最後に、買い物弱者への支援についてお伺いします。
スーパーやコンビニエンスストアなどの店舗から住居が500m以上離れており、自動車が利用困難な65歳以上の高齢者を、農林水産省は「食料品アクセス困難人口」と定義しています。
2015年の調査によると、全国で824万人存在し、高齢者の24.6%、およそ4人に1人がこれに当たるとされています。
いわゆる「買い物弱者」であり、中山間地や過疎地等の高齢者の方々と対話をしていると、必ず出てくるご要望の1つです。
「自動車の運転免許を返納したら、バスや電車など公共交通機関のないわが町では移動手段がなくなり、日々の買い物さえできなくなる。」
「昨年のクリスマス寒波の積雪のように、交通障害が発生して集落や自宅が孤立するとたちまち命の危険を感じる。ここは日本なのに、まるで難民のような気分だった。」
久万高原町で、松山市郊外で、多くの方から同じような趣旨のお話を頂きます。
農水省、国交省、厚労省、経産省など、国によるさまざまな買い物支援のスキームは用意されていますが、いずれも行政の縦割り感が強いため自治体としてもどう対応すればいいものか苦慮しているのではないかと推測します。
幸いにして本県は、中村知事のリーダーシップにより、県と市町が「チーム愛媛」としてよく連携が取れており、この強みを生かしながら、過疎地や高齢者の方々が「買い物弱者」とならないよう、県独自の支援策をぜひ構築してほしいと思います。
そこで、お伺いします。
本県における「買い物弱者」の現状と今後の見通しはどうか。
また、中山間地や過疎地の高齢者等が「買い物弱者」とならないよう、移動手段確保への支援が重要と考えますが、これを含め、買い物弱者への支援をどのように講じていくのか、ご所見をお示しください。
以上で私の質問を終わります。ご清聴頂き誠に有難うございました。
〈答弁概要:企画振興部長〉
県内の過疎、離島地域等を対象に実施した平成30年の県調査では、回答のあった2,308集落のうち、集落内で食料品を購入できる集落は437、19%にとどまり、「高齢者が多く、買い物や通院等に困っている」等の意見も寄せられるなど、今後、人口減少や後継者不在に伴う店舗の閉鎖、バス路線の廃止・縮小等により、状況は一層厳しくなると考えられ、その対策は重要な課題と認識しております。
現在、民間事業者による移動販売や宅配サービス、ネットスーパー等の拡充も見られるものの、買い物を含む移動手段確保などの生活支援については、地域の実情を把握する各市町が主体となり、デマンド交通の導入や高齢者へのタクシー券配布、移動販売を行う事業者への補助など地元のニーズを踏まえて実施しているところでございます。
県では、来年度、松野町において、自宅からJR松丸駅など交通結節点までの交通手段の確保を目的として、デジタル技術を活用した効率的なデマンド交通の実証導入を計画しており、今後も、地域の実情に応じた対策に取り組む市町への助言や情報提供に努めるとともに、集落対策や高齢者福祉の視点なども考慮し、国の支援策を活用しながら、関係部局が密接に連携して、移動手段の確保を含め、買い物支援に努めて参りたいと考えています。