心より願うものであります。

そして、世界中の人々から、瀬戸内しまなみ海道が世界的サイクリストの聖地として刻まれた起点が2014年であったと言われるように、情熱的で万全の準備を開始してほしいと思います。

また、明年2013年に第2回開催が予定されている香川県の瀬戸内国際芸術祭は、一足先に現代アートの聖地を確立しつつある成功事例の一つであります。私は、できれば本県も実行委員会に入り込むなど、その運営手法を大いに学ぶとともに、瀬戸内しま博覧会(仮称)の成功に向け、香川県との連携も生かせるような仕組みづくりができないかと考えるものであります。

そこで、お伺いします。

県は、何をもって瀬戸内しま博覧会(仮称)を成功とされるのか。その目指すところは何か。また、広島県を初めとした他県、あるいは台湾等も含まれると思いますが、海外との連携にどう取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。

「瀬戸内しま博覧会(仮称)」について - 答弁 -

答弁:中村時広知事

次に、瀬戸内しま博覧会についてでありますけれども、瀬戸内しま博覧会は、瀬戸内海の島々の自然や橋の美しさを初め、歴史・文化、食などの魅力を国内外に発信し、多くの観光客の皆さんに訪れていただくことはもちろんでありますが、現在開催中のいやし博と同様、住民が主役となった地域資源の観光プログラム化や担い手づくりなどを通じて、終了後も観光まちづくりやにぎわいの創出による持続的な地域振興が図られていくことに大きな意義があり、その達成度合いが成功のバロメーターになるのではないかと考えています。

このため、まずは地域で受け継がれてきたイベントの価値を地元の皆さんに再認識していただき、さらなるブラッシュアップや新たな地域資源の発掘などにより、住民主体の観光プログラムの創出を積極的に支援していきたいと思います。

また、メーンイベントである国際的サイクリング大会を核として、世界に向けた情報発信を行うため、先般は台湾の世界的自転車メーカーであるジャイアント社に協力要請をしてきたところであり、広島県や地元市町はもとより、国内外の関係団体や民間との連携に努めながら、テーマ性やストーリー性を持たせた広域観光ネットワークの構築にも取り組んでいきたいと思います。

来月にも、イベント開催に向け、瀬戸内しま博覧会実行委員会を立ち上げまして、関係団体が一体となって準備を進めていくこととしており、議員お話のとおり、このイベントが瀬戸内海のブランド化をリードするとともに、しまなみ海道がサイクリストの聖地として広く認知されるように、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

答弁:経済労働部長

瀬戸内ブランド推進協議会についての御質問がございました。

関係6県による瀬戸内ブランド推進協議会は、ことし5月に発足以来、これまで月1回のペースで計3回のワーキング会議を開催し、ブランドのコンセプトやシンボル等のイメージ策定を初め、周遊観光ルートづくりやプロモーション活動などの広域連携事業の準備を進めているところでございます。

木村議員お話のとおり、このほど西川りゅうじん氏をブランドプロデューサーに迎えまして、今後、同氏のアドバイスのもと、瀬戸内の魅力発信に向けたフォーラムやPRイベント等を実施いたしますとともに、その事業成果を踏まえ、新たな観光振興策を展開する中長期計画を取りまとめることといたしております。

この中長期計画では、まずは風光明媚な瀬戸内海を核に、各県それぞれが持つ魅力ある地域資源をつなぎ合わせて、国内外に発信できる瀬戸内ブランドの確立を目指すこととしておりまして、今後とも、関係6県が連携しながら、集客力の向上と瀬戸内ファンの獲得に向け積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

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