救急医療体制の整備について - 質問 -
次に、救急医療体制についてお伺いをいたします。
昨年夏、奈良県の妊婦が救急搬送中、9つの病院に受け入れ拒否をされ、いわゆるたらい回しにされた結果、死産をした事件がございました。実は、こうした救急患者のたらい回しの実態は妊婦に限らず、その後も全国に後を絶たない状況なのであります。
御承知のとおり、たらい回しの原因は多岐にわたり複雑です。受け入れたくても受け入れられない病院側の問題、それはマンパワーの不足という物理的な問題であり、受け入れ体制や技術、施設等のハード・ソフト両面にわたる施設の問題であり、さらには、万一の場合における訴訟のリスクといった心理的な問題が内在し、混在するのであります。また、搬送する救急車と病院の連携が十分とは言えない状況や、僻地、離島など地理的なハンディなど、要因は実にさまざまなのであります。
こうしたたらい回し事件が頻発している事態を受け、公明党では、昨年11月11日から12月10日にかけて、全国1,140の二次救急病院に対してアンケート調査を実施いたしました。その結果、浮き彫りとなったのは、深刻な医師不足と勤務医の過酷な労働実態であり、空きベッド情報など病院から消防へ提供する万全なシステムの整備の必要性ということが明らかとなったのであります。
そうした救急医療現場の状況を踏まえ、公明党では、受け入れ可能な医療機関に関する情報を提供する救急医療情報システムを全国的に配備、強化するための救急医療情報システム整備法案、仮称の法制化に向けて、現在準備を進めております。その救急医療情報システムとは、地域の医療機関と消防機関をオンライン回線で結び、医療機関側が対応可能な診療科目や手術ができるかどうかなどの情報を入力して、消防機関に提供するというものであります。
そこで、お伺いします。
こうした動きがある中、救急患者のたらい回しが起きないよう、救急医療情報システムの活用を含めて、救急医療体制の整備にどのように取り組んでいくのか。特に交通弱者、医療弱者である中山間、離島地域に対する救急医療体制の現状とあわせて御所見をお示しください。
救急医療体制の整備について - 答弁 -
答弁:保健福祉部長
次に、救急医療情報システムの活用を含め、救急医療体制の整備に今後どのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。
本県では、これまでのところ救急患者のたらい回しによる事故は発生していないと承知しておりますが、近年、医師不足が深刻化し、地域によっては救急医療体制の維持に支障が出かねないなど、本県の救急医療は極めて厳しい状況にあると認識しております。
木村議員お話の救急医療情報システムの法制化につきましては、現時点では具体的な内容は把握しておりませんが、本県では現行システムを平成13年度から運用しているところでございます。しかしながら、情報の入力が十分でないなどの課題もありますため、関係機関に対し積極的な活用を働きかけますとともに、医療機関の情報更新頻度の向上などに取り組んでまいりたいと考えております。
また、救急医療対策協議会において、消防と医療機関あるいは医療機関相互の連携強化を図り、適切な救急医療が確実に受けられる体制の整備についても推進してまいりたいと考えております。
なお、中山間、離島地域につきましては、消防防災ヘリコプターや患者搬送艇などの活用が図られておりますほか、搬送途上でより適切な救急処置が行えるよう救急救命士の養成及び資質向上など、病院に到着するまでの救護体制の整備に取り組んでいるところでございます。