高次脳機能障がいに対する支援についてお伺いいたします。
高次脳機能障がいは、交通事故や脳卒中などの病気等により脳に損傷を受け、その後遺症として記憶、注意、失語、遂行機能、社会的行動といった認知機能、いわゆる高次脳機能が低下した状態をいい、厚労省によりますと、患者数は全国で約23万人と推計されています。
同障がいは外見からは判断しづらく、「気づきにくい障がい」などと言われ、その特性の理解も十分に進んでいないことから、患者と家族は適切な支援を受けることができず、日常生活や社会生活に様々な困難を抱えています。
公明党は1998年に井上義久元衆議院議員が政府に質問主意書を出したのを皮切りに、高次脳機能障がい者の支援充実に一貫して尽力。2001年度から坂口力厚労大臣の下でモデル事業が始まり、2006年度に普及事業として全国展開がスタート。この間は、地元八幡浜市出身の山本ひろし前参議院議員が、超党派の議連幹事長として各党との合意形成に奔走するなど、患者ご家族に寄り添い続けてまいりました。
そのような中、高次脳機能障がいへの理解を促進するとともに、当事者の自立及び社会参加のための、生活全般にわたる支援を、どの地域でも、あらゆる段階で切れ目なく受けられるようにするため、昨年12月に高次脳機能障害者支援法が成立。本年4/1から施行されることとなりました。
支援法成立の瞬間、患者家族会であるNPO法人日本高次脳機能障害友の会の片岡会長は、「まだ信じられない。感謝でいっぱいです。」と大粒の涙を流されたそうですが、その喜びがすべての患者ご家族に広がるよう、本県においてもさらなる支援の充実が図られるよう期待を寄せたいと思います。
さて、先般、愛媛高次脳機能障がい者を支援する会「あい」の石田幸政代表を訪ね、患者家族を取り巻く現状と課題等についてお話を伺いました。
石田代表は33歳の時、車にはねられ、くも膜下出血と脳挫傷を併発し、高次脳機能障がい者となり、この間、記憶や注意機能、遂行能力に困難を抱え続けておられます。
今なお、注意や記憶の機能低下が続いており、“昨日できたことが今日はできない”、“書類は読めるが次の瞬間忘れてしまうため、右から左へサッと書き写すことができない”など、生きる上で様々な壁が常に付きまとうことの辛さを、切々と語られました。
ほかにも例えば、事故によって社会的行動という認知機能が損なわれると、何かの拍子に、怒りが抑えられなくなる情動反応が起き、それによって人間関係のトラブルが続くと次第に周囲から人が遠ざかり、結果自分も傷つき、いつしか孤立を余儀なくされるといったケースが、家族会の中でも往々にしてみられるとのことでした。
そしてお話の最後に、「当事者によって“できること”と“できないこと”の境界が異なるため、高次脳機能障がいの特性に対する社会の理解がなかなか進まないことはわかるけれど、無理解から生じる当事者への𠮟責や人間関係の疎遠、孤立に直面する当事者の気持ちに、1人でも多くの人が寄り添い、温かく見守って頂ける社会であり、愛媛県であってほしい」との心情を吐露され、思わず胸が締めつけられる思いがいたしました。
当事者とそのご家族には、法律の間で受けることのできない行政サービス、例えば、買い物などの移動支援や同行援助、就労支援、親亡き後の専門施設の設置、疲弊する患者家族への支援など、抱える課題が山積しています。
行政の所管も医療・保健機関や団体も様々ある中で、どこに相談してよいのかわからなかったり、適切な対応が得られなかったりするなどで、生活支援への相談をはなから諦めている当事者は少なくありません。
そのような当事者が“そこに行けば解決の糸口を見つけられる”相談窓口と、その周知ということがやはり必要ではないでしょうか。
また、今春施行される支援法には、“どの地域でも、あらゆる段階において切れ目なく、生活全般にわたる支援を受けられるようにする”ことが記されています。
地域による支援格差の解消や人材育成と専門性の向上など、支援基盤の整備に向けた取組みを適切に拡充させていくには、まずは県内の高次脳機能障がい者数や支援ニーズの実態把握調査が必要といえるのではないでしょうか。
そこで、お伺いいたします。
高次脳機能障害者支援法の成立を受け、今後、高次脳機能障がいに対する支援の拡充強化に向け、どのように取り組んでいくのか、ご所見をお聞かせください。
〈答弁概要:保健福祉部長〉
高次脳機能障害は、外見からは障害がわかりにくく、障害に対する周囲の理解が進みにくいうえ、当事者だけでなく支援にあたる家族の負担も大きいことから、社会の理解促進を図るとともに、治療からリハビリ、社会復帰後の生活支援まで、切れ目のない支援が重要と認識をしております。
このため県では、支援拠点機関である松山リハビリテーション病院を中心に、市町や各圏域に設置した協力機関と連携して、きめ細かな相談支援や訪問指導を行うなど、社会復帰に向けて当事者や家族に寄り添った支援を行ってきたところでございます。また、医療、福祉団体や家族会など幅広い支援機関で構成する県高次脳機能障害支援連絡協議会において、研修会等の開催による支援人材の育成のほか、協力機関等と連携して広報誌等による普及啓発にも取り組むなど、県民の障害に対する理解促進を図っております。
さらに、今年度からは、当事者の社会復帰後に適切な生活支援等に繋げることができる人材を養成するため、新たに障害福祉サービス事業所等の職員を対象とした支援者養成研修を開始したところでございます。今後は、法律の制定を機に、関係機関と連携して、相談支援業務や普及啓発の取組を強化しますとともに、当事者と家族の支援ニーズ等の把握に努めることにより、個々の特性に応じた、きめ細かな支援の更なる充実に取り組んでまいりたいと考えております。
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