人口減少問題について - 質問 -
本年5月、民間有識者で構成される日本創成会議が、人口減少と東京への一極集中がこのまま進めば、日本の自治体の約半数が消滅する可能性があるとのリポートを発表し、全国に衝撃を与えました。
リポートの言う消滅可能性都市は、人口減少により行政サービスの維持が立ち行かなくなる自治体という意味で用いられ、具体的には、人口移動が収束しない場合において、2040年時点で2010年比50%以上の若年女性の減少が見込まれる自治体を指します。
それに当てはめますと、本県の消滅可能性都市は5市8町、そのうち特に厳しいとされる人口1万人未満の自治体は、上島町、久万高原町、内子町、伊方町、松野町、鬼北町の6町とのことです。
仮にこのリポートのとおりに推移した場合、この6町は単独運営が不可能となるため、周辺自治体と合併することになってしまうのか、また、現在32ある有人離島の大半が無人島となってしまうのか、そうした危惧を抱くのは私だけではないと思います。
このような中、安倍首相は、今月3日、内閣改造を行い、地方創生担当相を新設するとともに、首相を本部長とするまち・ひと・しごと創生本部を発足させ、深刻な人口減少問題及び地域活性化対策に本格的な取り組みを開始しました。2060年時点で1億人の人口を維持することを目標に掲げ、人口減少にどう歯どめをかけるか、東京一極集中をどう是正するかという2つの観点から改革を進める考えとのことです。
本県からすると、前者は、定住・流入人口をどうふやすか、後者は、流出人口をどう抑制するかということになろうかと思いますが、ここでは、特に流入人口に着目して伺いたいと思います。
先月9日、内閣府が発表した農山漁村に関する世論調査によりますと、全国の成人男女3,000人のうち、農山漁村地域への定住願望の有無について、「ある」「どちらかというとある」と答えた人の合計は31.6%で、2005年時点に比べ11ポイント増、年代別では、20代の若者が38.7%と最も高かったそうです。
また、定住を実現したい時期については、「すぐ」から「10年以内に」の合計が50.1%、そして、定住を実現するために必要なこととして、医療機関の存在が68%、生活が維持できる仕事があることが61.6%とのことで、調査結果を要約すれば、全国的に地方へのIターンに対するニーズが確かなものとして存在しているということでありましょう。これにUターン、Jターンを含めれば、本県への流入人口の拡大は大いに期待が持てることになります。
そこで、お伺いいたします。
国において、新たに地方創生担当相が設置され、安倍首相を本部長とするまち・ひと・しごと創生本部が発足しましたが、国の進める地方創生に対する知事の評価をお聞かせください。
また、県として、人口減少問題にどう取り組んでいくのか。本県への流入人口の拡大に向けた今後の取り組みも含め、御所見をお示しください。
人口減少問題について - 答弁 -
答弁:中村時広知事
次に、人口減少問題についてでありますけれども、特に国の進める地方創生に対する評価であります。
デフレ脱却と日本経済の再生に向けて安倍政権が打ち出した経済政策は、大都市圏を中心に一定の成果を上げているものの、ことし4月から6月期のGDPが下方修正されるなど、景気は依然として先行き不透明な状況から脱し切れていないと思います。特に地方においては、アベノミクスの効果も十分には波及しておらず、大変厳しい状況が続いていると認識しています。
こうした中、国においては、経済規模の収縮を招くおそれのある人口急減・超高齢化問題を真正面から受けとめ、総合的な政策を推進するため、司令塔となるまち・ひと・しごと創生本部を設置したところであり、地方重視の方針のもと、政府が一丸となって地域活性化に取り組もうとしている姿勢は高く評価しています。
また、地方創生担当大臣には、先般も来県された、地方の事情に明るい石破氏が就任されたことも心強く感じています。
県では、実需の創出に向け、県産品の国内外での市場開拓や農林水産物のブランド化、自転車による観光振興など、地域活性化に全力で取り組んでいるところでありますが、今後、まち・ひと・しごと創生本部がこうした地方のアイデアにしっかりと目を向けて、全国一律の政策でなく、地方が創意工夫を生かした対策に十二分に取り組めるよう、国が財政面でも強力にバックアップすることを何よりも期待しており、県としても、あらゆる機会を通じて現場起点の提言を行うなど、連携を密にして、本県の実情に応じた施策の展開につなげてまいりたいと思います。
次に、流入人口拡大についての御質問でございますが、本県では、少子化の進行に加えまして、都市部への人口流出により、人口減少が続いており、これに歯どめをかけるため、若年層への就職支援や結婚、出産、子育てへのきめ細かな支援などにより、若い世代が結婚できて、安心して出産・子育てできる環境づくりに努めるとともに、雇用の拡大につながる地域産業の振興等に取り組んでいるところであります。
また、流入人口の拡大については、南予いやし博や瀬戸内しまのわの開催等により、本県の自然豊かな地域の魅力を全国に発信し、愛媛への関心を高めるきっかけづくりとするとともに、愛媛ふるさと暮らし応援センターやえひめ空き家情報バンクなどを活用し、移住の前提となる仕事や住宅等の情報提供・支援を行っているほか、今年度から、新たに地域が必要とする人材をターゲットとした戦略的な移住促進や地域おこし協力隊の定住支援に取り組むなどの施策を積極的に展開しているところであります。
今後、さらに流入人口を拡大していくためには、市町や関係団体等ともより一層連携を密にしながら受け入れ体制の整備に努める必要がありますことから、先般設置した庁内の人口問題プロジェクトチームも活用しながら、移住者の獲得に向けた効果的な施策を検討するとともに、定住人口の拡大や流出人口の抑制、少子化傾向からの脱却など、人口減少対策について総合的な視点で課題を整理し直して、対策の強化を図ってまいりたいと思います。