住宅の耐震対策についてお伺いいたします。 私は一昨年の9月定例会の代表質問で、能登半島地震で明らかになった課題等を踏まえつつ、“耐震シェルター”の設置拡大など住宅耐震化に向けた取組みの強化を要望いたしましたが、令和8年度当初予算案において、大規模災害に備えたまちづくりの一環として「住まいの耐震対策事業」が盛り込まれたことに対し、心から感謝を申し上げたいと思います。 発災時に大事なことは“自助・共助・公助”と言われますが、大規模災害時には消防や警察の「公助」が限界に達する可能性が高いため、自助と共助、とりわけ初期対応である“自助”が重要になってまいります。 そのためにも、揺れによる家屋の倒壊から命を守る“住宅の耐震化”は“自助”におけるハード対策の1つとして大変重要な取組みであり、倒壊までいかなくとも、家具等の転倒で脱出が困難になったり、通電火災が発生するなどの事態を回避するための“自助”におけるソフト対策も等しく重要な取組みとなります。今回の予算案に盛り込まれた「住まいの耐震対策事業」には、耐震シェルター等の設置などに対する手厚い支援が講じられており、市町と連携し、スピード感を持って取り組んでいかれることを期待し、お伺いいたします。 本事業の内、耐震シェルター等の設置に手厚い補助が盛り込まれていますが、対象者や対象地域をどのように設定し、どのような成果を期待しているのか、また、県民に対する本事業の周知や理解促進にどのように取り組んでいくのか、見解をお聞かせください。 〈答弁概要:防災安全統括部長〉大規模地震の発生に備え、住宅倒壊から命を守るためには、耐震基準を満たさない家屋を耐震改修することが効果的でありますが、経済的負担や後継者不在等で改修に踏み切れない場合も想定され、特に災害時の安全確保が困難な高齢者や障がい者等の避難行動要支援者にとって、住宅が倒壊しても局所的な空間が確保できる耐震シェルターや耐震ベッドの設置は、有効な選択肢であると認識しております。 このため、避難行動要支援者の安全確保対策として、耐震シェルター等の設置に係る市町への補助制度を設けており、来年度からは、対象を個別避難計画の作成率が50%以上の市町にまで拡充することとし、所要の経費を当初予算案に計上しております。要支援者の負担軽減を図ることにより、耐震シェルター等の導入が進み、他の市町が計画作成を進めるインセンティブとなることを期待しているところでございます。 一方、県地震被害想定調査における県民アンケートでは、耐震シェルター等を知らないと答えた人の割合が約54%と更なる認知度向上が課題であることから、今後は、SNSやテレビ等により地道な広報活動を継続し理解促進を図るとともに、要支援者と関係が深い市町や福祉関係団体とも連携して直接情報を届けるなど、耐震シェルター等の普及をはじめ、地震から命を守る備えの重要性に対する周知に努めてまいりたいと考えております。
関連して、災害発生時における要配慮者への支援についてお伺いいたします。 県は2/16、南海トラフ巨大地震で最大12,750人の死者が出るとした新たな地震被害想定調査の結果を発表。 それによりますと、最も死者数が増えるとされる冬深夜に発生した場合、津波による犠牲が最多で、前回比1,129人増の9,313人と想定。 主な増加要因は、要配慮者のうち、災害時に自ら避難することが困難な避難行動要支援者とその同行者を避難者の2割と見込み、この方々が健常者に比べて避難速度が低下することで逃げ遅れが増えるためとしています。 一方、今回の県の想定は、国が昨年行った想定の半減にあたり、本県として近年取り組んできた南予沿岸5市町での夜間避難訓練や、外灯、転落防止柵の整備、舗装などの取り組みの成果や、県民の避難意識の浸透、向上を踏まえて直後避難率を前回の20%から45.6%に引き上げたことによるとしています。 さらに県は、2023年時点の耐震化率86.4%が100%になれば、揺れによる全壊棟数は約8分の1に、人的被害も約12分の1に減少するとし、津波からの直後避難率100%達成、つまり要配慮者を含めて全員がすぐに避難できる体制が確立できれば、前回想定の約16,000人から約8分の1の約2,000人に犠牲者を減らせるとしています。 そのためには、市町との更なる連携と支援が不可欠であり、個々の避難意識の向上とともに、要配慮者への支援をより充実させる必要があると考えます。 言うまでもなく、要配慮者には、病気や障がいなどで災害から身を守ることに何らかのハンディキャップがあり、周囲の支援が必要になる人たちが含まれており、要配慮者の被害を最小限にくい止めるためには、家族や地域住民による積極的な支援が欠かせません。 その内、災害対策基本法では避難行動要支援者に対する個別避難計画を作成することを自治体の努力義務として位置づけています。 このことは、南海トラフ巨大地震による被害を最小化させるためにとりわけ重要な取り組みであり、県として最大限のサポートが求められるものと考えます。 そこで、お伺いいたします。市町における個別避難計画の策定状況はどうか。進捗に差があるとすればその主な要因は何か、また計画策定の底上げに向け、県としてどのように取り組んでいくのか、ご所見をお示しください。 要配慮者への支援につきまして、私は昨年2月定例会の一般質問で視覚障がい者に対する公助の一環として、災害リスク情報を音声で伝える「耳で聴くハザードマップ」の導入について申し入れさせて頂きました。今回の当初予算案にしっかりと盛り込んで頂き、心より敬意を表したいと思います。 そこで、お伺いします。「耳で聴くハザードマップ」は県が導入すればすべての市町で利用可能となるわけですが、導入後における市町や関係機関・団体との連携、何よりも当事者である視覚障がい者ご本人に認知され日常生活に実装されるところまで、丁寧に取り組みを進めて頂くことが肝要と考えますが、このことにつきましてご見解をお聞かせください。 〈答弁概要:中村知事〉大規模災害発生時における避難行動要支援者の逃げ遅れを防ぐため、市町において個別避難計画の作成を進めておりまして、令和7年4月現在の作成率は全国平均が14%となっております。これに対し本県は28%と全国10位となっています。一方、市町別の作成率には大きな差が生じておりまして、高齢化に伴う要支援者の増加に加え、共働き世帯の増加に伴う支援者のなり手不足など、コミュニティの弱体化を始めとした地域が抱える様々な課題が主な要因であるととらえています。 これまで県では、令和3年度に県内6市町において個別避難計画作成のモデル事業を実施し、福祉専門職や民生委員、自主防災組織等と連携した計画作成の体制構築を支援するとともに、県市町で構成するワーキンググループで好事例の横展開を図ったほか、要支援者の避難支援への協力を呼び掛けるリーフレットを地域住民に配布するなど、計画の作成支援に取り組んできたところでございます。 今後は、作成率の低い市町を、県の防災福祉担当者が訪問して、市町職員と連携して課題を洗い出すとともに、助言を行うなど丁寧な伴走支援を行うほか、県総合防災訓練や津波避難訓練等において、市町に対し要支援者も対象とした避難訓練の実施を働きかけるなど、引き続き、誰一人取り残さないよう避難支援体制の充実、強化に努めてまいりたいと思います。 〈答弁概要:防災安全統括部長〉県では、視覚障がいの方が、災害時の危険性を認識し、発災時に迅速な避難行動をとることができるよう、災害リスク情報の音声提供、災害情報のプッシュ通知や避難所への音声案内が可能となるスマホアプリ耳で聴くハザードマップの導入経費を当初予算案に計上しております。視覚障がいの方が的確な避難行動をとるためには、同アプリを市町や関係団体等と連携して効果的に周知するとともに、習熟機会を提供することが重要と認識しております。 具体的には、視覚障がいの方及びその支援者に対し、県政広報番組やSNS等を活用した情報発信をはじめ、障がい福祉サービスの窓口である市町や、視覚障がいの方の福祉の増進を担う愛媛県視覚障害者協会と緊密に連携した直接の情報提供に加え、防災士や自主防災組織にも情報共有し地域で呼びかけるなど、あらゆる手段を用いて幅広く周知を行い、アプリの浸透を図ることとしております。 また、アプリ機能の習熟につきましては、視覚障害者協会の会合で操作説明会を開催するほか、県や市町の防災福祉イベント等でアプリの体験会を実施するなど、災害発生時に確実に活用できるよう日常生活での定着に向け取り組むこととしており、今後、耳で聴くハザードマップの積極的な活用により防災情報のバリアフリー化を更に推進してまいりたいと考えております。
最後に、2040年を見据えた県営住宅の整備についてお伺いします。 私は2019年の2月定例会で、入居者の高齢化に伴う県営住宅の整備について取り上げ、当時、県営の潮見、中須賀、森松団地に加え、市営の南江戸、吉藤、太山寺など20以上の団地を訪れ、お聞きした声をお届けさせて頂きました。 特に多かったのが、エレベーターの設置を始めとするバリアフリーに関する要望であり、その背景にあるのは入居者の高齢化の進展でありました。 エレベーターが構造的に設置できない団地では低層階への住みかえを希望するものの、なかなか叶わない方々が多数おられるほか、県営住宅への入居を希望しても抽選で外れ、住まいの確保に困っている方々、入居要件を満たせず条件の緩和を希望する方々など、真に政策的支援が必要な方々のニーズを十分に満たしきれていない課題が浮き彫りとなりました。 そのうち入居要件の緩和につきましては、今回、連帯保証人を不要とする愛媛県県営住宅管理条例の一部を改正する条例が上程されており、これは2021年2月定例会で私が提言させて頂いた要望そのものであり、入居要件で躊躇されている方々にとって希望と安堵が広がるものと確信いたします。 今回の条例改正に合わせて、ぜひ、市町においても同様の要件緩和が広がるよう県として取り組みを進めて頂きたいと心から願うところであります。 また、当時の理事者答弁では、20年以上の長期入居世帯の割合が39%、30年以上が21%、60歳以上の高齢者がいる世帯は71%という高齢化の状況でありました。 誰しも年を重ねれば、階段の上り下りや身の回りのことが困難になってまいります。団地内で日常的な介護が必要な高齢者が多数を占めるようになると、介護施設や民間施設への移り住みが増え、空き住戸が増え、新たな入居者確保の必要性が生じるため、転居や施設入居に関する官民連携などの仕組みづくりが不可欠となってまいります。 また、その間には老朽化対策や建て替えに関する様々な影響が生じることも推察されるところです。昨年の6月定例会で会派の乗松議員から、県営住宅の空き住戸について、“上層階を若者世帯に優先的に貸与する”、“子育て世帯には家賃減額などの優遇措置を実施する”、“学童保育や子ども食堂など地域交流の場として活用する”などの提案がありましたが、私も又、高齢化のピークとされる2040年を見据えた県営団地のアップデートを、できるところから着実に図っていくべきと考えます。 例えば、入居の手続きの電子化です。わざわざ地方局等に出向かずともオンラインで応募することができ、書類の記入や提出が難しい方もマイナンバーカードを活用するなどして各種の手続きを自宅で済ませることができたり、家賃の支払い等についてもクレジットカードやキャッシュレス対応が可能なしくみにすることは、十分可能ではないでしょうか。 あるいは、老若男女を問わず、スマホがほぼ生活必需品となった今、団地の集会所にはやはりWi-Fiが利用可能な環境が望まれますし、老朽化に伴う建て替えの際には、単身用や子育て用など、入居者に応じた形で間取りをアレンジできるような、住戸の柔軟化についても検討すべきではないでしょうか。 そこで、お伺いします。高齢化のピークとされる2040年を見据え、将来の入居者の構成や各団地の状況等を考慮に入れながら、できるところから着実に県営住宅のアップデートを図ってほしいと考えますが、先述の要望に対する見解も含め、ご所見をお示しください。以上で私の質問を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。 〈答弁概要:土木部長〉県営住宅には、住宅セーフティネットとして、高齢者や障がい者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者が、安心して暮らせる住まいを提供する役割が求められるなか、高齢者世帯の増加や核家族化の進行による入居者の世帯構成の変化のほか、各団地の設備や老朽化の状況等も踏まえ、多様なニーズに対応した環境整備を行うことが重要な課題であると認識しております。 このため、エレベーターや手すり設置によるバリアフリー化に加え、老朽化した住宅の世帯人数に応じた間取りや広さへの建替や、子育て世帯に限定した住戸の供給のほか、手のひら県庁での入居申込を開始するとともに、身寄りのない単身高齢者等の入居要件を緩和するため、連帯保証人を不要とする条例改正案を今議会に提案したところでございます。 今後は、家賃のキャッシュレス決済導入や、マイナンバーを活用した提出書類の削減による利便性向上を図るとともに、将来の人口減少や少子高齢化を見据え、建替や集約、また、効果的なリノベーションや、空き部屋の活用等、県営住宅の今後の在り方について、中長期的な視点で検討を進めるなど、引き続き住宅セーフティネットの役割を維持しながら、時代の変化に即した環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。