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2025年 2月定例会(3/5)

テーマ2025年 2月定例会(3/5)

認知症に関する取り組みについて(2025年2月定例会)

最後に、認知症に関する取り組みについてお伺いいたします。

国の推計によりますと、2040年には65歳以上の高齢者層の14.9%が認知症に、15.6%がその前段階となる軽度認知障害になると予測されており、誰もが認知症になり得るという認識の下での共生社会の実現に向けた取組みが急がれます。

そうした中、昨年1月、認知症の人が尊厳をもって最後まで自分らしく暮らすことができる地域社会、共に支え合って生きる共生社会の実現を目指し、認知症基本法が施行されました。

同法では国の認知症施策推進基本計画に基づき、都道府県の実情に即した計画を策定するよう求めており、県は2026年度の計画策定に向け、推進会議等の取組みを進めていると伺っております。認知症当事者・ご家族や、医療・介護など幅広い関係者の意見を丁寧に聞き取りながら、ぜひ実効性のある計画づくりに取り組んで頂きたいと思います。

さて、認知症の人の行動・心理症状(BPSD)の発生を抑制する上で、特に重要になるのが、当事者との適切な接し方と言われており、その効果的な技法として、「あなたを大事に思っている」ということを、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱で伝える「ユマニチュード」に対する注目度が高まっています。

日本ユマニチュード学会の資料では、ユマニチュードの実践により、認知症の人の行動や心理症状が15%ほど改善され、ケアする側の負担感も20%軽減したとの有効性が示されています。また、ユマニチュードに先駆的に取り組んでいるフランスの一部施設では、離職や欠勤をする職員が半減したほか、鎮静剤といった向精神薬の使用量が9割近く減ったとの報告もあります。

福岡市では、今から9年前、家族介護者や病院・介護施設の職員を対象としたユマニチュードの実証実験を実施し、その結果、暴言や徘徊などの症状が軽減され、介護者の負担感も低下するといった効果が見られたことから、まちぐるみの認知症対策としてユマニチュードを導入し、この技法に関する市民講座などを本格的に展開。

講座の対象は、家族介護者や小中学校の児童生徒のほか、市職員や救急隊員など多岐にわたり、多くの受講者から好評が寄せられたことから、福岡市は福祉部局の中に「ユマニチュード推進部」を新設し、現在もまちぐるみで認知症対策に取り組んでおられます。

今後ますます認知症の高齢者が増加すると見られる中、先進事例の1つとしてご紹介させて頂きました。
そこで、お伺いいたします。

認知症の人の行動・心理症状(BPSD)の発生を抑制し、当事者及びご家族の尊厳ある暮らしを守るために、県は市町や関係機関と連携し、ユマニチュードの普及に積極的に取り組むべきと考えますが、見解をお聞かせください。

関連して、認知症の行方不明者に対する取り組みについてお伺いいたします。

警察庁によりますと、2023年に届け出があった認知症の行方不明者はのべ1万9039人となり、11年連続で過去最多を更新したことが明らかとなりました。

行方不明者の7割は当日のうちに発見されるなど、ほとんどは3日以内に見つかっているそうですが、72時間を経過すると生存する可能性は急激に低くなっていくそうです。

特に単身高齢者の場合、行方不明となったことへの気づきや捜索開始の遅れから、発見の遅れに繋がることが多いとのことで、行方不明者の安否・生存確認が1日でも早く進むよう、地域社会全体で認知症行方不明者を守る取り組みが求められていると思います。

そこで、お伺いいたします。
本県における認知症の行方不明者に関する近年の状況はどうか。また、認知症行方不明者の命を守るためには72時間以内のできるだけ早期発見が望ましいとされますが、行方不明者の早期発見に向けた捜索活動に今後どのように取り組んでいくのか、見解をお聞かせください。
以上で私の質問を終わります。ご清聴誠にありがとうございました。

〈保健福祉部長〉
認知症高齢者が増加する中、認知症の方への適切な対応に当たりましては、当事者の尊厳の保持を基本とする心のケアや人間関係が重要とされており、ユマニチュードは、認知症の方と支援者がお互いを尊重し合い、ポジティブな関係を築こうとする認知症ケア技法の一つと認識しております。

これまで県では、医療従事者や介護施設等の職員を対象に、認知症の方の特性を踏まえた関わりや、認知症介護の知識や技術の習得等に関する各種研修やセミナーにおきまして、ユマニチュードも含めた認知症ケア技法を紹介しており、県内の医療機関や介護事業所では、ユマニチュードの普及等を行う民間団体の認証を受けたインストラクターによる実践のほか、フランスからユマニチュードの創始者を招いた研修会が開催されるなど自主的な取組みがなされていると承知しております。

県としましては、ユマニチュードの普及につきまして、福岡市をはじめ他の自治体の取組み等の把握に努め、その効果等を注視したいと考えており、今後とも、市町や医療・介護の関係機関等と連携しながら、各種研修等の充実を図り、認知症の方への適切な対応の普及に努め、認知症の方の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域で、自分らしく暮らし続けることができる社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

〈警察本部長〉
県内における、認知症又は認知症の疑いのある方の行方不明者届出数は、統計を取り始めた平成24年以降、平成29年の349人をピークに減少傾向にあるものの、依然として年間250人程度となっておりますが、9割以上の方を生存した状態で発見しております。

なお、直近の令和6年の数値を見ると、届出数は前年と比べ37人減少の241人、そのうちの95%に当たる228人を生存した状態で発見しております。

認知症又は認知症の疑いのある方の行方不明者届を受理した警察署では、事故や事件に遭遇する可能性が高い「特異行方不明者」として、速やかに警察本部へ報告の上、関係警察署等と連携しつつ、立ち回り見込み先等の捜索や、市町の電子メール配信や防災行政無線による手配を行うとともに、用意が整えば、警察犬や県警ヘリの投入、消防や地域の方々と連携した集中捜索を行うなどしております。

今後とも、認知症又は認知症の疑いのある方の行方不明者届を受理した場合には、行方不明者の安全の確保のため、自治体や消防を始めとする関係機関・団体とも緊密に連携しながら、行方不明者の早期発見に努めてまいりたいと考えております。

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