議会質問

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2011年 2月定例会(3/2)

テーマ地域経済対策

EV開発プロジェクトについて(2011年2月定例会)

EV開発プロジェクトについて - 質問 -

最後に、EV開発プロジェクトについてお伺いいたします。

本年1月、私は経済企業委員会の県外視察にて、株式会社淀川製作所のあっぱれEVプロジェクトについてお話を伺ってまいりました。とても元気をいただきましたので、皆様に御紹介したいと思います。

同社のある大阪守口市は、高度経済成長期には松下電器産業や三洋電機といった家電メーカーの企業城下町として大いに栄えたものづくりの町であります。それは同時に、松下、三洋の2大企業と、それに連なる多くの中小企業、多くは町工場に支えられるという地場産業構造を形成し、行政的には長らく法人税に依存する財政構造にあったと言えます。

やがて、1980年代から大手メーカーの生産拠点や部品製造部門が次々と海外へ移り、2009年12月には、ついにパナソニックと三洋が合併し、10兆円規模の世界企業となり、企業城下町守口市の産業は空洞化、ほとんど行き詰まってしまったのであります。ピーク時には、およそ72億円あった同市の法人市民税収は、2004年には最盛期の7割減にまで落ち込み、実質収支赤字となり、財政再建団体への転落の危機を迎えることとなったのであります。

株式会社淀川製作所のあっぱれEVプロジェクトは、まさにこうした危機的背景の中から生まれました。同社は、もともと金属加工、機械加工を中心とした部品製造業でしたが、下請受注が激減する中、このままではじり貧とばかり、同社の小倉庸敬社長は、下請から自社ブランドメーカーへの転身を心ひそかに模索し続けていたのでございます。そして、ちょうどそのころ、地元で開催された環境フォーラムに参加した小倉社長は、電気自動車に関する講演を聞いて、大変な衝撃を受けたそうであります。

それは、講師の次のセリフによってでありました。「電気自動車は簡単なんです。加工を除けば組み立てる場所があればいいし、部品が少ないから工程も少ない。その気になれば町工場でもできますよ。」、「簡単、町工場でも」という強烈なインパクトは、次の瞬間、「いける、これはいけるで」というインスピレーションに変わり、その年、プロジェクトを本格的にスタートさせることとなったのであります。

「家電の町に家電の自動車を走らせるんや」、閉塞感でいっぱいの大阪が元気になる花火を打ち上げたい。沈みそうな日本経済に、小さくても明かりをともしたい。ただ、その思いだけで始まったあっぱれEVプロジェクトでありましたが、その思いはいつしか多くの方々を巻き込み、社会的なプロジェクトとなっていったのであります。

当時のことを小倉社長は、光り輝く地獄の日々と名づけるほど、失敗と挫折の毎日だったそうですが、志を貫かれ、ついに2010年、あっぱれEVプロジェクトは、大阪の経済活性化に貢献した個人や団体を表彰する大阪商工会議所主催の大阪活力グランプリ2010において、見事グランプリに輝いたのであります。

小倉社長は、同社のあっぱれEVプロジェクトを奮闘記としてまとめた著書、「町工場のおやじ、電気自動車に挑む」の結びを、こんなすてきなメッセージでくくっています。「こんなに小さな会社でも、本気でやったら何でもできるんやで」、私は2年目を迎える本県のEV開発プロジェクトの推進は、いつにかかって小倉社長のような中小企業関係者の本気をどのように引き出すか、そこに最大のポイントがあると確信をいたします。

翻って、このたび上程された新年度当初予算案には、EV開発プロジェクト推進事業費が特別枠として計上され、自動車を初めとするさまざまな製品の電動化やビジネスモデルの開発など、新たなEV関連産業の創出を図るとされております。これには私の周囲でも、自動車、バイク、設備機械など、実に多くの経営者の皆様から高い期待を寄せられておりまして、その実感からも私は新たなEV関連産業の創出には、分野を超えたより多くの中小企業の参画が必要不可欠であり、まさに先ほどの株式会社淀川製作所のように、志を掲げ、本気で取り組む中小企業をどれだけ輩出できるかがかぎになると考えるのであります。

そこで、お伺いをいたします。

EV開発プロジェクトにおいて、中小企業の参画を促すため、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお示しください。

以上で私の質問を終わります。御清聴いただき、まことにありがとうございました。(拍手)

EV開発プロジェクトについて - 答弁 -

答弁:経済労働部長

最後に、EV開発プロジェクトにおいて、中小企業の参画を促すため、どのように取り組むのかとのお尋ねでございました。

木村議員お話のとおり、EV開発プロジェクトの推進に当たりましては、独自技術や機動力を持つ中小企業の意欲ある取り組みと関連企業の積極的な参画が極めて重要であると認識をいたしております。

このため、県では昨年4月に設置しましたEV開発センターにおいて、改造電気自動車1号車の試作に、8企業から整備士10名の参加を得て、技術の講習に努めましたほか、県内3カ所で技術講習会を開催するなど、県内企業への普及とプロジェクトへの参加促進に取り組んでいるところでございます。

また、昨年10月に設立されました自動車整備、鉄鋼、機械など、121企業、団体等で組織する愛媛県EV推進協会におきまして、EV関連のビジネス化に向けた研究が進められているほか、既に6企業が愛媛産業振興財団の助成を受けまして、独自に改造電気自動車や改造キットなどの技術開発を進めており、EV開発センターを中心にこれらの支援にも努めているところでございます。

さらに、来年度はバッテリー制御システムなど、企業との共同研究の拡充や、新居浜高等技術専門校、自動車整備科への低電圧取り扱いコースの新設、関係団体のニーズに合わせた技術講習会の実施のほか、民間人によるEV事業化アドバイザーを設置しまして、EV関連分野への参入に意欲的な企業の発掘や、事業化支援を強化することとしておりまして、引き続き幅広く中小企業の参画を求めながら、EV関連ビジネスの創出を図ってまいりたいと考えております。

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