皆様おはようございます。公明党の木村誉でございます。会派を代表し、早速質問に入らせて頂きます。
初めに、今夏の参院選についてお伺いします。
7/20に行われた参議院議員選挙では、政権与党に対する厳しい審判が下され、自公は非改選議席も含め、過半数を割り込む結果となりました。
公明党として、今回の結果を、真摯かつ謙虚に受け止め、再び国民の皆様からご期待を頂ける政党として再生できるよう、捲土重来を期してまいる所存でございます。
さて、今回の参院選を振り返りますと、様々な指摘がなされていますが、私が特徴的だと感じたのは、1つは「多党化」の進展であります。
7/22付の毎日新聞は、社説で「単独では政権を担えない政党が乱立する『多党化の時代』を本格的に迎えた」と指摘しました。
同日の日本経済新聞も、「2007年は自民、民主、公明、共産の4党しか得票率5%を上回っていなかった」が、今回は「自民、国民民主、参政、立民、公明、維新、れいわ、日本保守の8党が5%を上回った」と報じています。
物価高の長期化、実質賃金の減少、政治とカネの問題、選択的夫婦別姓など、停滞する政治や厳しい日々の暮らしに辟易した国民の支持が既存政党から離れ、保守系や新興政党への期待につながった、そのような論調が多くのメディアで見受けられました。
政策議論が多様性に富み、活発化することは民主主義として健全であり、それにより更に国民の関心が高まることは歓迎すべきことであります。
一方で、様々な異なる主張をどう合意形成に導き、整合性の取れた政策として形にしていくか、という点には懸念が残るところであります。
果たして今後、多党化は定着するのか、あるいは連立組み換えや政界再編へと向かうのか、大きなターニングポイントとなる予感を感じた今回の参院選でありました。
もう1つは、「SNSの影響力の拡大」です。
昨年の東京都知事選や兵庫県知事選などでSNSを駆使した候補者が注目を集めましたが、その流れは本年の都議選、参院選でさらに強まり、もはやSNSは、選挙戦略上欠かすことのできない、確固たる地位を確立したと感じました。
NHKの調査によりますと、オールドメディアよりネットで情報を得ている30代以下の層で、「必ず投票に行く」、「期日前投票をした」と答えた割合が前回より大幅に増え、この世代は今回躍進した政党への支持率が高いことから、SNSが投票行動に与えた影響は明らかと言えるでしょう。
SNSが若者や無党派層の投票行動を促したことは喜ばしいことであり、今後も幅広い世代で、有権者の政治参加が進むことを期待したいと思います。
一方で、誤情報やデマの拡散、アテンションエコノミーの弊害なども大きな社会問題として浮上しています。
科学的根拠に基づかない偽の情報は事実よりも拡散しやすく、いつしか既成事実化してしまう怖さ、元に戻すことができない恐怖を、多くの方が感じています。そのような極端化、過激化した言説により、民主主義と政治が歪められることはあってはなりません。
不適切な投稿等に対しては、今年4月に施行された「情報流通プラットフォーム対処法」に基づき、国としてSNS事業者に迅速な対応を徹底することを求めているところですが、私は、SNSの功罪、光と影の両面において、社会に与える影響力がより拡大しているのではないか、そしてSNSの負の側面に対する、より適切な対応が求められるのではないかと考えます。
そこで、お伺いいたします。
今夏の参院選の結果から見えてくる課題や傾向等について、知事はどのように受け止めるのか、また9/7の石破総理辞任発表により政局の流動化が進む中、今後の国政運営に対しどのようなことを望むのか、ご見解をお聞かせください。
〈答弁概要:中村知事〉
今回の参院選では、SNSの本格的な活用により、若者や無党派層の政治への関心が高まった反面、誤情報の拡散や過激な言動など負の側面も見られたように思います。
これまでの国政や既存政党に対する不信感を背景に、SNS戦略に長けた新たな政党の特徴的な主張が大きく支持を集めたことで一気に多党化が進展しており、少なくとも今後6年間、国政の不安定な状況が続くのではないかと考えられます。
また、新たな政党の躍進により、政治の実践経験が浅く、制度の全体像を十分に把握していない新人議員さんが数多く誕生していることはニュース等の発言で明らかになっています。
一票の格差是正に伴い地方の現場を知らない都市部の国会議員の比率が高まっていることにより、地方の実情が反映されない政策が進められていくのではないかという点も危惧しています。
地方の声を国政に届けるためには、各政党の動向を的確に分析するとともに、政策を決定するキーマンを把握し、効果的にアプローチすることがこれまで以上に重要になるとの思いを先般の青森県で開催された知事会でも発言をさせていただきました。
自公政権が衆参ともに少数与党となり、参院選の最大の争点であった経済対策はもとより、地方創生や人口減少対策、社会保障制度や農政改革など国が速やかに注力すべき喫緊の課題の議論は進んでおらず、国政の停滞が長引いていることに強い懸念を抱いています。
国政に携わる全ての国会議員は、国民の負託を受けた者の責務として、これらの課題を先送りすることなく真正面から向き合い、耳障りの良いことだけ言っては、当然、こうした改革は進められません。
本質に迫る議論を進めるとともに、国会議員の定数削減など、かつて与野党が合意した身を切る政治改革にも全力で取り組むことを強く期待しているところでございます。
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