次に、戦後・被爆80年にあたり、お伺いします。
1945年8月15日、わが国は戦争という過ちを二度と繰り返さないことを誓い、平和国家としての歩みを開始し、本年8月15日、節目となる80回目の終戦の日を迎えました。
現在、国際社会は分断と対立が広がり、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の緊張、核兵器の脅威やAIの急速な進化による新たなリスクに直面しています。こうした状況下で、わが国がこれからも平和であり続けるには、国際的な協調と地域の安定確保が何より不可欠です。
そうした観点から公明党は、5月に「平和創出ビジョン」を取りまとめ、石破総理に手交いたしました。
同ビジョンは、「対立を超えた協調へ」、わが国が果たすべき役割をまとめた提言であり、その中心軸として「北東アジア安全保障対話・協力機構」の創設を掲げています。
同機構は、北米、欧州、中央アジアの57か国が加盟する世界最大の欧州安全保障協力機構のような信頼醸成の仕組みをモデルに、軍拡競争の抑制や対話の継続による平和の維持を目指すもので、私たちは本ビジョンのもと、平和への確かな潮流を創り出してまいる所存です。
また被爆80年でもある本年は、核兵器廃絶の重要性を改めて再確認すべき節目の年でもあります。
そうした中、参院選において「核武装が安上がり」といった主張や、核の保有・共有を容認する発言が一部の政党、政治家で見られたことについては、残念と言わざるを得ません。
わが党の斉藤鉄夫代表は、広島・長崎での平和祈念式典の席上、核の使用や威嚇、共有や保有に対し、断固反対との決意を披歴しました。
それは第1に、わが国は「世界唯一の戦争被爆国」であり、被爆の実相を世界と未来に伝えゆく使命があり、ほとんどの国民が非核三原則を支持しているからです。
第2に、核保有はNPT(核兵器不拡散条約)体制の離脱を意味しますが、その結果世界から受ける経済制裁や外交的孤立を考えれば、あり得ない選択だからです。
第3には、地域の不安定化や北東アジアの軍拡競争の加速を招かざるを得ず、第4には核保有には莫大なコストがかかり、仮に万一、核の保有や共有を認めるとしても、それを受け入れる自治体があるとは到底考えられないからであります。
公明党は、年々風化していく“被爆の実相”を、世代や国境を超えて伝えながら、あくまでも「核兵器のない世界」の実現をめざしてまいります。
そしてわが国が、核保有国と非保有国の橋渡し役を担い、「分断と対立を乗り越えていく、その努力の先にのみ平和が創られる」との決意で、平和の党として、全力で取り組んでまいる所存でございます。
そこで、お伺いします。
核兵器に関する議論や核廃絶への道のりに危うさが増す国際情勢の中、戦後80年を迎え、平和国家としてわが国が果たすべき責務や地方自治体における役割について、知事はどのように考えるのか、ご所見をお聞かせください。
〈答弁概要:中村知事〉
国際情勢の緊迫化により、核兵器のリスクが改めて認識される憂慮すべき状況下にありますが、戦後80年の節目を迎えた我が国は、唯一の戦争被爆国として、これまで一貫して非核三原則を堅持し、悲痛な戦争の記憶と不戦への誓いを継承してきたところでございます。
今後とも、国民の安全と安心を守り、戦争の惨禍を二度と繰り返さない決意を内外に示すとともに、国際連合など多国間の枠組みにおいて国際協調を積極的に主導して、国際社会の平和と安定に寄与することが期待されるものと認識しています。
また、地方自治体は、住民の安全・安心の確保や平和教育等を通じて、平和国家の理念を地域社会に根付かせる役割を担っていますが、戦争体験者や御遺族の高齢化が進み、戦争を知らない世代が大半を占める中、今日の平和と繁栄は、先の大戦の大きな犠牲の上に築かれていること、その戦争の記憶を風化させず、次世代に継承していくことなど、一人一人が自ら考え行動できるよう、平和を願う機運の醸成が一層重要になるものと考えています。
本県では、現在、恒久平和の大切さを伝えるため、クラウドファンディングによる御支援もいただきながら、物言わぬ語り部紫電改の移設プロジェクトを進めています。 今後とも、若い世代が戦没者への追悼の思いや戦争が残した教訓、平和の尊さやありがたさについて考えるきっかけとなる学習機会を提供するほか、国際交流や地域間連携により相互理解と友好を深めて、平和の実現に寄与するなど、県民各界各層と連携して、平和の理念の継承・定着に努めてまいりたいと思います。
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