「(略)公的年金の財政見通しを5年ごとに確認する財政検証の結果が7月に公表され、現在、政府では次期制度改正への議論が進められています。
これを受けて公明党は今月6日、持続可能で誰もが安心できる年金制度の確立に向けた提言を福岡厚労大臣に申し入れました。今朝は、その概要についてご報告させて頂きます。
提言では次期改正に向けて、平均寿命・健康寿命の延伸や家族構成・ライフスタイルの多様化、持続的な賃上げといった社会経済の変化を踏まえ、働き方の選択などに影響を与えない中立的な制度をめざすとともに、高齢期の経済基盤の安定や所得保障・再分配機能の強化、国民の多くが望む「手取りの増加」などを考慮するよう訴えました。
今後、政府が提示する改正案を精査し、さらに踏み込んだ対応を求めますとともに、社会保障を年金だけで考えるのではなく、医療、介護、住まいなども含めて安心の制度となるよう、党として議論を進めてまいります。
政府は、パート労働者などの被用者保険(厚生年金・健康保険)適用拡大を巡って、加入要件のうち企業規模(従業員51人以上)や賃金(年収106万円以上)を撤廃し、要件を「週労働時間20時間以上」に一本化する方針ですが、これにつきましては、将来受け取る年金の増額や健康保険の充実といった利点がある一方、新たな保険料負担(労使で折半)による手取りの減少や事業者の負担増が懸念されています。
このことについて提言では、加入のメリットを周知するとともに、段階的な適用など施行までの期間を十分に確保するよう要請しました。
事業者に関しては、経済が縮小している時に保険料負担が増えることがあってはなりません。従いまして、前提として経済を成長させる政策を強力に推進するべきと考えます。
その上で提言では、手取りが減らないよう賃上げを行う企業への助成金や、保険料の負担割合を労使の合意で変えられる仕組みを導入した際の企業支援などを念頭に、丁寧な対応を求めました。引き続き、誰もが“壁”を意識せずに働ける制度設計となるように取り組んでまいります。
現在、わが国では将来世代の給付水準を確保するため、物価や賃金の上昇率よりも年金給付の伸びを抑える「マクロ経済スライド」を導入しています。
財政検証によりますと、過去30年と同程度の経済状況が続く場合、厚生年金(報酬比例部分)の調整は2026年度で終了し、その後は一定の給付水準が保たれますが、財政が厳しい基礎年金は57年度まで調整が続き、給付水準が低下します。
このため政府は、好調な厚生年金の積立金を活用し、36年度をめどに基礎年金と厚生年金の調整を同時終了させる方針を示している。基礎年金は半分が国庫負担であるため、底上げに伴う財源の確保も必要となります。
30年代半ばは、低年金の可能性がある就職氷河期世代が年金を受給し始めるタイミングでもあり、調整の早期終了は重要な取り組みです。
積立金の活用は、厚生年金と基礎年金にどう振り分けるかという配分を変えるものであり、積立金の追加使用ではありません。
年金加入者全員に共通する基礎年金の底上げは、同年金のみ支給される国民年金受給者だけでなく、厚生年金受給者にとっても、よほどの高額所得者でない限りプラスの効果があります。
追加財源については、調整期間が終わる30年代半ばごろから必要になるので、その時の経済状況などを見極めて検討するべきだと考えます。
また国では、一定の収入があると年金が減額される「在職老齢年金制度」の見直しも検討されていますが、これについて私たちは、人口減少と働き手不足が深刻化する中にあって、高齢者の活躍は重要であり、働く意欲を阻害する要因にもなる制度は見直すべきであり、将来世代が受け取る年金への影響が最小限となるよう、年金制度全体の中で見直しを行う必要があると考えています。
以上、今朝は、国で行われている次期制度改正への議論についてご報告させて頂きました。今週も宜しくお願いいたします。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 09:47