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がん対策について

がん対策について - 質問 -

最後に、がん対策についてお伺いをいたします。

御案内のとおり、今月9月は「がん征圧月間」であります。国のがん対策基本法の成立から5年が経過し、本県では、愛媛県がん対策推進条例の制定から1年半が経過しようとしていますが、果たしてこの間、本県のがん対策はどのように進んだのでしょうか。

愛媛県がん対策推進計画は、総合的ながん対策の推進を図ることを目的とし、平成20年度から24年度までの5年間を計画期間としています。それぞれ分野別に目標を定めながら対策に取り組まれているわけでありますが、計画期間終了まであと1年半となった今、私は、がん征圧の最大のポイントは予防と早期発見にあるとの考えから、なかんずくがん検診の受診率について検証をしてみたいと思います。

基準となる計画策定時に使用した平成17年度の検診受診率に対し、直近である平成21年度の検診受診率はどれくらい向上したのか。国の地域保健・健康増進事業報告によりますと、市町が実施するがん検診の受診率は、胃がんが14%から9.8%に、肺がんは19.6%から11.9%に、大腸がんは19%から13.1%に、子宮がんは16.7%から15.6%に、そして、乳がんはマンモグラフィー検診で20.2%から21.4%にと、ほとんどの検診で減少をしているのであります。

平成24年度までにすべてのがん検診において受診率を50%以上に引き上げるという目標に近づくどころか、ますます遠のいている状況で、このままでは目標達成の見込みは限りなく低いと言わざるを得ません。条例もでき、予算も拡充し、理事者も医療関係者も精いっぱい取り組んでいるのになぜと思うのは、決して私だけではないと思います。

その理由が特定できない限り、適切な対策は講じられようもなく、したがって、検診受診率の向上も見込めない。そんな思いから、私なりにこの間の取り組みについて調べてまいりますと、見えてきたのは、第2回愛媛県がん対策推進委員会での松本委員の発言に見られる司令塔不在による戦略の欠如ということであります。

司令塔不在というのは、昨年2月と12月、2度にわたる定例会で、僭越ながら私の方からも強くその必要性を申し上げたがん対策推進室の設置もその意味合いであります。

がん検診受診率を平成24年度までに50%に引き上げることを一つのミッションと掲げたとき、なぜ引き上げ目標が50%なのか、それは年齢調整死亡率の20%引き下げがそれによって初めて可能とされる理論値だからであり、目的はがん医療に係る社会的コストの抑制だと、ここまで認識の共有がすべての関係者にあって初めて、戦略の第一歩が踏み出されるのではないかと私は思うのであります。

その上で、ミッションに対する全責任を負いながら、関連部局をリードし、自治体や保健医療機関、民間団体と折衝をまとめ、目標を実現していく。もちろん受診率の向上以外のミッションについても同様であります。

また、第3回がん対策推進委員会の中で、高嶋会長は「がん検診の受診率の向上について一番の問題は、検診の台帳がないことです。全国的に見て非常に高い検診受診率のあるところはきちんとした検診台帳を持っており、ことし検診に行っていないよと個人的な勧奨ができるので、受診率が非常に高いということです」と発言されていますが、ここでも検診台帳の整備という受診率向上の大きなヒントが見えてくるわけであります。

しかし、これを実行するには、よほどの調整機能と能力、労力が求められ、現状の体制では相当な困難が伴うことは想像にかたくありません。

そこで、お伺いいたします。

愛媛県がん対策推進委員会での委員発言に見られるがん対策の司令塔の不在という指摘に対し、県はどのように認識されるのか、御所見をお聞かせください。

次に、戦略の欠如についてであります。

先ほどのとおり、がん検診受診率が向上しない理由を調べてまいりますと、その理由、つまり阻害要因が余りにも広範囲に存在することに気づかされました。

まず、がん検診受診率の実態の捕捉であります。例えば、先ほど述べました地域保健・健康増進事業報告の受診率は、集団検診と言われる住民検診をベースとしており、医療機関で個別に検診される方や人間ドックで検診される方は含まれておりません。となると、実際の検診受診率はもう少し上がると考えられるわけですが、じゃあトータルでどのくらいなのかというと、それが捕捉できないという現状。これは、手を打とうにも的が絞れないという意味で受診率向上に対する大きな阻害要因と言えます。

また、例えば土日の検診を希望されている平日パート勤務の主婦がいる一方で、病院側は、土日は救急医療の対応で手いっぱい、できれば自治体で土日に集団検診をしてほしいと考え、自治体では、依頼先の検診機関は県下全域で集団検診のスケジュールを組むため、土日だけとするわけにもいかず、平日であってもぜひ利用してほしいと考える。これは第2回がん対策推進委員会での実際のやりとりであります。だれが責められるという話ではありませんが、全体最適となる多様な受診機会が設定されていない、このことも阻害要因の一つと言えます。

そのほか、検診の種類ごとにも料金の問題や検査の苦痛の問題などさまざまな阻害要因があり、それを一つ一つのピースに例えると、あたかもジグソーパズルのように思えてくるのであります。だからこそ全体を俯瞰する戦略が不可欠なのではないでしょうか。

そこで、お伺いをいたします。

ここまで、がん検診受診率の向上を阻害する要因として、検診受診率の捕捉の精度、全体最適となる受診機会設定のジレンマなどを一例として取り上げましたが、県は、それらを統合した形でのがん検診受診率の向上戦略の必要性についてどのように受けとめるのか。また、平成24年度のがん検診受診率50%達成という目標に対し、ますます遠のいている現状をどのように認識し、計画期間終了まで残された約1年半をどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお示しください。

以上で質問を終わりますが、結びに一言申し上げます。

現在、台風15号が本県に接近しつつあります。県民の皆様におかれましては十分に御注意をいただきますとともに、理事者におかれましては、各市町と連携を密に、万全の備えと、そして万一に備えた対応をしっかりと御準備いただきますようよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

がん対策について - 答弁 -

答弁:保健福祉部長

木村議員にお答えをいたします。

がん対策について、まず、県がん対策推進委員会におけるがん対策の司令塔の不在との指摘について、どのように認識しているのかとのことでございますが、がん対策では、発症予防、検診、治療等のそれぞれの分野の取り組みを、条例にもうたわれておりますとおり、患者団体や保健医療関係者を初め、県民総ぐるみで推進していく必要がありまして、県では、医療対策課を主管課とし、庁内調整はもとより、がん対策推進委員会を通じて、経済界や教育関係者等も含めた幅広い機関、団体と連携、協議を行いながら、計画に定める目標達成に取り組んできたところでございます。

これらの取り組みによりまして、がん診療連携拠点病院の診療体制の整備などでは着実に成果が上がっている一方、全国と同様に低迷する検診受診率のように、目標を下回っている分野があることは木村議員お話のとおりでありまして、司令塔の不在との御指摘も含め、その原因を検証していく必要があると認識をしております。

なお、県では、本年1月から全庁横断体制で政策の質を高めるために、特別職や各部局長がそろって部局の垣根を超えた協議を行う機会を設けたところでありまして、あわせて、行政のスリム化や効率化等、思い切った行革を進めている中で、御提案のがん対策推進室を直ちに設置することは困難と考えられますが、がん対策推進委員会での御提言の趣旨も踏まえまして、引き続き、司令塔としての強化方策について十分に検討をしてまいりたいと考えております。

次に、がん検診受診率の向上戦略の必要性についての所見はどうか、また、目標に対する現状をどのように認識し、今後、どのように取り組むのかとのお尋ねでございました。

がん検診は、がんを早期に発見、治療し、死亡率を低減させる上で重要な役割を果たしておりまして、受診率を向上させるためには、明確な戦略のもと、関係機関が連携、協働して取り組む必要があると考えておりまして、県では、がん対策推進計画におきまして、受診率の目標を50%以上に設定いたしますとともに、がん予防行動に対する理解促進と検診の普及啓発、受診対象者の正確な把握と受診勧奨、職域検診等を含めた受診率の把握、地域の実情に応じた受診機会の提供など、対策の方針を明らかにし、市町や検診機関、企業等と連携して受診促進に努めてきたところでございます。

しかしながら、受診率は全国的に低迷をしておりまして、国による抜本的な制度上の改善も必要であると考えておりますが、現状では職域検診や任意検診を含めたすべての検診の受診状況を把握する仕組みがなく、未受診者の確認が困難な状況にあるなど課題も多く、平成24年度の目標達成は大変厳しい状況にあると認識をしております。

県では、受診率低迷の原因を把握し、今後の対策に生かすため、昨年度、がん検診に関する意識調査を実施いたしました結果、受診しない理由として、自覚症状がない、受診の手続、予約が面倒、料金が高い、休日や夜間の検診が少ないなどの意見が寄せられましたことから、改めて、がん対策推進委員会において、県民啓発や受診機会の提供のあり方など総合的な受診促進対策について御検討をいただきまして、より効果的な受診率向上施策の実施に努めてまいりたいと考えております。