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2011年 6月定例会(6/30)

テーマ地域経済対策

伊方原発とエネルギー問題について(2011年6月定例会)

伊方原発とエネルギー問題について - 質問 -

最後に、伊方原発についてお伺いいたします。

今回の震災がもたらした福島第一原発事故は、いまだ収束への道筋が見えず、我が国だけでなく、世界じゅうを不安と混乱に陥れています。

6月上旬に行われました読売新聞社世論調査によりますと、原発事故をめぐる政府の対応について、73%が「評価しない」、78%が「政府の発表を信頼できない」ということでありますが、私は、この結果は政府に対する国民の憤りであると思います。

メルトダウンに関する東電の発表は、事故発生から2カ月が過ぎた5月15日。事故発生直後からその可能性が指摘されていたにもかかわらずです。

一方、政府が国際原子力事象評価尺度で最悪のレベル7に引き上げたのは、1カ月後の4月12日、当初段階で公表すべきSPEEDIの情報公開も5月に入ってから。すべて完全に遅きに失しています。

5月下旬には、海水注入中断の指示をだれが出したかをめぐり、政府と原子力安全委員会が言った言わないで内輪もめし、あげくの26日、東電が原発所長の判断で海水注入を継続していたことが判明したと、いきなり政府も東電本社も知らなかった真相が明らかになるなど、目を覆いたくなる指揮系統の迷走ぶりでありました。

のように、事故当初から政府と東電、原子力安全・保安院の3者が招いた混乱が初動をおくらせた最大の原因であり、これでは福島第一原発事故は人災であると言わざるを得ません。

伊方原発を抱える本県民の皆様からもさまざまな不安の声をいただきます。それは大きく2つあり、まず何と言っても安全性に関する不安、そしてもう一つが、いわゆるブラックアウト、安定供給に関する不安であります。

本会議初日から、連日、伊方原発の安全性に関してさまざまな角度から質疑がなされておりますが、私は、安定供給に関して2点お伺いいたします。

まず、短期的な観点からですが、ことしの夏の電力需給について、愛媛新聞の記事によりますと、安定供給に必要な供給余力の目安は8ないし10%とされる中、仮に定検中の3号機が再起動しなければ1.2%に低下する見通しとありました。

昨日、その見通しに若干変化があったようですが、いずれにしても、万が一電力使用のピークが供給余力を超えた場合、四国内の不特定地域がある日突然停電するといったブラックアウトが起きないとも限りません。

3号機再起動については、国の動向や民意等にかんがみ、極めて慎重な判断が求められる今、そうした事態が起こらないように、節電はもとより、どのように電力需要の集中を排除するか、つまりピーク時の電力使用量をどう減らすかということを念頭に入れた取り組みが求められるのではないでしょうか。

御案内のとおり、既に一部の企業では、始業時間を早めるサマータイムを導入するなど、さまざまなブラックアウト対策がなされているところであります。

そこで、お伺いします。

今後は、県、市町、民間が協力しながら、サマータイムや勤務体制のシフト、あるいはLEDの普及促進など、さまざまな可能性を検討していく必要があると考えますが、地球温暖化防止対策の観点を踏まえ、さらなる節電、省エネルギー対策をどう推進していくのか、御所見をお示しください。

次に、中長期的な安定供給ということを考えますと、国が原子力を含めたエネルギー政策をどのように見直すかにかかってくるわけですが、震災を契機とする今、国は、国民的議論を踏まえ、早急に明確な方向性を示すべきであります。

中村知事は、先月26日の会見で、危険性を考えると、自然エネルギーの比率を高め、長い目で脱原発はとるべき道筋と、長期的には原発を縮小すべきという考えを明らかにされましたが、将来的に太陽・水素系エネルギーを目指す私たち公明党としても同意であります。

その上で、私は、これまで原発は是か非かという論争が結局平行線をたどり、現在に至ったことを考えますと、右肩上がりのエネルギー消費はこのままでよいかという仮説を議論の入り口とすべきであり、それにより、建設的な議論と脱原発への道筋を可能とする合理的な解が見出せるのではないかと思うのであります。

今回の震災で私自身痛感したのは、私たちの暮らしの豊かさが実はエネルギー消費に依拠していること、現代社会が過度な電力依存社会になっていることでありました。

エネルギーは有限であることを改めて認識しつつ、お伺いします。

脱原発を目指しながら、将来にわたって本県のエネルギーを安定供給させていくために、私は、ロハスな生活文化の定着や省エネ地域経済の構築など、県民総ぐるみでエネルギー消費のあり方について真剣に議論すべき時期が到来していると考えます。

そして、本県として、利害の異なるステークホルダーを含む幅広い民意を集約し、合意形成を図りながら、エネルギーのベストミックスを中長期的なロードマップに落としていく。その中で、自然エネルギーの比率を高めつつ、相対的に原子力エネルギーを縮小していくという戦略的かつ漸進的なエネルギー転換を目指すべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。

以上で質問を終わりますが、最後に、ひきこもり相談室につきまして一言御礼を申し上げます。

御案内のとおり、今月1日、愛媛県心と体の健康センター内に県内初の専門窓口、ひきこもり相談室が開設されました。

この間の知事初め理事者各位の御尽力に心より感謝申し上げますとともに、このことがひきこもり問題の解決に向けた大きな第一歩となり、当事者御家族の笑顔につながるよう、今後、さらなるお取り組みを心から念願して、質問を終わらせていただきます。

御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

伊方原発とエネルギー問題について - 答弁 -

答弁:中村時広知事

次に、省エネルギー関連についての御質問でございますけれども、伊方3号機の再起動については、現時点では白紙と言い続けているとおりでございます。

しかし、四国電力からは、この夏、具体的な数値を示しての節電要請などをする考えはないと聞いています。しかし、電力需給の状況は今後も不透明であり、地球温暖化防止の観点からも、引き続き節電、省エネルギー対策に積極的に取り組む必要があると考えています。

このため、県では、平成23年度において、産業部門では、LED照明や太陽光発電設備等への改修費用の補助や事業所の環境配慮活動計画の策定支援、家庭部門では、省エネナビを活用して節電に取り組む、家庭の省エネ推進モデル事業などを実施することとしています。

また、公共施設においても、県運転免許センターや松山中央公園多目的競技場への太陽光発電設備及びLEDの導入、上島町の全街灯LED化など、県、市町の14施設において省エネ改修に取り組んでおり、県民総ぐるみで地球温暖化対策を推進しているところでございます。

さらに、今年度は、「クールビズ四国」キャンペーンの期間を2カ月拡大し、5月から10月までとしたほか、広報紙や県政広報番組を通じて、家庭でできる節電対策を呼びかけており、今後とも、より効果的な節電対策の啓発に努めていきたいと思います。

その他の問題につきましては、関係理事者の方から答弁させていただきますので、よろしくお願いいたします。

答弁:経済労働部長

木村議員にお答えをいたします。

伊方原発とエネルギー問題についてのうち、自然エネルギーの比率を高めつつ、相対的に原子力エネルギーを縮小していくという戦略的かつ漸進的なエネルギー転換を目指すべきと考えるがどうかとのお尋ねでございました。

低炭素ビジネスの創出やエネルギー消費の少ないライフスタイルの実現を図るため、県では、公共施設の太陽光発電設備の整備や各種バイオマスエネルギーの活用のほか、クールビズ等地球温暖化防止県民運動の推進、省エネナビによる家庭の節電の推進などによりまして、自然エネルギーの導入促進や省エネ対策に取り組んでいるところでございます。

しかしながら、こうした省エネや自然エネルギーの導入だけでは直ちに原子力エネルギーにとってかわることは困難でありまして、現時点では安全対策を徹底した上で原子力発電を利用せざるを得ませんが、長期的な視点からは原発の代替エネルギーを追求していく必要がありますことから、県といたしましては、国の新たなエネルギー政策の策定動向を見きわめながら、エネルギービジョンを改訂することといたしております。

改訂に当たりましては、木村議員お話の県民の生活文化面でのエネルギー消費や省エネ推進方策等について、関係部局とも連携の上、パブリックコメントの活用なども含め、幅広い民意の反映と地域の実情を十分踏まえながら、地域経済の発展にもつながるエネルギービジョンを示したいと考えております。

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