次に、マイナ救急についてお伺いします。
総務省消防庁は、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を活用し、救急隊が傷病者の受診歴、既往歴、薬剤情報などを迅速に把握できる「マイナ救急」を、本年10月から全国一斉に運用を開始すると発表しました。
同事業は公明党がかねてより全国展開を後押ししてきたもので、1人でも多くの命を救う事業として今後円滑に運用が進むよう期待を寄せているところであります。
救急活動における傷病者情報は従来、口頭で確認を行ってきましたが、実際には、病気や事故の症状に苦しむ傷病者から聞き取ることが困難であったり、本人が受診した医療機関名や既往歴などを忘れていたりする場合が少なくありませんでした。
「マイナ救急」は、救急隊が持つカードリーダーで傷病者のマイナ保険証を読み込み、受診した医療機関名や既往歴、薬剤情報などを把握するもので、円滑な搬送先の選定や適切な応急処置につなげることが可能となります。
2022年度から実証事業が行われており、昨年度は67消防本部・660救急隊が参加、今年10月から全消防本部に広げた上で来年度、本格運用を始める予定とのことであります。
実証事業では、外出先で意識障害を起こし会話ができない傷病者が糖尿病であることが分かり、ブドウ糖を投与して意識レベルが回復した事例などが報告されているほか、搬送先の医療機関が傷病者の情報に合わせて事前に治療の準備に当たれるメリットも指摘されています。
そうした「マイナ救急」を利用するには、まずマイナンバーカードを所有し、健康保険証の登録を完了していることが必要となります。
また、救急隊員が閲覧できるのは、氏名や住所などの券面上の情報、受診歴や薬剤情報など、あくまでも医療情報のみであり、救急活動に関係のない税や年金などの情報は閲覧できない仕組みとなっています。
県におかれましてはそうした点を踏まえた上で、本年10月から全国で開始される「マイナ救急」の運用について万全の準備を進めていくことが求められます。
そこで、お伺いします。
「マイナ救急」の運用開始に向けて、県民への周知方法、マイナカードの取得や健康保険証の登録促進策など様々取り組むべき課題があると思いますが、県としてどのように準備を進めていくのか、ご所見をお示しください。
〈答弁概要:防災安全統括部長〉
本年10月から全国一斉に開始されるマイナ救急は、消防庁の実証事業により、高齢者や口頭での聞き取りが困難な傷病者のマイナンバーカードに紐づく正確な医療情報取得が容易で、救急搬送の迅速化・円滑化につながる効果が認められております。
一方、カードの不携行や保険証利用登録の未実施により活用できない事案が多いことが課題として挙げられているところでございます。
この制度は、原則として傷病者本人の同意を必要とすることから、制度概要や有用性について地域住民に理解を求める広報活動に加え、実効性を高めるため、マイナンバーカードの取得及び保険証の利用登録、もしもの時に備えてカードの常時携行を呼びかけることが重要であると認識しており、消防庁の要請に基づき、県内の消防本部に対して同制度に関する広報の実施を依頼しているところでございます。 県としても、マイナンバーカードの交付窓口である市町と連携しながら、ホームページ、広報紙やSNS等の各種広報媒体を活用し、マイナ救急制度の紹介を始め、カード取得、保険証登録の促進のほか、カードの常時携行について積極的な広報活動を実施することにより、マイナ救急による、傷病者の負担軽減や迅速な救急搬送につなげてまいりたいと考えております。
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