次に、教育現場における生成AIの導入についてお伺いいたします。
本年元旦、思うところがあり、小学生のとき以来となる詩作を行いました。タイトルは「椿」。ここでご披露させて頂きます。
「椿」
冬の静けさに/ひとひらの灯をともすように/椿は咲く
白き雪に/紅を映し/凛として立つ姿は/春への約束
風に散らず/土へとすとんと落ちるその潔さに/
人は人生の終わりを思い/また新しい芽生えを信じる
控えめに/されど確かに/心をあたためる花よ
あなたがそこにあるだけで/道は明るく/季節はやわらぎ/人は笑みをこぼす
椿よ/この一年も/私たちに寄り添い/希望を凛と咲かせてよ
いかがでしたでしょうか?
実は、この詩を書いたのは私ではなく、生成AI、“ChatGPT”なのであります。
ChatGPTは今、世界中で注目を集める生成AIの1つで、私がアプリに「椿をモチーフに詩を書いてください」と入力すると、ものの10秒でこの詩が完成。驚きを通り越し、思わず呆気にとられてしまいました。
生成AIは、今世紀最大といわれる変革を全世界にもたらしつつあります。
日々の暮らしや社会、経済のあり方を根底から覆すようなインパクトをもって、私たちの身の回りや世界中で、そして想像を絶するスピードでパラダイムシフトが進んでいるのです。
詩作の出来栄えに感じ入りながら、ふと「はたして生成AIは人類の救世主となるのか?脅威となるのか?」という疑問が浮かんだので、再びChatGPTに聞いてみました。すると2秒で答えが返ってきました。
「救世主か脅威かは、生成AIを社会がどう活用し、どんなルール・教育・倫理を整えるかにかかっています。つまり「運命」ではなく「選択」です。」
回答のあまりの冴えに思わずパソコンに向かって舌打ちしてしまいましたが、時代の変化とスピードに食らいついて、自身をアップデートさせていかなければと、リスキリングやリカレント教育など“生涯学習”の必要性を痛感させられた、忘れ得ぬ元旦となりました。
この日進月歩で進化を続ける生成AIについて昨年10月、観光スポーツ文教警察委員会で視察に伺った新潟市教育委員会では、ChatGPTやGeminiの使い方を子どもたちの発達に合わせて授業に組み込むなど、GIGAスクール構想の導入から6年でICT活用全国一となるといった成果を挙げておられました。
担当者の説明によりますと、ICT活用による具体的成果のうち、特に評価が高かったのは、児童生徒の発表や表現の仕方、教師とのやり取りなど、主にコミュニケーションの部分で意外にも学力そのものとの相関はあまり見られなかったとのことでありました。
そうした生成AIの教育現場への導入については、子どもたち1人1人に個別最適化された学習の実現や、教員の負担軽減等のメリットが期待される一方で、様々な懸念やリスクが指摘されています。
冒頭の私の詩作も、仮に高校生が宿題で出された場合と仮定すれば、どうでしょう。宿題は10秒もかからず終了。その出来栄えに学校の先生は何点つけるでしょうか。そもそも詩作が高校生本人によるものか、生成AIによるものか、果たして見極められるでしょうか。教育現場における生成AIの導入の難しさの1つが、そこにあります。
その他にもプライバシーや差別といった倫理的な問題、デジタルデバイド、教育格差の拡大、思考力の低下や、生成AIへの過度な依存性といった導入リスクはさまざま考えられますが、そうした課題に対して、適切に対策を講じながら、段階的で健全な生成AIリテラシー教育を導入することが肝要であります。
すべての子どもたちが生成AIの恩恵を最大限に享受し、より良い学びの未来へと繋がることを期待し、お伺いいたします。
義務教育から高校教育、特別支援教育など、教育現場における生成AIの導入について、県教育委員会としてどのように認識し、今後どのように取り組んでいくのか、ご所見をお示しください。
〈答弁概要:教育長〉
急速に進化普及するAIは、学校現場の効率性や利便性を大きく向上させるほか、子どもの特性に応じた学びの実現や創造性を高める効果が期待できる一方で、誤りを含む情報の出力のみならず、差別や偏見の助長、過度な依存、プライバシーの侵害などの様々なリスクも有することから、まずは教員自身がその危険性を正しく理解し、教育現場での有効活用を進めることが重要であると認識しております。
このため県教育委員会では、昨年7月、生成AI利活用ルールを作成し、全公立学校に周知徹底するとともに、優良事例の共有や実践的な研修に取り組み、これまで延べ1322名の教員が参加するなど、意識と能力の向上に努めており、小中学校では、異なる意見の収集、高校では、探究活動での多面的な検証による改善、特別支援学校では、障がい者アート作品構想のイメージ化に活用するなど、学習効果を高める利活用を着実に広げているところでございます。
また、子どもの情報活用能力を育成するため、小中学生は、ネットトラブルを疑似体験できるAIアプリにより正しく情報を見極める力を、高校生は、来年度から生成AIをモデル校に導入し新たな価値を創造する力を養うなど、発達段階に応じて情報リテラシーの向上を図ることとしており、今後ともリスクに適切に対応しながら、教育の質の向上に繋がるAIの活用を進めて参りたいと考えております。
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