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2012年 2月定例会(3/7)

テーマ未来世代対策

発達障害支援について(2012年2月定例会)

発達障害支援について - 質問 -

次に、発達障害支援についてお伺いいたします。

この問題については、直近5年間の本会議において延べ14名の議員が取り上げられ、その頻度は、その前の5年間の6名に比べると倍増しております。それだけ支援を望む声がふえているという証左であります。そうした方々に寄り添う思いで、私は今回、PDD(広汎性発達障害)のうちPDD-NOS、すなわち特定不能の広汎性発達障害について、その学童期における支援のあり方を中心にお伺いしたいと思います。

PDD-NOSという言葉がやや難解のため、親御さん方が日常交わされるグレーゾーンと称することをお許しいただきたいと思います。

御案内のとおり、発達障害というのは他の障害に比べ非常にわかりにくいと言われていますが、グレーゾーンの場合はなおさらです。ちょっと様子が変だ、何か変わっている、そうした子供たちは、どこの小学校にもどのクラスにも何人かいるものですが、そのちょっとした差異がアスペルガー症候群等によるものであれば、早期の適切なサポートが必要です。

ところが日本児童青年精神医学会における近年の学会発表では、彼らグレーゾーンの実に7割以上が、思春期以降に不登校・ひきこもり等の二次障害、合併症を示してから発見されるとしています。つまり、学童期において7割が見過ごされているというのです。

私は、この見過ごしは、学校・教師が責めを負うというより、もっぱら学業成績など知的学習レベルで通常の学級、特別支援学級、特別支援学校と区分けを行う文科省の古い仕組みに起因すると思います。グレーゾーンはそうした区分けにまたがって存在しており、求められているのは、それがADHDなのか、学習障害なのかといった障害レベルでの新たな物差しなのではないでしょうか。その裏づけとなるのは医学的知見であります。したがって、私は、発達障害の早期発見に不可欠な手立てとして、教育現場への医学的知見の導入と活用を挙げたいと思います。

本県では、5年前に開設された発達障害者支援センターを拠点として、関係機関と連携しながら総合的な支援体制を推進しているところと承知しておりますが、急速な現場ニーズの高まりに対応が追いついていないというのが実情ではないでしょうか。

そこでお伺いいたします。

グレーゾーンの発達障害の早期発見に向けて、私は、できれば小中学校区ごとに児童精神科医などの専門医を配置し、教師とも相談しながら、子供たちの診断と適切な対応ができる環境を早急に整えるべきと考えますが、本県の現状とあわせ、御所見をお示しください。

次に、グレーゾーンの子供たちの受け皿についてですが、彼らの多くは通常の学級に在籍しております。2002年の文科省の調査では6.3%ということですから、1クラスに1人か2人の計算になりますが、これは現場でお伺いする感覚ともおおむね重なります。このクラスに1人か2人という比率も微妙で、グレーゾーンの判定をますます難しくする要因の一つでありましょう。

いずれにしても、通常の学級では、集団生活に困難を来したり、発達障害の特性により何かが補えないまま成長してしまう可能性があり、かといって身体的な障害や知的なおくれを伴っているわけではありませんので、特別支援学級や特別支援学校に通うというのも無理があります。結果として、子供たちの居場所がないと感じる親御さんは少なくなく、その多くが、今、望んでいるのは、通級指導教室の設置拡大です。

本県小学校の現状について当局に確認したところ、今年度の設置数は全県333校中わずか43教室、地域別では、東予19、中予17、南予7と、かなりのばらつきが見受けられます。

そこでお伺いいたします。

グレーゾーンの子供たちの親御さんから要望の多い通級指導教室の設置拡大について、ぜひ全小学校への設置を目指し、取り組んでいただきたいと考えますが、御所見をお聞かせください。

また、発達障害支援の地域格差については、昨年9月議会における古川議員の質問に対し、今年度末で終了となる東予地方局の発達障害ネットワーク事業の成果を全県に敷衍し、どの地域においても格差のない支援体制の整備に努める旨の答弁がありましたが、年度末を目前に控え、具体的に、今後、どのように取り組まれるのか御所見をお示しください。

発達障害支援について - 答弁 -

答弁:教育長

発達障害支援について、私の方から2点のお答えをいたします。

まず、グレーゾーンの発達障害の早期発見に向けて、小中学校区ごとに専門医を配置してはという御提案でございました。

県教育委員会では、発達障害を含む障害の特性の見きわめや望ましい教育的対応などについて検討するためには、木村議員お話の医学的知見を初め、専門家による知見が必要と考えておりまして、医師や学識経験者などで組織する特別支援教育専門家チームを設置し、学校から依頼のあった子供について、その検討結果を踏まえた指導、助言を行っているところであります。

議員お話のとおり、発達障害は確定診断が難しい障害でありまして、専門医によるサポートが必要なことは十分認識いたしておりますが、御提案の小中学校の校区ごとの専門医の配置につきましては、一般に公表されております県内の発達障害の専門医は、日本児童青年精神医学会の認定医が1名、日本小児神経学会の医師は4名など、全国と同様に極めて少ないことから、現時点での対応は困難な状況にあるというふうに考えております。

もとより特別支援教育におきましては、発達障害などの診断の有無にかかわらず、子供一人一人の状態を的確にとらえ、必要な支援を行うことがその責務と考えておりまして、今後とも各学校において、学習や行動についての詳細なチェックリストなどを活用し、特別な支援が必要な子供の早期発見に努めますとともに、専門家チームや特別支援学校など、関係機関との連携を強化し、早期に適切な支援が行えますよう努めてまいりたいというふうに考えております。

次に、通級指導教室の設置拡大についてのお尋ねでございました。

通級指導教室は、通常の学級に在籍する言語障害や発達障害などのある児童生徒に対し、1週間に数時間程度、個々の障害の状態に応じて、自立活動の支援や各教科の補充など特別の指導を行うものでありまして、木村議員お話のように、子供の居場所ともなり得ることから、教室に通う児童生徒数の動向や地域間のバランスなどを勘案しながら、その設置拡大に努めてきたところでございます。

この結果、県内の通級指導教室は、発達障害児を対象に位置づけました平成18年度には小学校21校、30教室でありましたが、本年度は、お話のありました35校、43教室と増加しております。

しかしながら、通級指導教室は、設置する学級数に応じて定数措置される特別支援学級と異なりまして、国から加配措置された教員数によって設置できる教室数が決まりますため、急激な設置数の拡大やすべての小学校への設置は難しいのが現状であります。

県教育委員会としては、発達障害等の児童生徒への支援が重視されている現状を踏まえ、今後とも国に対してさらなる加配教員の増員を要望いたしますとともに、担当教員の専門性や指導力の向上にも努め、通級指導教室の拡大、充実を図ってまいりたいと考えております。

答弁:保健福祉部長

まず、発達障害支援についてのうち、地域格差のない発達障害支援体制の整備に関するお尋ねでございます。

東予地方局の発達障害ネットワーク事業は、平成21年度から3年間、行政、福祉、保健医療、教育機関等が一体となりまして、乳幼児健診等の技術指導、市町等関係職員のスキルアップ、一般住民への意識啓発等に取り組みまして、管内の市町に専門窓口の設置が進むなど、東予地域全体で発達障害を支える意識の醸成と支援体制の強化が図られてきたところでございまして、現在、東予地方局において、その成果報告書を取りまとめているところでございます。

このため、来年度におきましては、県発達障害者支援センターにおいて、報告書をもとに、事業に携わった東予地方局及び市町担当者を講師といたしまして、県内の全市町を初め、保育所、幼稚園等の職員を対象に、障害の早期発見と市町域を超えた支援のあり方を考える研修会を開催いたしますほか、特に中予及び南予地域におきましては、発達障害児を持つ保護者等にも参加をいただきまして、具体的な地域課題等について意見交換を行うセミナーを実施することとしておりまして、これら事業を通じて、まずは地域の特性に応じた関係機関の連携や支援のあり方の検討を深めまして、地域格差のない発達障害者の支援体制整備に段階的に取り組んでまいりたいと考えております。

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