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2007年 9月定例会(9/25)

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がん対策について(2007年9月定例会)

がん対策について - 質問 -

次に、先般6月議会での笹岡議員の質問に引き続き、がん対策についてお伺いをいたします。

我が党では、この、がんで苦しみ亡くなられる方々が年間30万人以上という事実と2020年には45万人にまで増加すると言われる現状に対して、急いで何とかしなければならない、そういった思いから、命のマニフェストを掲げて、この問題に全力を挙げて取り組んでいるところであります。

その成果といたしまして、国におきましては、昨年がん対策基本法が成立し、本年6月にはがん対策推進基本計画が閣議決定されました。そして、本県におきましても、国の計画をもととしたがん対策推進計画を本年度中に策定すべく、準備を進めているところであります。

こうした大きな流れの中で、折しも今月9月はがん制圧月間であります。制圧とは、何だかおどろおどろしい響きではありますが、ヒューマンタッチに翻訳すると、人間の英知でがんを克服していく、乗り越えていく、そういうことをみんなで考えましょうという気づきを促すことが、がん制圧月間の本意でありましょう。その意味からも私は、広く県民の皆様に向けて、いささかなりとも啓蒙につながればとの思いで、この問題を取り上げてみたいと思います。

さて、国、県いずれにおきましても、がんに関する諸計画の最重要眼目は、がん死亡率を下げるということであります。数値目標でいいますと、今後10年以内に、75歳未満の年齢調整死亡率を20%減少させるということであります。この目標を実現するには、多面的かつ総合的な施策が求められることは言うまでもありませんが、私は、がんという病理のプロセスを考えるときに、なかんずく入り口を制することが最も重要であると認識するものであります。

その意味で、今月のがん制圧月間のスローガン「まず受けて 次に伝える がん検診」という、検診率向上にフォーカスした呼びかけには大変意を強くするものであります。その各種のがん検診のうち、私は、PET-CT検診の普及ということに焦点を当てて考えてみたいと思います。

PET-CT検診とは、陽電子放射断層撮影装置とコンピュータ断層撮影装置のリンク分析によって、より正確な診断を可能にするシステムであり、そのがん発見率の高さと治療への有効性がいかに高く、他に類を見ないものであるかということは、昨年12月議会における薬師寺議員御指摘のとおりであります。国の指針に基づく従来の各種がん検診の受診率の向上を図るとともに、加えて、戦略的にPET-CT検診の普及は図れないかと考えるものであります。

1回の検診で全身のがんを調べることができ、しかも集団検診の約20倍もがんの発見率が高いというこのPET-CTに対する県民の潜在ニーズは、決して少なくないと思うからであります。

そこで、PET-CTの現状を調べてみました。
まず、PET-CTの導入状況ですが、独立行政法人国立病院機構四国がんセンターに2台、県立中央病院に2台、済生会西条病院に1台がそれぞれ稼働しているとのことでございます。

また、稼働状況を検診に絞ってみますと、本年7月末時点で、四国がんセンターが452件、本年8月末時点で県立中央病院が719件、済生会西条病院が43件ということであります。

また、導入コストを見ますと、建物を含めた総事業費は、県立中央病院で約19億円、済生会西条病院では約11億円と伺っております。

そこで、お伺いいたします。
このPET-CT、現在は東予1病院、中予2病院の3病院にしか導入されておりませんが、今後、導入されていない南予を含め、県下全体へのがん検診の均てん化と検診精度向上を図るためには導入が必要不可欠と考えるものであります。ぜひ、現在策定中の本県のがん対策推進計画におきまして、PET-CT検診の普及ということを盛り込んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

PET-CTは、がん対策に比類を見ないほどすぐれたパフォーマンスを有する機器だけに、その導入に多額な費用を要することと適正なコスト回収という観点から、各病院における検診料金の設定がなされているところであります。その検診料金を調べますと、検診項目に相違があるものの、初診通常料金で、四国がんセンターでは10万5,000円から、県立中央病院では9万7,650円から、済生会西条病院では8万5,000円からとなっております。また、それぞれ各種のコースやオプション検診の設定、割引インセンティブなど、より利用しやすい料金設定が用意されております。が、一方では、利用する側から見ますと、約10万円という費用はやはり高いと感じざるを得ません。その費用の捻出は、庶民の家計には多大な負担であることは容易に推察されるのであります。

がんの多くは初期段階での自覚症状がないということを考えますと、この高い検診費用がネックとなって、早期発見が見送られる可能性があると危惧するものであります。

そこで、お伺いいたします。
PET-CT検診の費用を軽減するため、行政として積極的、戦略的に支援していく必要があると考えますが、御所見をお聞かせください。

最後に、県立中央病院におけるPET-CT検診についてであります。
現在の主たる利用は、治療に要する保険適用検査となっており、昨年3月の稼働から本年8月末時点での検査件数は2,721件、1日当たり約8件となります。一方、検診、すなわちPETがんドックにつきましては、昨年4月の稼働から本年8月末時点で719件、1日当たり約2件となっております。合計すると、1日の利用実績は約10件となるわけでありますが、ここでお伺いいたします。

県立中央病院におけるPET-CT検診の利用拡大について、どのように取り組むのかお聞かせください。

初めに申し上げましたとおり、がんに関する諸計画の最重要眼目は、がん死亡率を下げるということであります。今後、10年以内に75歳未満の年齢調整死亡率を20%減少させるという目標に対しまして、入り口を制することが最も重要であるとの認識から、極めて有効なPET-CT検診の普及ということにつきまして、ぜひ前向きに御検討くださいますようお願いをいたしまして、次の質問に移らせていただきます。

がん対策について - 答弁 -

答弁:保健福祉部長

木村議員にお答えいたします。
がん対策につきまして、まず、現在策定中の本県のがん対策推進計画の中に、PET-CT検診の普及について盛り込んでほしいがどうかとのお尋ねがございました。

がんの早期発見につながる検診につきましては、国のがん対策推進基本計画では、すべての市町村において科学的根拠に基づく検診が実施されることを目標としておりまして、現在策定中の愛媛県がん対策推進計画におきましても、国のがん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針に基づくがん検診の実施について盛り込むことを考えております。

市町が実施するがん検診の種類及び方法等につきましては、国の指針に定められておりまして、PET-CT検診は指針に基づくものではございませんが、PETを用いた有用な早期診断技術の研究開発が進められておりますことから、がん対策推進計画検討会において、専門家の御意見等も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

次に、PET-CT検診の費用を軽減するため、行政として積極的、戦略的に支援していく必要があると考えるがどうかとのお尋ねがございました。

市町が実施しているがん検診は、国の指針が示す内容で行われておりまして、これに対しましては地方交付税で財源措置がされているところでございます。また、指針を超える検診につきましては、基本的に市町の判断で取り組まれており、指針の対象外であるPET-CT検診を含めて、県としては独自に補助することは考えていないところでございます。

なお、がん予防対策の推進のためには、まずは指針に基づく現行のがん検診の受診率向上を図ることが重要でありますことから、県といたしましては、今後とも市町と連携して、がん検診受診等の啓発活動に取り組んでまいりたいと考えております。

答弁:公営企業管理者

木村議員にお答えいたします。
がん対策について、県立中央病院におけるPET-CT検診の利用拡大について、どのように取り組むのかとのお尋ねでございました。

県立中央病院のPET-CTによるがん検診は、PET-CT検査と腫瘍マーカーや便潜血検査などの一般的ながん検査を組み合わせたPETがんドック1日コースと、腹部エコーなど検査項目をさらに追加して内容を充実した2日コースの2つのコースを設定しておりまして、平成18年4月から運用を開始しており、このPRにつきましては、県内市町広報紙への記事掲載依頼や、経済団体、農業団体等へのPR、PET-CT検査をテーマにした公開講座の開催などを通じてPRに努めてきたところでございます。

本年度におきましては、一部検診団体のメニューにPET-CT検査をオプションとして追加設定していただくとともに、新しく家族割引、リピート割引、団体割引の3種類の割引制度を導入しておりまして、また、この10月からはクレジットカードによる分割払いができるようにするなど、さらなる利用促進に努めているところでございます。

また、本年1月には、がんに関して専門的な治療と地域の医療機関への支援等を行う地域がん診療連携拠点病院に県立中央病院が指定されましたことから、今後、地域の医療機関との連携強化等を通じて、PETがんドックの一層の利用拡大に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

 

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