議会質問

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2011年 2月定例会(3/2)

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これからの地方政治について(2011年2月定例会)

これからの地方政治について - 質問 -

(拍手)皆様、おはようございます。

公明党・新政クラブの木村誉でございます。

初登壇の際、私は日に新たに、日々に新たに、また日に新たなりとの決意を披瀝させていただきましたが、この間、日々、新たに発生する政治課題に対し、県民の皆様が抱かれる日に新たな思いを、不器用ながらも精いっぱいお訴えさせていただきました。今任期中、最後の質問となりますが、本日も全力で皆様の思いを代弁してまいりたいと思いますので、中村知事初め理事者の皆様におかれましては、希望新たなる御答弁を何とぞよろしくお願い申し上げます。

最初に、これからの地方政治のあり方についてお伺いいたします。

先月6日に行われました愛知県知事選挙におきまして、大村秀章前衆議院議員が、また名古屋市長選挙におきまして河村たかし前市長が、それぞれダブルスコア以上の大差で圧勝されたことは記憶に新しいところであります。

また、一部の報道によりますと、各政党の支持率が軒並み下落する一方で、支持政党なしが65.4%に上昇、ほぼ3人に2人が無党派層となったとして、有権者の既成政党離れが、もはや全国的な現象であることを伝えています。

このことは、私自身、日々、県民の皆様と対話を進めさせていただく中で、皮膚感覚として痛感させられる現実であります。一昨年の政権交代以降の流れで申しますと、多くの有権者は、それまでの政治に対する不満や将来への希望を託す受け皿として民主党を選択したが、いまだ十分な受け皿となり得ていない。だからといって、自民党を初めとする野党もまた、それにかわる受け皿として十分とは言いがたい。そうしたお声を、この間どれほど耳にしたことでございましょう。さきの報道による無党派層が3人に2人という割合は、日々の対話の中でうなずかざるを得ない民意と言わざるを得ません。

一方、そうした既成政党離れと歩調を合わせた形で、首長新党を初めとする地域政党を立ち上げる動きが加速しています。御案内のとおり首長新党では、大阪都構想を掲げる橋下府知事の大阪維新の会、大村愛知県知事による日本一愛知の会、河村名古屋市長の減税日本など、さらには地方議会として大阪維新の会、松山維新の会を初め、岩手県議会の地域政党いわて、京都市議会の京都党といった地域政党などの立ち上げが急速に広がりつつあります。

各報道を拝見しておりましても、このことは地方政治に求められる座標軸が、与党対野党という国政の代理という位置づけから、首長新党対既成政党という新たな構図への変化を示すものとの論説が専らであります。

そうした文脈の中で、中村知事は先月のマスコミ取材で、愛媛でもすべての既成政党が中央の下部組織機関でいくということなら同じ行動を起こす、とし、また地方議員、つまり私たちに対しては、地方分権、地域主権に向け、議員の立ち位置が大きく変化する中で、自主性を発揮しなければ存在意義がなくなる。ゆえに地域第一、政策中心、国政自由たれとの地方議員の自立を促すメッセージを出されております。

私は、こうした既成政党に対する不満の広がりに関しまして、その一員として真摯に受けとめますとともに、であればこそ公明党ならではの価値を一人でも多くの皆様から御評価いただけるよう、国会議員と地方議員が一体となったネットワーク政党としての強みを生かした政策立案力を、さらに磨いてまいりたいと深く決意しております。

首長新党対既成政党という構図に関しまして、私は地方自治法における二元代表制の意義と観点から、必ずしも対立すべきものではないと考えます。実際、読売新聞社が1月末に実施した世論調査におきましても、首長新党をつくり、地方議会選挙に候補者を擁立する手法については、好ましくないが53%で、好ましいの31%を大きく上回る結果を示しております。

つまり、問題は議会の構図そのものではなく、根底にある国民の不満をどう受けとめ、どのようにこたえていくのかという議会の機能であり、それを目に見える形で県民の皆様にお示しすることが、何よりも求められていると思うのであります。

そこで、お伺いいたします。

まず、知事は有権者の既成政党離れと首長新党を初めとする地域政党の設立が加速する中で、首長新党対既成政党という新たな構図というものに関し、どのように考えられているのか、御所見をお聞かせください。

次に、地方政治におけるこれからの政党と議会のあり方についてどうあるべきとお考えか。また、地方議員のこれからのあり方について、具体的イメージがあればあわせてお聞かせください。

これからの地方政治について - 答弁 -

答弁:中村時広知事

木村議員に、まず市長新党と既成政党の問題についてお答えをさせていただきたいと思います。

最近、首長新党を初めとする地域政党が相次いで誕生している背景には、政権交代をめぐる国政でのさまざまな対立や混乱、さらにはここ数年の政治情勢、また遅々として進まない地域主権改革などに対する既成政党への強い不満があるのではないかと考えております。

従来から申し上げてまいりましたが、たとえ既存の政党であっても、地方にあっては地域第一、政策中心、国政自由という立場をしっかり堅持し、県民や地域のために汗をかくという姿勢があるのであるならば、十分に評価されるものと考えており、マスコミ報道等にあるような首長新党対既成政党という対立構造にはならないのではないかと思っております。

松山市長時代から、公明党さんとは政策推進についてさまざまな意見交換や協力体制を構築させていただいてまいりました。そもそも公明党さんは、地域政党として産声を上げた歴史がございます。やりとりなんかをお聞きしておりますと、まあ何といいましょうか、国、県、市の上下関係というのは全く感じられないというのが率直な印象でございました。こうしたことからいっても、理念さえしっかりしていれば、そういった対立構造にはならないのではなかろうかと思っております。

ただ一方で懸念されるのは、ムードやブームに便乗した選挙目当てのにせ地域政党が乱立する可能性があるのではないかということであります。少なくとも確固たる理念に基づいて政治行動が伴っていなければ意味はなく、有権者にも本物かにせものかを見きわめる厳しい視線が必要になってくるのではなかろうかと思っております。

大阪維新の会、名古屋減税日本など、首長新党の立ち上げは各地域の政治情勢というものが大きく関係していると思われますが、私の場合はさきの知事選挙において、公約に賛同していただいた各政党にお願いしまして、地方レベルでの推薦、支持、支援にとどめていただいたことで、県民党として立ち位置を明確にすることができたのではなかろうかと考えております。

その結果、今後いかなる政権が生まれようとも、地域を第一に考える立場で発言できるポジションをいただいたものではないかというふうに思っておりますし、私自身、去年までは松山市、そして今は愛媛県、これが第一であります。しっかりとその立ち位置を明確にしながら、大いにその観点から発言や行動をしていきたいというふうに思っております。

次に、政党と議会について、また地方議員のあり方についての御質問がございましたが、私は我が国の抱える構造的な問題というものが、今や限界に達しているのではなかろうかと感じておりまして、それを解決するためには、国の仕事と地方の仕事との役割をしっかりと議論し、それに従って制度の改正や財源の移譲といった地方分権を思い切って進めていく必要があるのではなかろうかと思います。

こうした中で、一般論ではありますが、地域における政党は中央政党の単なる下部組織としての役割を担うのではなく、また政党所属地方議員は国会議員と上下関係にあるのではなく、どの政党や会派であろうとも地域第一、政策中心、国政自由を立ち位置として、地域が直面している課題の解決に向け、前向きで自由闊達な議論を進めることが重要であり、これこそが本来のあるべき姿ではないかと考えております。

また、地方政治家は、国政での政権交代をめぐる対立軸とは、日々の活動では一線を画し、地域の課題を真正面から受けとめて、みずからが時代を切り開く気概や志を持つことが大切であり、加えて地域に積極的に出かけ、県民の切実な声に真摯に向き合い、県民の幸せのために必要な改革を打ち出していくという姿勢が、これは首長であろうが議員であろうが求められているのではないだろうかと思っているところでございます。

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